116・充魔力
でっかい魔石を見た伯爵様が「胃が…」とか言ってる。お腹すいたのかな?
「でね!これでジルに作って欲しいものがあるんだぁ~」
「え、…ぁ、うん…」
ハッとしたようにジルが返事してくれたけど、魔石を見つめたまま腕を組んで悩むような仕草を見せる。
「どしたの?」
「ん~…いや。流石に古竜の魔石だけに含有魔力が半端ないな、と思って」
「そうなの?魔力強いとダメな感じ?」
「そうじゃないけど、1個体にこれだけ含有魔力が多いと共鳴を起こして同じ魔石から作った魔道具に影響を与えてしまうんだ」
ジルが言うには魔石にはそれぞれ違った波長の魔石が含まれていて、それをいくつかに分けて魔道具を作ったとしても含有魔力がそこまで強い訳ではないからお互いが共鳴し合って誤作動を起こすこともないらしい。
含有魔力が多く含まれるものは基本的に1個体をそのまま武器や魔法の威力を高めるために使う杖になったり、あとは国が買い取ったりするそうだ。
「そうなんだ…」
「これだけ質のいい魔石は国宝級なんだけどな…」
う~ん…。なるほど。小さくしてもダメなんだ………。ん、いやちょっと待て。私が欲しいものってアレだし…。
「ふへ…」
むしろ最適の魔石なのでは?では?
「ちょ、兄さん…ラピスが笑ってるよ」
「……」
シーナちゃんこそこそジルに耳打ちしてるけど聞こえてるよ。ジルもなに、その顔。
「ラ、ラピス?…無理だからな!」
「まだ何も言ってないんだけど」
解せぬ。何でまだ何も伝えないうちにお断りするの。
「うへへへ……この魔石を使って─いやむしろこの魔石じゃなきゃ作れない物を作って欲しいんだけど、ジルなら絶対に作れると思うからァ…」
話聞いて?と熱く見つめてみた。
「う…っ!」
ジルが怯んでいる!後一押しだ!
「わ、解った…話を聞く…」
「やったー!」
ジルが頷いてくれたのでこれで例の物が手にはいるぞー!と万歳すると伯爵様と、伯爵様の腕の中のジークがなんか酸っぱい物食べたみたいな顔してこっち見てた。なんだ?
ちなみに自分では可愛く見つめてるつもりだったのに、後に伯爵様とシーナちゃんから聞いた話では「暗闇の中で獲物を狙う猛獣の眼をしてた」て言われた。酷い。
と、言うわけでジルには例のブツを紙に描いたり身振り手振りで性能や使い方なんかを説明した。
「なるほど…おもしろいな」
説明を聞いたジルは神妙な表情で、けれど楽しそうに小さくうんうんと小さく頷いた。ジルは職人気質だしちょっと難しいものを作るのに燃えがちなんだよね。
「でしょ?」
「……。おもしろいとは言ったけど、簡単じゃないんだからな。ラピスにも協力してもらわないと─」
「まっかせて!!」
むん!と胸を張って叩くとジルは苦笑を溢しながらわしゃわしゃと私の頭を撫で回した。
ジルにはお願いしたもの。それは古竜の魔石を使ったなんちゃって携帯電話だ。
電話と言っても通話をするわけではなく、メッセージのやり取りを行える前世で言うメール機能やLI○Eアプリみたいなもの。古竜の魔石が共鳴し合うなら板に加工した魔石に何らかの方法で書いた文字をAの板からBの板へと映すことが可能なんじゃないかな?と考えたものだった。
前々からどうにかして簡単にメッセージのやり取りが出来ないか考えてはいたんだよねぇ。そのためには大きい魔石が必要だろうからって考えてた矢先にジークにおっきい魔石を貰ったのでこれは作らねば!となった訳だよ。
ふへ。これでエルナたんと毎日メッセージのやり取りが出来りゅ…!!えへえへ…!
「ちょぉぉっっっと待て!」
と、そこに伯爵様から待ったがかかる。なんだよ~水さすなよぉ。
「待て。本当に待て。それはやばい。それはつまり機密情報が簡単に外に流せる…そんな危ない─否、下手を打てば間諜の疑いを掛けられる可能性だってあるものじゃないかっ」
なんで?
そんな難しく考える様なものじゃないのに…。
と、そこまで考えて至った。
そう言えばこの世界ではまだ手紙での遣り取りが主流だったっけ、と。
お金持ちの人は人を雇ってその日の内に早馬でお手紙を相手に渡すことが出来るけど、私が提案している魔道具なら一瞬で手紙が届くことになる。
─だがしかし。伯爵様は何か勘違いをしている。
それは、私がメッセージのやり取りをしたいのはエルナたんだけっ!て事だ。そのための魔石!私と!エルナたんだけ!の魔道具を作るための魔石なのだ。なぜ他にも作るみたいな考えに至っているのか、ほわぁい?
