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49・エルナたんとオソロ!

 


 エルナたんにとっては意味がわからないだろうけど、わんわん泣く私を慰めてもらい、取り敢えず正気に戻った。

 涙と鼻水でデロデロになっててもエルナたんは優しく顔をタオルで拭ってくれて鼻チーンまでしてくれる。天使や。




「見て!ラピス」


 鏡の前でニィナさんに髪を整えてもらっていると、エルナたんが横でお洋服を広げた。

 エルナたんに前で翳されたのは白いワンピース。パフスリーブの半袖で所々に濃い水色のリボンが付いているとても可愛いものだった。エルナたんに似合いそう、と思ったけれど、エルナたんには何だかちょっとだけサイズが小さいような…?


「これはラピスの。─で、こっちが私の。どう?おそろいよ」

「~~!!」


 後ろ手で隠していたもう一枚のワンピースを翳され私は感激で大きく口を開いた。だってお揃いですよ!?ファンサがパネェよ、私のお姫様は!


 エルナたんのワンピースは私のとはリボンが色違いの赤。

 エルナたんに絶対に似合う!オソロだ!オソロ!わっほーい!


「可愛いぃ~!」

「ふふっ、喜んで貰えてうれしいわ」

「素敵ですね。ではヘアスタイルも合わせましょうか!」


 ニィナさんの提案に頷くとエルナたんの仕度をお手伝いしていたメイドさんの眼がやる気にキラリと光った。

 二人は笑顔でお互い頷き合うとスピードをあげてエルナたんと私の支度を始める。部屋には後三人のメイドさんが居るけれど、靴下や靴、アクセサリーを手に取り「これとこれはどうかしら?」とキャッキャと相談していた。

 さすがメイドさん、連携がすごい。

 あれよあれよと言う間に私の髪の毛はふわふわの緩いウェーブがかかったものに。あれだね、ゆるふわだ。過去こんなヘアスタイル一度もしたことないわ~。

 隣を見るとエルナたんのヘアスタイルも私と同じ様に下ろした髪の裾がふんわりと巻かれていた。ぎゃわいい!

 そしてすこし太めの濃い水色のリボンをカチューシャ風に頭のてっぺんで蝶々結びされた。エルナたんは赤。目が合うとにこりと笑ってくれた。ふおぉぉ!




「じゃん!」


 靴下と靴よーし!私はキメポーズで姿見の前に立つ。

 …なんだろう…モデルポーズをしているつもりなのに酔っ払った足元覚束無いおっさんに見える…。


 片やエルナたんは完璧な淑女だった。

 同じ服に同じ髪型なのに天と地ほどの差があるのはなぜだろう。

 まぁ、いいや。エルナたんは天使なんだから当然だよね!


「素敵よ、ラピス」

「ほんとぉ?エルナたんはお姫様みたい!」

「ラピスもお姫様みたいよ」

「えへ、えへへへ~」


 お世辞だと解っててもエルナたんに誉められると嬉しくて鼻の下伸びちゃうぜ。今の私顔、絶対にマントヒヒだ。


 ニィナさんを始め、メイドさん達は私達の出来映えに大満足なのか笑顔でうんうん頷き合っている。

 そして仕度が終わったエルナたんと朝ごはんを頂きにダイニングルームへと向かった。手を繋いで!ふは!





「おはよう、エルディアナ、ラピス。今日の二人はまるで姉妹のようだね」


 ダイニングルームへ入ると公爵様が椅子に座ろうとしていたところで、私たちを見てにこりと笑った。

 そうだよね、オソロだもんね~!姉妹コーデみたいで可愛いよねー!うへへ。


「おはようございます、お父様」

「おはようございます!」


 二人で朝の挨拶を済ませたところで扉からシャーロット様とアー君と伯爵様が一緒に入ってきた。私を見た瞬間アー君が瞠目して固まる。


「あ、アー君!昨日はごめんね、貴族は男の子と女の子は一緒にお風呂入っちゃ駄目なんだってエルナたんに聞いたんだー。知らなかったから誘っちゃってごめんね?」

「……」

「アー君?どったの?」


 目の前で手のひらをヒラヒラしてみたけれど、アー君のフリーズが解けない。どうしたんだ?


