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剣と魔法の世界で俺だけロボット  作者: 神無月 紅
ガリンダミア帝国との決着

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404/421

0404話

カクヨム、アルファポリスで2話先行更新しています。

カクヨム:https://kakuyomu.jp/works/16816452218853784101

アルファポリス:https://www.alphapolis.co.jp/novel/622232169/802467661

「いい加減に……くたばれ!」


 鋭い叫びと共に、ゼオンの振るうビームサーベルが翼持つ蛇の一部、具体的には尾の先端を切断する。

 それを映像モニタで確認したアランは、ちぃっと舌打ちをした。

 ビームサーベルは、ビームライフルと同じくらい……いや、ビームが集中している分、ビームライフルよりも威力が強い。

 それだけに、ビームサーベルを命中させることが出来れば、翼持つ蛇にも大きなダメージを与えることが可能なのは、間違いのない事実だった。

 しかし、翼持つ蛇もゼオンについての情報は色々と知っているためか、そんなビームサーベルの攻撃は何が何でも回避する。

 結果として、今の一撃は翼持つ蛇の胴体を切断しようと振るった筈なのだが、それが結果として尾の先端を切断するに留まってしまう。


「フェルス!」


 そんな翼持つ蛇に苛立ちながら、アランがフェルスを動かし、先端にビームソードを展開させて突撃させる。

 フェルスのビームソードやビーム砲は、威力そのものはゼオンが使っているビームライフルやビームサーベルに比べると劣る。

 しかし、それはあくまでもゼオンのビームライフルやビームサーベルに比べての話であって、普通の人間……いや、それこそ心核使いが変身したモンスターであっても、容易に殺すことが出来るだろう。

 しかし、翼持つ蛇は素早く強く、その上で高い再生能力まで持っている。

 そのような相手に対してのフェルスは、それこそ牽制程度の役にしか立たない。


(とはいえ、それでも命中する場所によるけどな!)


 アランはフェルスの操縦に意識を集中させながら、そう考える。

 翼持つ蛇の鱗が頑丈なのは間違いない。

 また、フェルスの攻撃はビームソードであろうがビーム砲であろうが、そんな頑丈な鱗を持つ同隊を攻撃しても、ダメージは決して多くはない。

 だが……ならば、頑丈ではない場所を攻撃すればいい。

 その最有力候補の一つが、頭部。

 正確には頭部にある眼球。

 眼球からフェルスを突入させ、脳を破壊する。

 翼持つ蛇の再生能力が具体的にどこまで効果を発揮するのかは分からない。

 しかし、それでも脳を破壊しつくされた状態でどうにか出来るとは、アランにも思えなかった。

 頭部を破壊するという意味では、口から攻撃をするといった手段もない訳ではない。

 翼持つ蛇の攻撃方法の一つに、その鋭い牙を使うというものがある以上、口の中からの攻撃も有効なのは明らかだった。

 それでもアランが眼球を狙ったのは、頭部の場合は突入したフェルスを牙で止められるかもしれないと、そう判断したためだ。

 そして何より、口と眼球ではどちらが脳に近いかと考えれば、明らかに眼球だろう。

 ……もっともモンスターの中には常識では推し量れないような相手もいる。

 具体的には、脳が頭部ではなく腹部にあったり、もしくは尻尾の先端に脳があり、その脳を強固な骨や鱗、棘で固めて武器にしているといったようなモンスターの話をも、アランは聞いたことがあった。

 そのような状況である以上、眼球の奥に脳みそがあると思い込むのは危険だったが……それでも、翼持つ蛇の様子からすると、恐らく脳みそのある位置は予想した通りで間違いないだろうとアランは考えていた。

