127・エルナたんを狙ってるのは
「それ、僕も賛成ですー!」
「アンタまで何言ってんですか?!」
はいはーい!と勢いよく笑顔で挙手したエデルさんに伯爵様がすかさずツッコミを入れた。エデルさんて教会嫌いなのかな。
「え〜。何でダメなの?別にいいじゃん…どうせいつか消すんだし…」
「は?!何不穏な事を言ってるんだお前は!」
ちっさい声で呟いたのに伯爵様の耳はしっかりそれを拾っていた。地獄耳〜。
まぁいつか消すってのは虚言でもないし、それがちょっと早くなるってだけのことなんだけどなぁ。断言はできないけど、エルナたんを狙ってるのは恐らく教会関係者だと思うし。
前にエルナたんを狙って襲撃してきた奴等の依頼主が目深に被った外套の隙間から終始首から下げた何かを握り締めているのを見たって盗賊の証言もある。
そんな癖…と言うか習慣がある集団がひとつだけ存在する。それが聖星教だ。
彼奴等は常に祈りを捧げるという名目でロザリオを下げている。そして常にそれを握り締めていついかなる時も祈りを捧げるらしい。教会の者からすればロザリオは聖遺物って事らしいけど、それどっかで量産してるやつだよね?とか誰も突っ込まないのかなって不思議に思う。聖遺物がそんなにゴロゴロあるわけ無いだろ!て誰も思わないんだろうか。
まぁそれはさて置き、教会にはいつかは消えてもらう。これは決定事項だ。
それにこの世界の人達は教会に対しては「まぁ困ったことがあれば行こうかな?」位の立ち位置で、前世で見た転生モノの創作物みたいに国王と並ぶ権力があったり…なんてことも無い。
どちらかと言えば前世で言う神社仏閣、という感じだ。
一般市民にとって教会はあればそれなりに使うけれど無くても困らない。その程度なのだ。
前世では教会には聖女が居て治癒魔法で人々を助けたりなんて話が多かったけど、治癒魔法を使える人は極稀で過去の大賢者様へのやらかしも世間に知れ渡っているせいか、もし治癒魔法が使えたとしても口を噤む人が殆どだ。
治癒魔法を使える者を抱き込みたい教会側としては無理やりにでも引っ張って来たいところなんだろうけど、誰も自己申告はしない。するわけがない。
とはいえ、宗教分裂なんて前世ではよくある事だったので、教会内部にも一種のカルト教団みたいなのが存在するのは周知の事実だ。まぁそのカルト思考が教会の7割らしいけど。
ちなみに王家と教会はそんなに仲は良くないみたい。と言うか一方的に教会が絡んでくるので迷惑しているそうだ。
─恐らくエルナたんを狙ってるのはそいつ等だ。
目的は分からないけど、エルナたんだけじゃなくてエルナたんの家族や大事な人達まで手を出している。
今のところはハエが飛ぶ程度の嫌がらせで済んでいるけど、度を越せば消えてもらう。塵も残さず、跡形もなく、文字通り、消えてもらう。
「伯爵様がそこまで言うなら今のところは許してやるか〜」
ふぅヤレヤレだぜ、と掌を持ち上げる仕草をすると「何目線だソレ…」と呆れられた。
「まぁいざとなったら武力と暴力と恐怖で世界征服すれば問題ないし!」
「いい笑顔で恐ろしい事言うんじゃない!!」
事実を言っただけなのに伯爵様にほっぺをムチムチの刑に処された。
それはそれとして、シリウス達は伯爵家に置いてもらえる事になった。うちにはもうすでに駄犬が一匹居るので連れて帰れないから助かる!それに呼ぼうと思えばシリウス達は何時でも何処でも呼べる気がするし。
私が魔法で作ったわんちゃんに精霊が入ってるので創造魔法とでもしておこう。召喚…とはなんか違う気もするし。そう伝えればシリウス達は「召喚魔法みたいなものだ」って言ってたけど…ま、どっちでもいいや!
そんじゃ、肉祭りも終わったし、明日また来るから帰るとするか。と立ち上がると思い出したかのように伯爵様が呼び止めてきた。
「来月、エルディアナ、来れないって」
「え」
なななななぜに?!
