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剣と魔法の世界で俺だけロボット  作者: 神無月 紅
ガリンダミア帝国との決着

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0393話

 未知の攻撃をしてきた相手を見つけて倒すため、アランはゼオンに乗って攻撃をしてきた相手がいるだろう方向に向かって飛ぶ。

 具体的にどのくらいの距離が離れているのか……そしてどのような外見をしている敵なのは、アランにも分からない。

 分からないが、それでもあれだけの攻撃をしてくる相手だ。

 かなり強力な心核使いであるのは間違いなく、そうである以上、アランは敵を見逃すといったようなことは考えていなかった。

 自分の観察力……というよりは、ゼオンの解析能力に頼ってのものだったが。

 ゼオン頼りというのは、アランにとっても若干思うところがない訳でもなかったが、それでも今は自分の不甲斐なさに悩むよりは敵を見つける方が先立った。

 敵が具体的にどのような攻撃をしているのかは、未だに分からない。

 あるいは一度敵の攻撃に意図的に当たってみれば、その辺が多少なりとも分かるかもしれないのだが……だからといって、アランとしてはそのような真似をしようとは思わない。

 盾か何かを用意して、敵の攻撃をそれで受け止めるといったようなことも、多少は検討した。

 しかし、アランが敵の攻撃を回避出来ているのは、半ば勘に等しい反射的な行動のおかげだ。

 何度か経験してきたことで、ある程度はその攻撃に慣れたものの、だからといって敵の攻撃を盾で防げるかと言われれば、アランは首を横に振るだろう。

 ある程度は慣れてきているとはいえ、それでも反射的に動いているから回避出来ているというのは変わらない。

 そんな中、盾で攻撃を防ぐという行動を無理矢理入れた場、盾で防ぐというのと回避するという二つの選択肢が存在することになり、それによって咄嗟の行動が出来なくなる可能性が高い。


「っと!」


 再びの攻撃を、反射的に……それでいて慣れた動きで回避するアラン。

 そうして回避してから、改めてここに盾があってもそれを使いこなすのは難しいだろうと、自分の思いに納得する。


「とはいえ、今回は随分と次の攻撃が早いな。……それだけ、俺に近付かれるのが嫌だったのか?」


 呟くアランだったが、実際にその言葉は決して間違ってはいない。

 ゼオンがレジスタンス連合の近くを飛んでいるとき、そして最初に攻撃されたときは、一発目のあとで二発目、三発目まではかなりの時間があった。

 ……それどころか、一番始めに攻撃されたときは、一度攻撃をしてそれ以上の追撃はなかった。

 それらのことを考えると、現在の自分の状況は間違いなく敵に嫌がられているはずだった。

 こうして連続して攻撃されるのは、向こうが嫌がっている証なのだから。


「とはいえ……もう俺とゼオンは、一度の攻撃で止まるようなことはないぞ? そして攻撃をすればするほど、俺たちはお前がどこにいるのかといったことを知ることが出来る」


 呟くアランの言葉通り、ゼオンの映像モニタには先程の攻撃と最初に行われた攻撃から、敵がいるだろうと推測された場所が表示されている。

 真っ直ぐに飛んでいたゼオンだったが、その方向は微妙に予定地よりも逸れていた。

 これは、敵が攻撃してきてくれたからこそ理解出来た内容でもある。

 それを嬉しく思いながら、アランはゼオンの進路を調整する。


「さて、この状況でどうする? お前がこれ以上攻撃をしてきた場合、それはお前の位置をより正確に推測するということになる。お前もこれでそのくらいのことは分かったはずだな?」


 アランのその言葉は、決して相手に……未知の攻撃をしている相手には聞こえないだろう。

 喋っている本人もそれは分かっていたが、それでも今の状況を思えば、向こうの行動を予測する上でも間違ってなかった。

 あるいは、そうして喋っているからこそ、緊張しており、気が抜けるといたようなことはない一面もあった。


「またか!」


 空を飛んでいると、再びの攻撃。

 ただし、その攻撃はすでに慣れているアランにとって回避するのは難しくはない。


「いや、違う?」


 確かにこの未知の攻撃を回避するのに慣れてはいるが、それでもここまで余裕がある状態のまま回避出来たというのは、アランにとって完全に予想外だった。

 それはつまり、予想していた以上の何からの理由によって敵の攻撃を回避出来たということを意味していた。


「敵の攻撃が弱くなっている?」


 最初に思い浮かんだのはそれで、同時にそんなに間違ってはいないと、そうアランには思えた。 敵の攻撃が具体的にどのような攻撃で、どのような効果を持っているのかというのは、アランにも分からない。

