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剣と魔法の世界で俺だけロボット  作者: 神無月 紅
ガリンダミア帝国との決着

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413/421

0413話

カクヨム、アルファポリスで2話先行更新しています。

カクヨム:https://kakuyomu.jp/works/16816452218853784101

アルファポリス:https://www.alphapolis.co.jp/novel/622232169/802467661

 アランが何をしようとも、絶対に自分には及ばない。

 そう理解しているからこそ、ビッシュはアランを好きにさせる。

 それこそビッシュが本気になれば、バリアの内側に入ってきたゼオンを閉じ込めて、バリアの外側に出さないといったような真似をすることも可能だった。


(とはいえ、アランの性格を考えればそう簡単に心が折れるといったことはないだろうね。そうなると、もう一手打っておいた方がいいかな)


 ビッシュはバリアから出ていくゼオンを姿を見ながら、そんな風に考えるのだった。

 アポカリプスという自分の力に絶対的な自信を持つビッシュとは裏腹に、アランはゼオンに乗ってアポカリプスから離れていく。


(バリアから出さないといったようなことになるかと思ったけど、俺を相手にそんな真似をする必要もないってことか)


 ビッシュの余裕ぶった態度を面白くないと考えるのは、アランにとって当然のことだった。

 しかし……だからこそ今はレオノーラと協力してビッシュを倒し、こうして余裕を見せたことを後悔させてやろうと、そう考える。


『アラン、問題ない?』


 翼を羽ばたかせ、地上から空中に舞い上がった黄金のドラゴンがゼオンの隣までやって来ると、そう念話で話しかけてくる。

 レオノーラも、自分が変身した黄金のドラゴンは心核使いが変身するモンスターの中では、間違いなく最高峰の実力を持っていると、そう理解はしていた。

 だが同時に、そんな自分であってもアポカリプスに勝つのは難しいと、そのような思いがあるのも事実。

 だが、それはあくまでもレオノーラ一人だけであればの話だ。

 アランと一緒なら、アポカリプスを相手にしても勝てる。……いや、必ず勝ってみせると、そう決意する。


「ああ、向こうは俺を殺す気はないみたいだいな」


 そう告げるアランだったが、殺される心配がないとはいえ、決してそれを嬉しく思っている訳ではない。

 ビッシュが自分を欲しているのは分かっているものの、それで自分を殺さないというのは、結局のところアランとゼオンという存在にビッシュが脅威を抱いていない。

 アランが何をしようとも、自分を殺すことは出来ない……いや、それどころか危害を加えるような真似は出来ないと、そう思っているからなのだろう。

 それが分かっているからこそ、アランにとってビッシュの存在は酷く面白くなかった。


『それで、どうするの? あの三つ首のドラゴン……アポカリプスだったかしら。向こうが張っているバリアは、ゼオンの攻撃や私のレーザーブレスでも貫けないわ』

「そうだな。そんな状況だか、俺達がビッシュに勝てる可能性があるとすれば、やっぱりゼオリューンになるしかないと思う」

『ゼオリューンに? ……けど……出来るの?』


 少し不安そうな様子のレオノーラ。

 ゼオリューンに変身すれば圧倒的な力を手に入れることは出来るのだろうが、今までゼオリューンになれたことは一度しかない。

 レオノーラもそれが分かっているからこそ、不安そうな様子を隠すことが出来ないのだろう。

 それでも今の状況でアランとレオノーラがビッシュに勝つとなると、ゼオリューンに合体するしかない。ないのだが……


「くっ!」

「出来ない、わね」


 アランとレオノーラの口から、そんな声が漏れる。

 ゼオリューンに合体したいと、そう強く願っているにもかかわらず、ゼオンと黄金のドラゴンは隣り合って飛んでいるままだ。

 どんなに念じても、祈っても、願っても……ゼオリューンに合体することが出来ない。


『おや? どうしたんだい? 僕はこうやって君たちの準備が整うまで待っているのに。そのまま、ただ隣り合って飛んでいるだけなのかな?』


 からかう……いや、嘲笑混じりのビッシュの言葉は、それを聞いたアランとレオノーラに苛立ちを覚えさせる。

 とはいえ、だからといって今の状況でゼオリューンに合体出来ない以上、別の方法を探るしかない。


「レオノーラ、取りあえず普通に攻撃するぞ。アポカリプスは強力なモンスターでバリアを含めて強力な防御力を持っているが、外側からの攻撃が聞かないのなら、内側からだ」

「一寸法師ね」


 アランの前世を追体験しただけあり、レオノーラはアランが何を言いたいのかをすぐに理解し、そう告げてくる。

 アランはまさかかここでその昔話のタイトルを聞くとは思っていなかったので驚くが、レオノーラが自分の言いたいことを理解していると判断し、笑みを浮かべる。


(それに、ビッシュが俺の心を中途半端に読めるとはいえ、それで一寸法師について知ってる訳がない)


 レオノーラがどこまで考えて一寸法師という単語を口にしたのかは、アランには分からない。

 分からないが、ある意味でそれがアポカリプス攻略のヒントになるのは間違いなかった。


「あのバリアは攻撃をしないでそのまま突っ込めば、普通に突き抜けることが出来る。俺がゼオンで移動したときはそうだった。……ビッシュの考え次第で内部に入れる相手を変えられるのか、それとも単純に誰でも行けるのかは分からない。とはいえ、ビッシュの性格を考えれば、ここでレオノーラだけを入れないといったような、逃げるような真似をするとは思わないが」


