113・伯爵様も道連れ…!
お待たせしましたー!!お待ちかねのお説教回です!!(酷www
「はぁぁ~~~………」
ジルがすっごく深ぁく溜め息をついた。
なんで?こんなレア素材前になぜにそんな溜め息?ほわい。
「─規格外だとは思ってたけどまさかここまでとは…」
何てものを持ってきたんだ、とジルが頭を抱えて俯く。なぜ?もっと喜べばいいのに。
「これでエルナたんの剣作れるよね?ね?!」
「……」
ジルの目に光がない。どうしたんだろ?
「兄さんとラピスの温度差が酷い……」
シーナちゃんがポソリと呟く。温度差?私はいつもホットだぜ!ジルもホットだよね?ね?あれ?
「…取り敢えずコレ、伯爵様に報告しないと…俺には許容オーバーだ…」
「あ、伯爵様にも何か作ってあげて欲しいんだけど。ほら、日頃お世話になってるし」
何がいいかな?やっぱり剣がいいかな。
「ラピス…ワクワクしてるところ悪いんだけど、覚悟しといた方がいいぞ」
「なんで?」
呆れたような視線はやめて欲しい。
ヤトーが伯爵様へ知らせに行って一時間弱。その間エルナたんの剣のデザインを紙に描いて待っていた。
どうせなら色々な機能も付与して欲しいし、エルナたんに似合うデザインにしたい。エルナたんが使うならやっぱり刀身…剣だから剣身?は細身でぇ~…。
カリカリ…カリカリ…。
「………」
「わぁ……ちょっと兄さんしっかり!…ラピス大丈夫なの?かなりノリノリなんだけど……」
「俺に何を作らせようとしてるんだ…」
「なんか見たことない形状の剣なんだけど。 えっ、何か端っこに『皆殺しモード』とか書いてあるよ!?」
背後から私の最高傑作のデザイン画を覗き込みながらふたりが何やらコソコソと囁き合っているけど小声なので何を言ってるのか聞こえない。と言うよりも熱中してて私は気が付かなかった──既に伯爵様が背後に居たことに。
ガシッ
ん?何か頭に乗ったぞ?んん?
ま、いっか。続き続き…と、モチーフは薔薇かな、やっぱり。ふへへ…エルナたんはやっぱり高貴なバラだよね~。むむっ、薔薇の絵って難しいな。
「楽しそうだな、ラピス」
地を這うような低い声にやっと背後に誰かが居ることに気がついた。
振り返るまでもなく、ぐいっと顔を動かされてそれが伯爵様だと気が付く。ものすごい笑顔なのに目が笑ってない。
「さて…楽しい楽しい話し合いをしようか…?」
はて?話し合い?何か話し合いするようなことあったっけ?
「ダメだ。この顔は全然解ってねぇ…」
笑顔で頬を引き攣らせた伯爵様は片手で自身の顔を覆って盛大に溜め息をついた後、両手を私の顔に近付けたかと思うとほっぺをモニ~っと引っ張った。
「でぇ?お!ま!え!は!この一週間、どこで!何を!してたんだッッ!!」
「あぅ、あぅ、はぇ?うぅ?」
言葉を区切る度にほっぺをもちもちされたら喋れない。
一体何に対してのお説教……──はっ!そうだっ!私家族と伯爵様に嘘ついて冒険に出掛けたんだった!確かお祖父ちゃんがうちに来る途中で伯爵様の所に寄ったからバレてたんだっけ!!
「ほぅ?その顔は思い出したみたいだな」
「あうぅぅ」
それから小一時間ネチネチガミガミお説教された。
冒険に行くときは必ず両親と伯爵様に相談する、とか。嘘をつかない、とか。行くときは必ずいく場所を言ってから出掛けるように、とか。とにかく細かいことまでしつこく言い聞かされた。
おまけに公爵様からも連絡が来てたのか、私がエルナたんちにお邪魔したのもバレてた…。
「全くおまえは…」
で、いい加減お説教のネタが切れたかな…?と思ったら「そう言えばアーチェスが犬がどうとか言ってたな」と呟く。
あれ?言われてみればジークの事全然聞かれてないな?
「きゃん(呼んだか?)」
椅子に座ったままの足の間からニュッとジークが顔を出す。
「うおっ、ビックリした。アーチェスが言ってたのはその犬の事か?」
「えっと…公爵様はジークの事なんて…?」
なんとなくジークの事を古竜だって伝わってない気がして聞き返す。…ん?あれ?これ追加で怒られる案件…?