動揺でよくわからない動作をする私を見て伯爵様が笑っている。
「おぉ、面白い顔になってるな」
「なんで?!どうして?!」
「今日連絡があったんだが、レーシア殿─エルディアナの母親が目覚めたらしい」
「そ、そっかぁ〜…」
あ、なんだ。そっか。そゆこと。びっくりした〜…何か起こったのかと思っちゃった。
「で、少しの間様子を見るために今回は来られないそうだ、─って俺、お前にエルディアナの母親の事言ったことなかったよな」
そだっけ??
私は小説で知ってたけどもしかして秘密だったの?……そう言えば聖女になったクソビッチに公爵様がお願いするシーンがあったし、やっぱり秘密だったのかも。
ヤバイ。自分知ってます!みたいな顔しちゃったよ!ほら、めちゃくちゃ胡乱な目付きで伯爵様が見てる!
かくなる上は…。
「ぇ……えへへへ!!」
「あ!こら待て!ラピスーー!!」
笑って誤魔化して逃げたのだった。
で、翌日また伯爵家に襲撃かました私はその事をキレイに忘れて伯爵様に超元気に朝の挨拶して背後から拘束されて今現在執務室に連行されている。捕獲された宇宙人の気持ちである。
執務室のソファーに座っても離してくれない。
「どうせお前のことだからこの前のジーク事件の時にこっそり屋敷徘徊でもしたんだろ。どうなんだ?」
何と言う侮辱!確かにちょっといっぱいお屋敷の中で深呼吸したけど!いくらエルナたん大好きでもエルナたんのお部屋には侵入してないもん!
「失敬な!おトイレと壁とレーシアママのお部屋しか徘徊してないもん!」
「してんじゃねぇか!」
「あ」
「あ、じゃねぇ」
誘導尋問によりゲロっちゃった。
「まぁそれは良くないが今はいい…。とにかく、人様の屋敷を徘徊すんのはやめろ。うちは良いが他所は見られたくないものだってあるだろうし。解ったな?」
「はーい」
全く…本当に解ってるのか…?とブツブツ言いながら再び厩舎へ。伯爵様の愛馬シルバーに鞍を着けているところだった。
「お〜!シルバー!今日もよろしくね!」
シルバーが「ブルルン!」と鳴いてお返事してくれる。ええ子や。
いやだからシルバーじゃねぇって…と伯爵様がぼやいていたのを馬番の兵士さんが笑ってみていた。
そして私と伯爵様の2人だけで街へと向かう。今日のお供はシリウスと愉快な仲間たちのみである。あと2匹の名前も考えなきゃな〜。
「主…今日は乗ってくれないのか…」
しゅん…と耳としっぽを垂らすシリウスに他の2匹が慰めるように鼻先を近づけ合っている。
「今日はね〜シリウスに乗れるように専用の鞍を作ってくれるんだって!」
「本当か?!」
パッと顔を上げたシリウス達の耳と尻尾が上を向く。
シリウス達は馬とは違うから馬に使う鞍だと窮屈かも知れないって伯爵様が新しい専用の鞍を作ってくれるって言ってくれたんだよね。
「あと野生の魔獣だと勘違いされないように所有の首輪をして貰うことになるんだが、いいか?」
伯爵様がシリウス達に伝えると構わないと頷いてくれる。表向き所有者は伯爵様になるけれどそれも私のそばに居るためだからと理解してくれた。
「あ、そだ。ジル達にもシリウス達の事紹介しないとだよね」
帰ってきたらジル達にもご挨拶しよう。んで首輪に着けるカッコイタグを作ってもらお!
なんて考えながら伯爵様と一緒にシルバーの上で揺れながら再びのニョルニョルに向かった。
うわぁぁ〜〜!!かなりの間が空いて申し訳ないです!(;∀;)
暑いとだらけちゃって筆が進まなくて…夏嫌い!ホント嫌い!早く終わってほしい〜!!
誤字、脱字がありましたらお知らせください!助かります(〃´ω`〃)
ブクマ&評価ありがとうございます♡




