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37・リンゴ箱ふたつ分

 

 翌朝、ギヴソンさん一行は公爵様の領地へ向かうために宿を出た。

 テオにはエルナたんへの贈り物とお手紙を預かって貰った。ちゃんと渡してくれることを信じてるよ、テオ。


 そんなこんなであっという間に日々は流れてエルナたんと別れて一月が経った。5月ともなると運動すると汗ばむ季節になった。

 この世界、日本と同じ様に四季があって勿論梅雨もある。後一月もすれば雨ばかりが続く嫌ぁ~な季節だ。北の領地は梅雨の時季はサラッとしてるらしいけど、なんとも羨ましいことだ。


 私はテオと別れて二週間経った今、やっとあの謎の文字の暗記が完了して今は空間収納魔法の魔方陣を暗記中だ。

 最近は伯爵様のとこの軍隊の人達もちょこっと私の襲撃に慣れてきたのか、最後まで残ってる人がちらほら増えてきた。

 そろそろ攻め方を変えようかな?と溢せば皆顔色を変えてたけど、同じ戦闘を繰り返すだけじゃ実践じゃ使えないもんね。



「よし、今日は待ちに待った空間収納魔法実践の日だ。魔方陣は完璧に暗記したな?」

「はい!」


 伯爵様は何故か今日も私の先生をしてくれていた。最初の頃は本当に脳筋だと思ってたので感謝感謝。


「目を閉じて頭の中で暗記した魔方陣を詳細に思い浮かべろ。そしたら異界への扉が開く。よし、始めろ」


 言われた通り目を閉じて頭の中で魔方陣を描いてゆく。全てを描き終えた瞬間、頭の中の魔方陣が目映い光を放ち出した。閉じているはずなのにそれでもなお刺すような光の矢が容赦なく目を照す。光の洪水がまるで目から溢れそうになった時、私は思わず目を開いてしまった。


「っ!」


 目を開くと目の前には伯爵様が屈んで私を見ていた。意地悪そうにニヤニヤしている所を見るに、この現象を知っていたのだろう。


「どうだ?眩しかっただろう?」

「目が焼けそうでした」


 本当に目玉焼きになりそうなくらいの光だったよ。目だけに。うん、面白くない。


「光が溢れたってことは空間収納魔法の適正があったって証拠だ。なければ何も起こらないからな」

「そうなんだ…」

「で?どうだ、空間の大きさは。 意識すれば頭の中に大体の大きさが思い浮かぶはずだぞ」

「わ~ドキドキするぅ~!」


 どうかリンゴ箱ひとつ分くらいの大きさはありますように!と念じて空間収納魔法の大きさを思い浮かべる。


「………………あれ?」

「どうした?」

「いえ、ちょっと…………よし、もう一回………」


 ん~!!と眉間に皺が寄るほど意識する。けれど頭の中にリンゴ箱は浮かばない。

 おかしい。なんでだ!?

 もう一回気合いを入れて頭の中にリンゴ箱を思い浮かべるも、無駄だった。


「……あれぇ?なんで?」


 私以上にワクワクとその様子を見ていた伯爵様の顔も怪訝になっている。


「大きさが解らないのか?」

「ん~…?箱が思い浮かばないです」

「……もしかして頭の中で意識的に決まったら大きさの箱を思い浮かべてるのか?」

「はい」

「あ~…だからか。多分お前が思い浮かべている大きさよりも大きいんだろう。頭の中全体を眺める感じで見てみろ」


 今度こそは、と目を閉じて言われた通りに頭の中の見渡す。すると箱の隅のような角を見つけた。その角を辿って反対側の角も見つける。全部で八つの角が見つかった瞬間、頭の中で箱の大きさがポンと認識できる物に変わった気がした。

 私はずっとリンゴ箱を想定して「せめてこれくらいは!」と考えて思い浮かべていたのだけど、どうやら不安とは真逆だったようだ。

 私の空間収納魔法はリンゴ箱が沢山入るトラック並みだった。確かな大きさは中に物を入れないと解らないけど、多分家まるごとお引っ越しは楽々出来そうなくらいの広さがある。


