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40・兎祭り

 


「よぉし!今日は兎狩りじゃぁぁぁ!!」


「「「うおおぉおぉぉ!!!!」」」


 野太い声が森に響き渡る。

 隊長は私。後は兎を逃さないために包囲網を張り巡らせる斥候兼囮の皆さんだ。

 とは言え一匹も逃すつもりはないけど。


 今日は待ちに待ったエルナたんに美味しい兎を食べさせてあげられる日だ。腕がなるぜ!


 と言う訳で、伯爵様のお屋敷に到着した公爵様の一行は散り散りに。

 公爵様は伯爵様とのお話合い。護衛として二人を残し、ロートベルさんとお屋敷に残ってもらった。


 今日は私が兎を狩ることを知っている非番の兵士の皆さんがお手伝いしたいと言ってくれたので、ありがたく頼むことにした。

 なので私を入れた兎捕獲軍は総勢35名だ。

 テオとギヴソンさんは私の監視と言う名のお供。因みにエルナたんたっての希望で、エルナたんも同行することに。ガッチガチのゴリッゴリの加護の魔法をかけたので、悪意を持ってエルナたんの半径5m以内に入ると塵になります。マジで。

 一応兎捕獲軍の皆さんにもその事は伝えてあるけれど、多分冗談だと思っていたのか、とある蜂がエルナたんに向かって行った瞬間に蒸発するように消えたのを見て全員が50m位引いてた。


「ラピスー!頑張ってー!」

「はぁーい!」


 エルナたんの声援に両手を振って応える。

 カッコいいところを見せなくては!と鼻息がフンフンしてるよ。()るぞぉー!


「ラピスー、やりすぎないようにねー!」


 テオがエルナたんの背後で小さく叫んだ。

 ヤるってどっち?物理?殺す方?


「では囮A班は森の西へ!囮B班は彼等の退路を繋ぐ為の場所で待機!A班が取り零した兎を引き付けて囮C班と合流!全員であの森の禿地に誘い込むようにバランスを取りながら前後を入れ替えろ!追い込んだ兎達にバレないように網のように囲んで範囲を縮め兎を一ヶ所に集めるように!以上!作戦を決行する!!全員、死ぬ気で走れぇぇ!!」

「「「オォォォ!!!」」」


 私の号令に兵士の皆さんが森の西側に駈けて行く。マーキングしてある兎は東西南北と別れて生息しているけれど、今日は数が多い西側の兎を狙うことにした。

 私はいってらっしゃーいと彼等の背後で手を振って見送る。


「え、ラピスは行かないの?」


 残った私を見てテオとギヴソンさんは首をかしげる。


「だって私を見たら兎が逃げちゃうんだもん。だから兵士の皆さんに囮になってもらって一ヶ所に集めてもらったのを私が狩るの!」


 いい考えでしょ!と胸を張ればエルナたんが「ラピスは天才ね!」と頭をナデナデしてくれた。えへ。


「いやしかし血塗れ兎は人間よりもずっと足が速いんだよ?一瞬で追い付かれてしまって彼等はやられてしまうのでは…」

「あ、それは大丈夫!兵士の皆さんには条件付きで発動する【駿足】の魔法をかけてあるから!」


 ギヴソンさんが言う通り、兎の足は人間の数倍早い。追い付かれると多分ボコボコにされるだろう。

 だから安全対策のため全員に魔法をかけた。【駿足】の魔法は肉体強化の魔法なので使用者に負担がかかる。なのでとある条件下でのみ発動するようにしたのだ。


「因みにその条件とは…?」


 ギヴソンさんはごくりと息を飲む。


「えぇと、段階別で、『危険!』で発動して、『命がヤバイ!』でプラスブーストがかかるようにしてるよ。多分ブースト状態なら兎でも追い付けないんじゃないかな?次の日は筋肉痛確定だけど死ぬよりましだもんね!」

「……」

「笑顔でサラッと鬼みたいなこと言うね…」


 ギヴソンさんは西の方角を気の毒そうに眺め、テオは口角を引き攣らせながら笑っていた。


 だって仕方ないじゃん。兎は何でか私を見たら逃げ出すし、別に追いかけても良いけどそれだと一匹づつ狩ることになって時間が無駄になる。それなら一網打尽にした方が効率も良いし時間も無駄にならないからこれが一番いい方法なんだもん。