 レオノーラに話しかけながらも、そのアランの言葉は半ば以上ビッシュに向けてのものだ。

 アランを考えを読んでいる以上、当然ながらビッシュは今のレオノーラとの念話を聞いていてもおかしくはない。

 そうである以上、ビッシュがアランの考えを聞いても対処するとは思えない。

 それこそ、アランやレオノーラに絶望を与えて心を折る為に、むしろアランの考えを正面から受けて立とうと考えてもおかしくはない。

 ビッシュのアポカリプスがそこまで強力でなければ、ビッシュもそのような真似はしないだろう。

 だが、ビッシュはアポカリプスの力を信じている。……いや、過信しているというのが、アランの考えだ。

 そうである以上、一寸法師という単語が何を意味しているのか分からなくてもビッシュはそれを受けるつもりであるのは明らかだった。


(こっちを侮って、自分の力に自信を持つのならそうしていればいい。だが……そんな真似をして、その結果アポカリプスに致命傷を与えるといったようなことになっても、それがどうなるのかは……自分でそれを確認して、後悔するんだな)


 ビッシュの自信に思うところのあるアランだったが、実際に現状で彼我の実力差があるのは間違いのない事実だ。

 そうである以上、ここで何かを言うような真似はせず、一発逆転の機会を狙うしかない。


「行くか。まずはバリアを突破することを優先に。そして一寸法師的な感じで」

『ええ、一寸法師ね』


 レオノーラが自分の記憶を追体験していることを、しみじみと助かったと思うのはこういうときだ。

 そうである以上、今はその追体験を頼りにしてアポカリプスを倒すだけだった。

 レオノーラと共に移動を開始し、一斉に左右に別れる。

 正面から進んでも、ビッシュの場合はアランの心をへし折るという意味で黙って受け止めていただろう。

 それはアランも分かっていたが、ビッシュを本当の意味で嵌めるのならこのような真似をする必要があった。

 当然ながら、アポカプリスは三つの首で攻撃をするといったような真似をせず、アランとレオノーラと話が攻撃をしてくるのを待つ。


(こっちを侮ったのが、お前にとっては最悪の結果をもたらす!)


 そのように思いながら、アランはゼオンでバリアに突入させる。

 ビッシュがそうしたのか、それともバリアそのものがそういう性質をしているのかはアランにも分からなかったが、先程と同様にゼオンはバリアを突破した。

 レオノーラの黄金のドラゴンは? と一瞬疑問に思ったが、アポカリプスの巨体から黄金のドラゴンがどこにいるのかを確認することは出来ない。

 そうである以上、今はとにかくアポカリプスに攻撃をし……どうにかして相手に口を開かせる必要があった。

 一寸法師のように、身体の中に入るといったようなことまでは、さすがに出来ない。

 だが、アポカリプスの口の中に攻撃をするといったような真似をするのなら、圧倒的な防御力を持つアポカリプスに対しても、大きなダメージを与えられる筈だった。

 ……やってる内容そのものはそれこそ翼持つ蛇と戦っている時と同じなのだが。

 そういう意味では、もっと別の攻撃方法を思いついてもおかしくはないと、そう思うのだが。

 とはいえ、今すぐにもっと別の攻撃方法を思い浮かんでそれを実行しろと言われても、無理なのは間違いないだろう。

 そうである以上、出来ないことで何かを考えるより、とにかくアポカリプスにダメージを与え……そして何とか倒すといったようなことをするようにするのが、最優先となるのは当然の話だった。


「口を、開けろ!」


 そう言い、アポカリプスの首の一つ目掛け、ビームライフルを連射する。

 身体には殆どダメージを与えるようなことは出来なかったが、それはあくまでも強固な鱗を持つ身体だからだ。

 頭部……特に目ともなれば、当然ながら他の場所よりも防御力は低い筈だった。

 ビッシュが変身した……もしくは操っているのか、その辺はアランにも詳しくは分からないが、ともあれアポカリプスも頭部、それも目を狙って放たれる攻撃は受けたくないのか、ビームライフルの一撃を回避する。

 ビームライフルの弾速――という表現が正しいのかどうかはアランにも分からないが――は非常に速い。

 だというのに、アランが狙っているアポカリプスの頭部は、そんな攻撃を連続で回避していく。

 一体どのような能力を持っていればそのような真似が出来るのか。

 それはアランにも分からなかったが、それでも目を狙った攻撃を回避しているということは、命中すれば相応のダメージを期待出来るのだと、そう思い込んでビームライフルを連射する。

 アポカリプスの巨体の向こう側では、空に向かって放たれるレーザーブレスが見えることから、レオノーラが変身した黄金のドラゴンも無事にバリアを突破したのだろうと、判断し……


「フェルス!」


 アランはそう叫び、その意思に従ってフェルスはビームソードを展開しながら、翼持つ蛇と戦った時と同じようにアポカリプスの頭部目掛けて飛んでいくのだった。

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