 ん?あれ?でも確認されてる空間収納魔法はリンゴ箱ふたつ分くらいじゃなかったっけ?デカすぎるんじゃなかろうか。


「………」

「で、おおきさは?」

「えっと…こ、これくらい?」


 私は手で四角の箱を形作る。

 その様子を白けた視線でジー…ッと見詰める伯爵様。

 思わず視線を逸らしてしまった。


「!」


 突然ガシッと頭を掴まれる。またしてもアイアンクローですか。


「嘘はよくないぞ」

「はひ……」


 視線を元に戻された私は仕方無く白状したのだが…。




「……………」


 伯爵様はまたしても頭痛が痛い!みたいなポーズで項垂れてしまった。

 最近の頭痛の種は専ら私なのが申し訳ない。すまない、伯爵様。


「…はぁ…まぁ、お前は規格外だしな…」


 顔を上げた伯爵は若干虚無ってた。本当にごめん。でもエルナたんに関することについてはこれからも自重しない。なので許してほしい。


「取り敢えず、この話は俺とラピスの秘密だ。絶ッッッッ対に誰にも言うんじゃないぞ?!」

「了解です!」


 確実に面倒になりそうな事をわざわざ人に言う事もないし、見えないんだから大丈夫だよ、きっと。

 と言う事で、私の空間収納魔法の大きさは自称『リンゴ箱ふたつ分』と言う事に決まったのでした。


「わぁーい!これでお肉保存しておける!」


 そう、空間収納魔法の中は時間が止まっている。なので食べ物を保存していても腐ることがないのだ。最高!


「…頼むからお前はそのまま大人になってくれ…」


 伯爵様の謎の呟きを残して、本日無事に私は空間収納魔法を会得したのだった。


 やっふぅ!お肉ぅ!











 空間収納魔法を会得してから暫く、兎を見付けてはマーキングし、たまに遭遇する猪みたいな豚みたいな魔物をやっつけては軍隊の皆に差し入れしたりして過ごした。

 ちなみに、血塗れ兎は私を見ると何故か逃げ出すようになった。伯爵様が言うに「お前が兎を見る目は完全に捕食者だからな」だそうだ。だってお肉じゃん。

 勿論、魔法の勉強も捗っている。あと少しで伯爵様の蔵書は全て読み終わるところまで来た。今まではスルーしてた「イラネ」系の魔法も取り敢えずは使えるようにはなっている。




 エルナたんが公爵様と視察にやって来る日が近い。

 もうすぐ六月。


 成長した私にエルナたんは何て言ってくれるだろう?楽しみだ。

 ワクワクしながら今日も朝から兵士の皆様をブッ飛ばすのだった。





 ──そして、ついにその日はやって来た。



 遠くから公爵様の家紋が付いた馬車が見える。護衛にはギヴソンさんとテオも加わっていた。私に気が付いたふたりが笑顔で片手をあげる。


 いつもと同じ様に噴水広場に馬車が止まる。

 最初に公爵様が姿を現し、次いでエルナたんが公爵様の手を取って顔を覗かせた。


 きゃぁぁぁ!今日も可愛い!!


「エルナたぁーーん!」


 護衛の皆さんも執事さんも慣れたもので、私を見て笑顔で道を空けてくれる。

 私に視線を向けたエルナたんがふんわりと微笑んだ。

 これあれだよ、もうズキューーン!てやつだよ!


「ラピス!元気にしていた?」

「うん!すんごく元気!」

「ふふふ…」


 エルナたんの可愛いオテテが私の頭をサスサスする。

 んふぉぉ…いい匂い…!あんまりくんかくんかしてると怪しまれるので控えめに…。


「…あれ?エルナたん、背伸びた?」

「そうなの!この二ヶ月で4cm伸びたわ」


 頬をほんのり染めて照れたエルナたんが笑うと背景にお花がブワッと咲いたみたいだ。きゃわええ…!


「ラピスはいつも可愛いわね」

「良いなぁ~私全然伸びないよ~」

「大丈夫よ。そのうち伸びるわ。…それに小さいままでもラピスは最高に可愛いもの」

「ん?何か言った?」

「いいえ」


 ナデナデされながらなので聞き逃してしまったけど、エルナたんが楽しそうなのでまぁいっか!





ほぎゃぁぁぁ!!Σ(゜д゜ノ)ノ))

レビュー頂きました!!めちゃくちゃ嬉しくて吐血しそうです!!ԅ(,,´﹃`,,*ԅ)

ありがとうございます(★`>ω<)ノ


拙い文章ですが読んでくださる方が少しでも楽しんでもらえるように更新頑張ります!


誤字脱字がありましたらお知らせください(*^^*)

ブクマ&評価ありがとうございます(///ω///)

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