「詳しくは書かれてなかったが、黒い犬がラピスと一緒に居るはずだからラピスに話を聞けって。なんだ、また何か問題を起こしたのか?」
酷い!私が問題を起こす前提とは!無問題だもん!
「まぁ犬の事は置いといて、ヤトーから聞かされた頭の痛くなるモノってなんだ?」
「わふ!?きゃんきゃん!!(何だと貴様!?我の事を荷物みたいに言うな!)」
「わ!なんだ?!おい、ラピス!犬を止めろ!」
ぞんざいな言葉にジークがお怒りなのか、伯爵様の足をグルグル高速で八の字で回り初めた。地味に面白い。
と言うかヤトーってば古竜の骨を「頭の痛くなるモノ」って説明したの?なんで?めちゃハッピー素材なのに。
「伯爵様が悪いんだよ?ジークは凄いワンコなんだから」
「きゃん!きゃうん!(そうだぞ!我を敬え!プリンを差し出せ!)」
「はぁ!?と、とにかく犬を止めてくれ!」
プリン云々はさておき、ジークの伯爵様責めを止めなくては。後で怒られるの私だし。
「ジーク!いたずらしちゃダメだよ。プリン貰えなくなるよ」
「きゃう!?(なに!?)」
ピタリと動きの止まったジークが私の前へやって来た。椅子に座ったままの私の膝に前足を乗せて「なぜだ?」と首をかしげる姿はまんま犬である。
「伯爵様の所の料理長はすごく腕がいいから、伯爵様にいたずらするとプリンくれなくなっちゃうんだからね」
「きゅぅぅん…(それは困る…)」
「イイコにしてないとおやつ抜きだよ。」
「わふ…(うむ…)」
メッ!と叱るとジークの耳がぺしょんとなる。解ればよろしいのだよ。
「伯爵様もジークと仲良くしてね」
「は?」
間の抜けた返事が返ってきた。まぁ犬にしか見えないから仕方ないかな。
「だって、アレをくれたのはジークなんだもん」
「「「え!?!?」」」
スッと指差した先のモノ…真っ黒で艶々の硝子細工みたいな骨の山を見てジルとシーナちゃんとヤトーが声を揃えて固まった。3人にはあれが古竜の骨だと言ってあるから、今ただのポメにしか見えないジークに結び付かないみたいだ。
「………何だ?あの硝子みたいな骨は…」
伯爵様だけ首を捻って骨とジークを交互に見ている。
「古竜の骨だよ」
「──…は?」
「だから、あれ、古竜の骨」
「…………」
どうせ怒られるなら自分から素直に言っとこう。うん、そうしよう。と素直に吐いた。
すると伯爵様は骨をじっと見つめた後私を見て、また更に骨を凝視したかと思うと「嘘だろ…」と頭を抱えてその場にしゃがみ込んでしまった。
え、なんでその反応??
なんでこんなハッピー素材にこの世の終わりみたいな反応すんの?意味が解らないんですけど。
「伯爵様の剣も作れるくらいいっぱいあるよ?エルナたんのオマケだけど」
「アッッッホかッッ!!そんな伝説級の素材で出来た剣なんて持ってみろ!俺の人生がヤバイわッ!国の宝物庫にもそんな伝説級の素材で出来たものなんてないんだぞ!?貴族会の狸ジジイ達に難癖付けられて国家転覆の冤罪吹っ掛けられるだろうが!しかもオマケかよ!?」
バッ!と顔をあげた伯爵様が焦ったように捲し立てる。
「言わなきゃいいじゃん」
「バッ…!……………」
今バカって言いかけた。酷い。
「─…それもそうだな」
伯爵様と私、顔を見合わせてネッチョリ微笑み合った。
この世界にはファンタジー小説にありがちな【鑑定士】と言う存在が居る。だがしかし、その人物の能力を上回るものは鑑定が不可能なんだよね。
つまり、この古竜の骨で出来たモノは古竜以上の能力を持たない限り鑑定出来ない。見たことも触ったこともない素材は未知の物として無意識下で脳裏には浮かばないのだ。
鑑定不可能。要するに見破られなければ「やったね!大勝利!」てことなのだった。
へっへっへっ……これで伯爵様も道連れ……!
遂にラピスの魔の手が伯爵様に…!www
更新頑張るとか言いながらノロノロですみません!(O.O;)
誤字、脱字がありましたらお知らせ下さい!大変助かりますので(*^^*)
ブクマ&評価ありがとうございます!