 当然だが、翼持つ蛇も自分の眼球に向かって突っ込んでくる何かがあれば、反射的に目を閉じる。

 それはモンスターであろうと、生き物である以上は当然のことだった。

 人間であっても、外を歩いているときに自分の目に向かって葉や虫といったものが向かってくれば、咄嗟に顔を背けたり、目を瞑ったりといったことをするだろう。

 翼持つ蛇は強力なモンスターではあったが、それでも心核使いであるのは変わらない。

 それはつまり、モンスターであっても意識は人間なのだ。

 だからこそ翼持つ蛇は自分の眼球に向かって飛んできたフェルスを見た瞬間、反射的に目を瞑る。

 しかし……それは、アランにとっても狙い通りの反応。


「行けぇっ!」


 そんなアランの気合いの声と共に、フェルスの速度は増し、ビームソードを展開したまま眼球に……正確にはそれを隠している瞼に向かって突っ込んでいく。

 当然の話だが、瞼と身体を覆っている鱗では、その防御力は大きな差がある。

 ビームソードは鱗によって大きなダメージを受けなかったが、瞼は違う。

 高い身体能力と鋭い感覚を持つ翼持つ蛇だったが、目を瞑ってしまえばその一撃を回避出来るはずもなく……


「ギシャアアアアアアア!」


 今までとは違う、痛みに耐えるかのような悲鳴が翼持つ蛇の口から響き渡る。

 当然だろう。瞼を貫き、眼球を貫き……それだけではなく、フェルスのビームソードが突き刺さった状態からさらに奥へと進もうとしているのだ。

 ビームソードは当然ながら非常に高熱で、それが眼球を貫いた時点で翼持つ蛇の頭部を焼き始めていた。

 そのような状況で更にビームソードが奥に進むのだから、翼持つ蛇にしてみればたまったものではないだろう。

 先程まではゼオンと互角に渡り合っていた翼持つ蛇が悲鳴を上げな、その蛇身を空中でくねらせる。

 アランはフェルスを必死に動かし、とにかく一刻も早く脳を破壊するべく行動していたのだが……


「マジかよ!?」


 空中で暴れ回るといった、ある意味器用な真似をしていた翼持つ蛇が大きく口を開いたのを見て、思わず叫ぶ。

 喉の奥に水と思しき何かを溜め込んでおり、今にも射出しそうになっているのが分かったためだ。

 翼持つ蛇の攻撃の中でも、最強の攻撃力を持つ水のブレス。

 高度に圧縮された水に魔力を混ぜて放つその一撃は、ゼオンですら命中すればダメージを受けるだろう、強力な一撃だ。

 そして……アランにとっては最悪なことに、翼持つ蛇の口が向かっているのはゼオンではなく、地上。

 翼持つ蛇は、眼球を貫かれ、そのまま内部をビームソードによって焼かれている状態だけに、それこそ今はまともは判断は出来ないのだろう。

 ならば、何故水のブレスを使えるのかと、アランはそう突っ込みたかったが、今はそれよりも前にやるべきことがあった。


「地上にいる者たち、注意しろ! そっちに攻撃が行くぞ!」


 本来なら、アランが注意したかったのはレジスタンス連合に対してだけだ。

 ガリンダミア帝国軍の兵士に対しては、翼持つ蛇の水のブレスが命中してもアランにとっては悪くない結果なのだから。

 それでもレジスタンス連合ではなく地上にいる者たちと表現したのは、外部スピーカーで叫ぶ以上、当然ながらそんなアランの言葉は地上にいる全員に聞こえるだろうと、そう思ったためだ。

 今の状況を思えば、アランがレジスタンス連合だけに呼びかけても、当然ながらガリンダミア帝国軍の兵士たちも翼持つ蛇の放つ水のブレスを回避するために動くのは、間違いなかった。

 そして実際、アランのそんな予想は見事に命中し、地上で戦いを続けていた者たちは戦っている相手を気にした様子もなく、その場から回避する。

 ……とはいえ、水のブレスの射程範囲は広いし、何より厄介なのは水のブレスを放ったまま顔を動かせば、それに応じて水のブレスも移動することになるのだ。

 翼持つ蛇に理性があるのならともかく、頭部を攻撃されている今の翼持つ蛇がそのような真似を出来るはずもない。

 すでに今このとき、地上にいる敵味方は関係のないことではあった。


(ビームライフルで攻撃するか? いや、もう水のブレスを吐く寸前だ。ここで下手に攻撃したら……違う。今このときだからこそ、攻撃した方がいい!)


 水のブレスを放ちそうになっている翼持つ蛇に向け、アランはゼオンを最大出力で進ませる。

 ウィングバインダーやスラスターを全開にして進むゼオンは、ビームサーベルを構える。


「うおっ!」


 しかし、翼持つ蛇はそんなゼオンの存在には全く気が付いた様子もなく、とうとう水のブレスを放った。

 それも空中で身をくねらせながらの一撃である以上、一ヶ所に向かって放つのではなく、水のブレスを放ったまま痛みに身体をくねらせていたので、それこそあらゆる場所に放たれている。

 当然ながらそのような真似をしている以上、ビームサーベルを手にして近付くゼオンにも水のブレスは襲いかかってくる。


「っと!」


 一瞬でも操作が遅ければ、水のブレスはゼオンに命中するだろう。

 アランもそれが分かっているだけに、ゼオンを細かに動かす。

 それでもアランは水のブレスを回避する自信があった。

 水のブレスは強力な一撃ではあるが、放たれるのはあくまでも翼持つ蛇の口が開いた先なのだ。

 そうである以上、回避することは決して不可能ではない。

 ……不可能ではないのであって、容易にそのような真似が出来るといった訳ではないのだが。

 翼持つ蛇が空中で暴れている以上、その頭部の動く速度は決してゆっくりといった訳ではない。

 そして放たれている水のブレスは口から離れている以上、翼持つ蛇が少し口を動かすだけで、水のブレスはその先端に向かえば向かうほどに、移動距離が大きくなる。

 だからこそ、この状況で被害を減らすには翼持つ蛇との間合いを詰めるというのが最善なのだが。

 そして間合いが近付けば、ゼオンにも攻撃手段が増える。


「いい加減に、死ね! フェルス!」


 翼持つ蛇の頭部を内部から破壊しているフェルスの動きを大きくし、また少しでもダメージを与えられるように腹部拡散ビーム砲を放つ。

 今までは回避されることが多かったビーム砲だったが、片目を貫かれ、頭部を破壊され続けている今の翼持つ蛇に、そのような真似をするのは不可能だった。

 それでも腹部拡散ビーム砲に貫かれた場所は、即座に泡が生み出されて回復していくが。

 なお、当然ながらフェルスに攻撃を続けられている眼球や頭部の中でも泡が生み出されては回復しているのだが、回復する端からフェルスが攻撃をしてダメージを与えているので、回復が間に合っていない形だった。

 そんな状況の中、ゼオンは最大速度で翼持つ蛇との間合いを積め……そして、千載一遇のチャンスがやって来た。


「死ね!」


 鋭く叫びつつ、ビームサーベルを一閃するゼオン。

 その一撃は、翼持つ蛇の頭部を蛇身から綺麗に切断したのだった。

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