 だが、今までの攻撃間隔から考えて、ある程度の溜め時間が必要なのは理解出来た。

 だというのに、こうして連射……とはとても言えないが、それでも今までよりも射撃間隔が明らかに短くなっている。

 そこまで無理をしてもアランを攻撃する必要があり、その理由としてはやはりこうしてアランに近付かれるのを嫌がっての事なのだろう。


「だとすれば、この勝負が俺に有利なのは間違いない」


 呟き、アランはゼオンのスラスターを全開にして、敵のいると思われる場所に向かう。

 先程の攻撃で、再びアランは敵がどこにいるのかの予測精度を上げることが出来た。

 微かに進路が逸れているのを見て、微調整をしながら進み……


「そろそろのはず。この辺りにいると思うんだが……どこだ?」


 ゼオンが算出した、敵のいる位置と思しき場所に到着したアランは、周囲の様子を詳しく見る。

 移動している途中に何度か攻撃されたことにより、ゼオンは敵のいる詳細な位置を確認出来た。

 そうである以上、ゼオンの計算ではこの辺りにいるはずの敵を見つけることが出来てもおかしくはないのだが……


「いない?」


 映像モニタで周囲の様子をくまなく確認したアランの口から、そんな疑問の言葉が出る。

 敵の攻撃から逆算したところ、敵の攻撃は間違いなくこの辺りからされていたはずだった。

 にもかかわらず、見る限りどこにも敵の姿はない。


「これは、一体どういうことだ? 普通に考えて、この辺りに敵がいるはずなのに……いやまぁ、心核使いを普通と考えるのがおかしいのかもしれないけど。それに、敵の位置を把握するという点では、間違いないはず」


 実際、以前この敵に襲われたときはゼオンによって敵の位置を割り出し、そこに攻撃した。

 そして、恐らくそれによって敵に相応のダメージを与えたはずだった。

 そのダメージで無理をして、こうして攻撃をしてくる以上、敵の動きは鈍くなっていてもおかしくはない。

 おかしくはないのだが、こうして見た限り敵の姿はどこにもない。


「どこにいる? この状況で……何っ!?」


 再び感じた攻撃に、アランは攻撃を回避する。

 それは問題ではない。

 今の状況を考えれば、敵が攻撃をしてくるのもおかしくはない。

 おかしくはないのだが、それでも今の攻撃をしてきた場所は明らかにおかしかった。

 現在攻撃をしてきた場所は、全く違う場所からの攻撃だったのは間違いない。


「同じような攻撃をする心核使いが複数いるのか?」


 心核使いは、基本的にその人物の本質が変身する相手に大きく影響してくる。

 だからといって、心核使いが全く同じモンスターに変身するといったような可能性は皆無ではない。

 実際にアランも今まで同じモンスターに変身する心核使いというのは、見たことがあった。

 そうである以上、ゼオンに行われている未知の攻撃を行っているモンスターに変身している心核使いも、一人だけではなく同じモンスターに変身する存在がいる可能性もある。


「あるいは……もしかして、俺は何かを勘違いしていた?」


 あれだけの攻撃をした以上、敵は心核使いであるのは間違いない。

 そう思っていたのだが、もしかしたら心核使いではなくもっと何か別の……ガリンダミア帝国が独自に考え、開発した兵器であるという可能背も否定は出来なかった。


「とにかく、完全に予想が外れてしまったな。どうする? 一体本隊に戻った方がいいのか? けど、そうなるとまたこっちが一方的に攻撃されるし……だとすれば、やっぱりここは無理をしてでも敵を見つける必要があるか」


 このときアランの頭の中にあったのは、もし敵が心核使いではなく何らかの兵器であった場合、今回のように一度ずつ攻撃してくるのではなく、同時に何度も攻撃をしてくるのではないかということだった。

 普通に考えれば、今までそのようなことがなかったのだから、そうなる心配はいらないだろう。

 だが、それはくまでも今まではそうだったというだけの話で、もしかしたらこの先は違うかもしれない。

 事実、ゼオンで移動している最中に連続して攻撃され、攻撃が行われた場所に来たかと思えば、そこで再び別方向から攻撃をされたのだから。


「とはいえ、それをどうするかだな。……取りあえずさっき攻撃してきた方に向けて移動してみるか。その前に……」


 この周囲に敵がいたのは間違いない。

 だが、今はその敵の姿はどこにもない。

 移動したのか、隠れたのか……その辺りの理由はアランにも分からなかったが、それでも念には念を入れて攻撃しておいた方がいいのは間違いなかった。


「くたばれ」


 呟き、敵がいたと思われる場所の周辺一帯の上空を飛ぶ。

 もちろん普通に飛ぶ訳ではなく、腹部拡散ビーム砲を放ちながら、そしてフェルスによる攻撃も行いながらの飛行だ。

 地上のどこかに敵がまだ隠れているのかどうかは分からない。

 あるいは、そもそも地上ではなくゼオンのように空柄を飛んで攻撃をしている可能性もある。

 しかし、その辺りの事情を考えても地上に敵がいる可能性がある以上、そちらを絨毯爆撃――ビームやフェルスでの攻撃もそう表現してもいいのかどうかは不明だが――しておくのは、決して悪い話ではなかった。

 今こうしている状況では、ゼオンのレーダーでも敵の姿を見つけることは出来ない。

 しかし、もしかしたら……本当にもしかしたら、そこに敵がいる可能性は十分にあるのだから。


「よし、あとは……さっき攻撃してきた場所に向かうか」


 そう呟き、アランは今まで以上に集中しながら、先程攻撃があった方に向かって移動するのだった。

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