「それじゃ私達も移動しよっか」

「そうね」


 作戦の最終捕獲地はあの私がやらかした山禿げの場所だ。あそこなら周りに余計なものもないから罠も仕掛けやすいし、戦闘するには足場が良いので選んだ。


 四人で森の中を歩き、捕獲地まで進む。

 振り返るとエルナたんの足には私がプレゼントしたあの長靴が。今はまだ大気にほんのりと湿気を感じる程度なのだけど、一応季節はもう梅雨だ。いつ雨が降っても大丈夫なようにとエルナたんは長靴を持ってきてくれていた。

 二日前に雨が降ったのでぬかるんでいる場所もあるため長靴君は大いに活躍してほしい。そんな私も長靴はいてたりする。

 えへ。エルナたんとオソロ!


 10分ほど歩いた先、森が途切れているあの場所に出た。

 私がやらかした後、兵士の皆さんが整備してくれたお陰で薙ぎ倒された木々や岩などは綺麗に片付けられている。これなら罠も仕掛けやすい。

 森から出て50mくらい先に進み魔法で結界を張った。外から中に誰でも入ることはできるけど、出ていけるは人間だけという条件を付ける。要するに一度結界内に入った魔物は自力では外に出られないと言う【簡易兎ホイホイ】だ。

 囮の皆さんにはこの結界に向かって兎と共にご入場。そんで兎を残してご退場してもらう。


「さてと…囮の皆はどうなったかな…?」


 探知魔法でマーキングした兎を探すと、団体がかなりのスピードでこっちに向かってきているのが見えた。

 思ったよりも早いかも?


「エルナたぁーん!もうすぐ兎来るから危ないからこっちに来て~!」


 呼ばれた三人がやって来たので私も含めて結界を張る。私が見えたら兎は逃げてしまうので結界外から中は見えない仕様だ。


「ドキドキするわね」


 意外にもエルナたんはワクワクしているのかほんのりと頬がピンクに染まっている。きゃわいい。


「因みに罠ってどんなの仕掛けたの?」

「罠っていうか魔物は入ったら出られない結界だよ。本当は地面に穴空けて針山仕掛けて串刺しにしたかったんだけど、それだと一気に始末できても綺麗な毛皮が捕れないから」


 テオの問にさらっと答える。

 そう、血まみれ兎の毛皮は高級品。最近まで知らなかったけどどうやらこの間の兎の毛皮は街で売られたらしい。なぜ知っているかと言うと料理長のマリスさんが「いやぁ~良い小遣い稼ぎになったぜ!嬢ちゃん毛皮の事は何も言わないから要らねぇのかと思って売ったわ☆」とほくほく笑顔でのたまったのだ。

 おい!それ本来は私のものじゃねぇか!と、猫ババしやがったマリスさんに腹を立てて頭をシャッフルしてやった。

 誠心誠意謝って「超うまいケーキ毎日作るから!」って事で手を打ってあげた私すごく優しい。お陰で未だに美味しいケーキを献上してもらっている。


 おっと、脱線…。


「毛皮いっぱい捕れたらエルナたんにあげるね!襟巻きもコートもいっぱい作れるよ!」

「まぁ。ありがとう、ラピス。じゃあラピスにも何か仕立てましょうね!お揃いよ?」

「きゃ~!エルナたんとオソロ~!」


 エルナたんときゃっきゃしていると俄に西の方角の森が騒がしくなる。野生の鳥や動物の鳴き声などに混ざって人の叫び声や怒号、罵声が近付いてきた。

 どうやら囮役の皆さんが帰ってきたようだ。


「よぉし!頑張るぞぉー!」


 オニクニクニク肉祭りじゃぁぁ!!



あけましておめでとうございます(*^ω^*)

今年もマイペースですが更新頑張りますのでよろしくお願いいたします(^^)


タイトルなんだか可愛いのに内容えげつない回です笑

肉祭りと兎祭りどっちにしようか迷いました…


誤字脱字がありましたらお知らせください(*^^*)

ブクマ&評価ありがとうございます(///ω///)♪

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