109・祖父母
「たっだいまーー!!」
意気揚々とバーン!と我が家の玄関を開いたらお父さんとお母さんとお兄ちゃんに、後知らない人がふたり居た。両親より年上で男の人はプラチナブロンドの髪と髭のダンディなおじさんで、女の人はとっても綺麗で金髪を上品に結い上げた人だ。ふたりとも身なりが良いからお金持ちの人なのかな?
そんな事を考えながら見上げた大人達の表情は驚きと困惑…父と兄に至ってはボタボタと涙を溢したままの驚きの表情で固まっている。
何かあったのかな?
「お父さん!犬拾ったから飼っていい?名前はジークって言うのー!賢いんだよ!」
「きゃん!(我、賢いぞ!)」
ジークを持ち上げて父に必殺おねだり幼女ムーヴ。
いつもならこれで父はイチコロなのに…。今日は父どころか兄さえ無反応な上、相変わらず誰も言葉を発しない謎の現象だ。
「……どうしたの?」
父を見上げたまま首を傾げると固まったままの父から「ら」と一言溢れ落ちた。「ら」??
「「「「「ラピスーーーッ!!!!」」」」」
ひえっ!何事!?
驚いて肩が跳ねるとジークもビクーン!と手と足か固まる。
「うわぁぁあん!!よかったラピスぅ!!パパは死ぬほど心配したんだぞ!!」
「ぐえ!」
ガバッ!と父にジークごと抱き締められ私もジークも潰れたカエルみたいな声が出た。
その後ろからは兄が覆い被さる様に抱きついて父みたいに号泣している。一体何事?
ひたすら頭の中はクエスチョンマークがグルグル回っていたのだけど、背後から忍び寄る不穏な空気を漂わせる母に父も兄も声を詰まらせた。
「ラぁ~ピぃ~スぅ~?」
あ、あれ?何か母が激オコじゃない?なんで??
「いったい今まで何処にいたのーーッ!?」
「!!」
特大のお怒りに肩が跳ねる。そんな母から守るように父と兄がギュッ!と私を抱き締めた。
「ろ、ローリア!やっとラピスが無事に帰ってきたんだ、そんなにキツく叱るのは─」
「貴方は黙ってて!!」
「は、はいぃぃ!!」
私を庇う父の雄姿は母の業火の怒りに塵となって消えたのだった。もっと頑張ってパパ…!
「ラピス!あなた嘘をついて一体何処に行っていたの!?」
たらりと冷や汗が流れる。私がついた嘘はふたつだけだ。伯爵さまには「家の手伝いをする」。で家族には「伯爵のところでお泊まりする」だ。
母がお怒りって事は多分嘘がバレたんだと思うけど、どうして?うちと伯爵様のおうちはそれなりに離れているから互いに吐いた嘘がバレる事はないと思ったのにッ。どうしてバレた!?
そこでハッとする。うちには今知らない老夫婦が居る。まさか犯人はこのふたり…!?
チラリと盗み見た老夫婦は顔を見合わせ母を宥めようと近付いて来た。
「まぁまぁローリア。落ち着きなさい。ラピスちゃんが怯えてるじゃないの」
「そうだぞ、無事に帰ってきたんだ。説教は後にしなさい」
「……仕方ないわね。それよりもラピス、早くお風呂にいってらっしゃい」
取り敢えず怒りを静めた母が複雑そうな表情でお風呂をすすめてきた。なんで?と首を傾げると一言「あなた獣臭いわ」と言う。
そんなに?そんなに臭いの?と腕をクンクンしてみる。次いでジークもクンクンしてみる。
「─臭ッ。ジークくっちゃいわ」
「わう!?(なに!?)」
私自身も結構臭ったけどジークがわりと獣臭かった。
そんな私の背中を押し、母にお風呂場に押し込まれたのだった。
「んひぃ~……気持ちいいぃ~」
「きゅぅ~ん…(きもひいい~…)」
湯の中、お腹を上にしたジークがプカプカと浮いている。竜もお湯に浸かると気持ちいいんだなぁ~。
お風呂に突っ込まれたあと自分とジークをワシャワシャと石鹸で洗い綺麗にした。
そしてお湯に浸かったのだけど、そこでふと思い出す。─私、こんなクッサイままエルナたんに会いに行ったの?と…。なんて事!極刑じゃないか!!しかもみんな優しいから誰一人私に何も言わなかった事がそこはかとなく居心地が悪い。ごめんなさいエルナたんちの皆様…!