「伯爵様~アー君が凍っちゃった」

「ん?心配するな。男には良くある現象だ」


 マジか!男の子ってこういうの良くある事なんだ?長年女として生きてきたけど始めて知ったわ。


「血はなんとやら…ね。さすが貴方の息子…。旦那様も昔は良く凍ってたものね~?」

「は!?俺は別にそんな…!ま、まぁその…あったような…なかったような…?それはお前がアレだからで…」

「はいはい、旦那様も青春してましたものね~」

「ばっ…違っ…!」


 何だかシャーロット様が伯爵様を弄ってる。ほっぺたをツンツンされた伯爵様が照れなのか拗ねているのか解らない表情で顔を背けていた。仲良しだね~。


「うふふ…ラピスちゃんが今日はいつもと違うから見違えたのよ、アランは」


 ほう、なるほど。

 つまりいつもより女の子らしい格好をしてるから私が誰だか解らないって事だね!


「アー君アー君!私ラピスだよ~知らないひとじゃないよー?」


 むいーん、とアー君のほっぺたを摘まんで伸ばして離すとやっとアー君がハッと瞬いた。


「アー君私ラピスだよ?」

「ぁ!え、あ!その!」


 我に返ったアー君はなんか変にアワアワしてる。どうしたんだろう?まさか本当に知らない人だと思っているんだろうか?そりゃ今日の私は自分で言うのも何だけど、人生初の女の子らしい可愛い格好してるけどさ。


「今日はエルナたんとお揃いなんだよー。可愛い?」

「ぁ…ぅ、うん、かわ、かわいい!」


 こくこくとアー君は激しく頷いた。そんなに頭振ると酔うよ?

 アー君の言葉に満足してエルナたんと一緒に椅子に座った。私の横にエルナたん、前には未だにぼんやりとしたアー君が座る。

 全員が席につくと朝食の始まりだ。

 和やかな雰囲気で食事を進めていると、アー君が思い出したように「あ」と声を漏らした。


「ラ、ラピス、前に貸した歴史書ってもう読んだ?」


 歴史書?なんだっけ?

 思い出せずにこてんと首をかしげた私にアー君は「聖女の話をしたときだよ」と付け加えた。それで漸く思い出す。

 アー君に歴史書を借りていたけど、あの後ゴタゴタしててすっかり忘れていたよ。空間収納魔法を覚えてからは確かそっちに入れてる筈だけど、借りていたことも忘れていたんだから当然読んでない。


「ご、ごめんアー君!まだ読んでなくて…もうちょっとだけ借りててもいい?」

「う、うん、別に、その…直ぐに必要とかじゃないから」


 アー君は視線をそらして頬を指先でカリカリしながら言う。


「ありがとう、アー君!今週中にちゃんと返すから」

「いや別に急かしてる訳じゃなくて…ぇと、ラピスが読み終わってで全然いいから」


 アー君が本の事言ってくれて助かったよ。危うく借りパクしちゃうところだった…。

 空間収納魔法って便利だけど、中に入れる物とか忘れがちになっちゃって駄目だね。目録とか作っとこうかな。

 そんなことを考えながらオムレツを口に運ぶと隣のエルナたんがツンツンと腕を突いてきた。エルナたんの可愛いツンツンにオムレツが危うく鼻から出そうになる。アブネ。


「ラピス、歴史のお勉強をしているの?」

「うん、そうだよ。…ぁ、正確にはこれからだけど」


 まだ歴史書読んでないもんね。嘘つくとこだった。


「ふふっ、ラピスは正直ね」

「だって嘘ついても直ぐにバレちゃうもん」


 私は顔に出やすいからなぁ。エルナたんにくっ着いて学園に通うようになったら少なからず貴族の輪に片足の指先くらいは突っ込まなきゃいけなくなるし、腹芸も覚えないと。後ポーカーフェイスも。…無理っぽいけど。


「歴史ならお父様が良くご存じだから、行き掛けにお話を聞いてはどうかしら? ねぇお父様、良いでしょう?」

「構わないよ」


 公爵様は笑顔で了承してくれた。


 朝食が済むと出発の準備なんだけど、公爵様とエルナたんが「折角可愛いのに…」と声を揃えて言うものだから着替えるのはやめることにした。

 戦闘になったら動きづらいけど…結界を強固にしとけば大丈夫かな?

 エルナたんに悪意をもって近づく奴は爆散すればいい。と口にすると公爵様が「せめて骨折くらいにしてあげて」と乾いた笑いを溢したので渋々効力を弱める事になった。

 ぐぬぅ、解せぬ…。





誤字脱字がありましたらお知らせください(*^^*)いつもご報告助かってます!

ブクマ&評価ありがとうございます(*´ω`*)




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― 新着の感想 ―
[良い点] エルナたん推しのラピスがすごーく可愛いです! ブレないのが素敵♡ 酔って、ずーっとずーっと遠くのお空から、ずーっと見ていたエルナたんを助けにやって来たんだよの回は、一話のエルナたんを思い出…
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