「えぇっと…あの、伯爵様…?」
はて?と首を傾げているとシーナちゃんがおずおずと伯爵様に声をかけた。
「大変言いにくいんですけど、多分…あの…ラピスの事なので…その魔道具を作るのはラピスとエルディアナ様の分だけかと…」
「まぁ、ラピスだしな……」
シーナちゃんの突っ込みにヤトーも何だか訳知り顔でうんうんと頷く。さすが、解ってる。
「ぇ、いや…けど…話を聞く限りそれって凄いものじゃ…え?何か俺がおかしい風になってる?」
ここにいる伯爵様以外の皆は私の意図を汲み取ってくれているので何も驚いてないのに、伯爵様だけ「え?」とか「は?」とか段々虚無顔になってゆく。
なんだろ。伯爵様も私とお手紙のやり取りしたいのかな?面倒じゃなければお返事してあげても良いけど。とは言え私が毎日メッセージのやり取りをしたいのはエルナたんだけなんだけどね!むふー!
「わうわう!(そのメッセージのやり取りを行う板なら我も兄達に聴いて知っているぞ!そこそこ魔力を秘めた魔石を2つに割って対となる物に仕込めばその魔石の数だけ数人とやり取りが出来るはずだ)」
「え!ホント!?」
突然空気のジークが得意気に語ったのはありがたい情報だった。
「ちょっと待て。そこそこ魔力がある魔石なんてそう簡単に見付からないぞ」
「そうなの?因みにどれくらいの含有魔力でどれくらいの大きさなら大丈夫そ?」
「流石にうちにはジークが言うようなレベルの魔石はないしなぁ…」
ジルが言うならそんなに見つかりにくいレベルの魔石なのだろうか。
そう言えば魔力が尽きた魔石って確かただの石ころになっちゃうんだっけ。充電乾電池みたいに魔力を充電?充魔力?出来ないのかな?
よし、試してみよう。
「ジル、ジル。魔力が尽きた魔石って今ある?」
「ん?あぁ。あるぞ。 ヤトー、そこの木箱持ってきてくれ」
「おぅ」
部屋のすみに置かれていた小さな木箱をヤトーがジルに手渡す。それを机に置いてくれたので中を覗くと大きさがバラバラの本当にただの石にしか見えない魔石が入っていた。
「ジーク。どれくらいの大きさなら大丈夫かなぁ?」
「わふ(どれどれ…。ふむ。これくらいの大きさなら大丈夫だと思うぞ)」
ジークが選んだ石はそこまで大きくはなかった。どちらかと言えば小さい。私の手のひらにすっぽりと収まる大きさだった。
「なるほどなるほど…」
とりあえずこの空っぽ魔石に魔力を貯めるイメージで魔力を流してみよう。
両手で魔石を包み込んで…石の真ん中に魔力を渦のようにして貯めていくイメージで……壊さないように…壊さないように…。
「─せい!!」
一瞬指の隙間がチカッと光った気がした。成功したみたいだ。
ゆっくり手のひらを開くとそこには青く透明度の高い、金の粒が夜空みたいに散っている前世で言う所のラピスラズリにほんの少しだけ似たような魔石があった。
「わーい!やったー!成功だー!ジーク見て見てー!」
充魔力成功の魔石をジークに見せると何故かジークは白目を剥いて反応がない。仕方ないのでジルに誉めてもらおうと振り返ると、ジルも伯爵様もなんか青ざめていた。なして?
ヒィィィ!お久しぶりです!(´゜ω゜`)
相変わらず更新が遅くて申し訳ないです…それもこれもアプデ後の仕様の使いづらさが…ボソボソ
己のミスでバックアップが全部消えちゃって心が折れてしまったのも原因なんですが⁝( ;ᾥ; )⁝
あまりにも使いにくいので移行も考えたり…pixivに…とも考えたのですがあそこってえっくすの本垢じゃないと駄目だったような(;・∀・)
えっくすの本垢はちょっとアレなんで…ね…もう変態発言しかしてない腐った垢なので…
まぁ最悪もうダメだ!と思ったら何処かへお引っ越ししようと思います!今はしないですけど(´・ω・`; )
誤字、脱字がありましたらお知らせください!助かります(〃´ω`〃)
ブクマ&評価ありがとうございます♡