「わう~?(どうした~?何をそんなに落ち込んでいるのだ?)」
自己嫌悪にズーン…としていると浮かんだままのジークが近付いて来た。
「いやぁ…世界って優しいんだなって…ハハッ…」
遠い目で答えた私にジークは湯に浮かんだまま首を傾げる。てか竜の威厳…本気で犬になってるなぁ、ジーク…。
お風呂から上がるとリビングに来るように言われていたので、洗ってフワフワになったジークを連れてリビングに入った。そこには既に両親と兄、それとさっきの老夫婦がテーブルを挟んで向かい合って座っていた。
席を離れた母が私の背後に立ち老夫婦に向かい合わせる。
「ほらラピス。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんにご挨拶して」
「?」
なんて?
お祖父ちゃんとお祖母ちゃん?え、私って祖父母居たの?初耳なんですけど。
「あ~…ほら、ラピスやっぱり覚えてないよ」
ひたすら老夫婦を不思議な顔で見上げる私に兄がそう告げた。その通り、私この人達に見覚えが全くない。
老夫婦は私の前で膝を折り覗き込むようにして視線を合わせてくる。二人の目は見覚えはないはずなのになんだか何処かで見たような気がして母を見上げて気が付いた。母とこの二人は何処と無く似ているのだ。
そっか、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんか。て事は母の両親て事だよね?
前世では私が生まれる前に祖父母達は亡くなっていたので祖父母と言うものには縁がなかった。子供の頃は「お祖父ちゃんに~」「お祖母ちゃんに~」とか何とか言って猫可愛がりされてた同級生達が羨ましかったものだ。
そう!祖父母は孫に甘い!!激甘ってのが定番!て事は私の事も蜂蜜みたいにトロットロに甘やかしてくれそうな予感!!お祖母ちゃんお祖父ちゃん大好き!
「まぁ最後に会ったのはラピスちゃんが三つの時だものね…覚えてないのも仕方無いわ」
「あんなに小さかったラピスがこんなに大きくなって……ん?大きくな…─そんなに変わってないな」
キラキラと目を輝かせて見ていた私は祖父の言葉にスン…と温度を下げた。そんな事言うジジイは嫌いです。
「ラ、ラピスは世界一可愛いので問題ないよ!!ね!父さん!」
「当然だ!!うちのラピスが世界で一番可愛い!!ラピスより可愛い子はこの世に存在しない!!」
私の目から温度が消えたのを見た兄が慌てて父に同意を促す。空気を読んだ兄の言葉に全力で頷く父。贔屓目での誉め言葉だと解ってるからあんまり嬉しくないけどまぁいいや。
「さて、それじゃぁ話の続きをしましょうか、ラピス?」
ぽやっとしていると背後からがっしりと母に抱き締められそのまま椅子に座った。ん?あれ?お説教ってもう終わったんじゃないの!?
ぎゅっと逃がさないように拘束され、焦って振り向けば笑ってるのに笑ってない母とがっつり視線が合った。
あ、ヤバイやつだコレ…。
兄!父!ヘルッ…!ヘルペスみーー!!
振り返った父と兄は悲痛な表情でそっと瞼を閉じたのだった。
うわーん!役立たず!!
ひえぇ(´゜ω゜`)長らくお待たせして申し訳ないです!(´TωT`)
やっとラピスおうちに帰ってきました!お説教タイムです!www
誤字、脱字がありましたらお知らせ下さい!とっても助かります(〃´ω`〃)
ブクマ&評価ありがとうございます!
更新お休みしてる間にジワッと増えてて嬉しいです!♡♡




