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24話

シリアスな雰囲気なお話を書きたい病が……



24話




「おはよー」

「おはよー!」


「お前、マジばっかじゃねえの?ほんと笑えるわ」

「いや、だってさぁ……」


「そういえば知ってる?今日編入生が来るんだってー」

「え、マジ?イケメンだったらいいなぁ」

「ねー。うちの学校、マジでイケメンいないからね」


 クラスメイトたちの喧騒。いつもながらうるさいなぁと思いながら聞き流す。

 ふわぁと小さくあくびをして、昨日の出来事を思い出す。




 〈ワールドアナウンスです。ただいま、イベントボス【酒呑童子】が討伐されました。イベントポイントは貢献度に応じて配布されます〉


「……えっと、とりあえず皆んなお疲れ様ー」


 微妙な雰囲気になりつつあった空気を、シルヴィアさんが沈黙を打ち破ることで霧散させました。

 その言葉にみなさんも顔をハッとさせて、次々と「おつかれー」などの言葉を口にしていきます。


「––それにしても、あやちゃんのその木の棒なに?それに殴られた酒呑童子が気絶してたように見えたけど」

「ああ、これはガチャで出たひのきの棒ですよ。どんなものでも一分間気絶させられるそうです」

「うわぁ。なにそのえげつない効果」


 これじゃあ酒呑童子がかわいそうだなぁとボヤくシルヴィアさんに、キドさんが近づいていきます。


「……ボクも凄かっただろう?それこそ、アヤさんなんかより」


 そう言ってキッと私を睨みつけてくるキドさん。

 しかしそれはモロにさらけ出している嫉妬心と身長が相まってか、全く怖くありませんでした。

 ……シルヴィアさんなんて、まるで微笑ましいものを見るみたいにキドさんのこと見てますし。


「うん、凄かったよ?……ゲームのスキルバランスの調整がめちゃくちゃ難しいんだなってわかるくらい」

「……なんかボクが褒められる気がしないな」

「いやー?褒めてるよ。ちゃんと」


 シルヴィアさんは槍をインベントリに仕舞うと、不貞腐れてるキドさんの脇に手を入れて抱き上げました。

 そしてそのまま顔をキドさんの耳に近づけると、囁くようにこう言いました。


「キドが一番すごいのは、私がちゃーんとわかってるから」


 うわー、出ました。シルヴィアさんのダメ人間製造機発言。

 あんまり見知った中ではないウィングさんがいるからか声は抑えられてますけど、羊人型の天魔族である私には丸聞こえです。


 意外と純情だったのか、ウィングさんはお二人のラブラブな光景を見て顔をそらしました。

 ちにみにアルさんたちは、ああ、またいつものかと苦笑しています。くふさんは、凍りついた状態で地面に横たわっています。


「––こほん。そこのイチャイチャ夫婦、そろそろいいか?」


 そんなアルさんの声に、シルヴィアさんとキドさんはようやく自分たちがみんなを待たせていたことに気づき、申し訳なさそうにほおを赤らめた。


「うむ、いちゃつくのは二人だけの時にしておいてくれ。––さてと。よくわからんがとりあえず酒呑童子を倒したし、ここで解散としよう」


 もうお昼時だしな––というアルさんの言葉に全員が頷き、そこで解散となった。


 そのあと私はログアウトをして、一人でお昼ご飯を食べた。またログインしようかなとも思ったけど、いまいちやる気が起きなかったのでやめておいた。


 結局その日はなぜか突然かかってきた社長さんからの電話で世間話をして、明日の準備の最終確認をして終わった。




「––おっし、全員揃ってるみてえだな。とりあえず皆んな進学おめでとう。うちのクラスには留年者が一人もいなかったのは誇りに思うぞ?」


 そんなことを考えているうちに、どうやらHRの時間になったようだ。教卓のところにはすでに先生がいて、嬉しそうな顔をしてみんなに話しかけている。


「あぁ、そうだ。今期からうちのクラスに編入生が来ることになった。紹介するぞ。天嗣さん、入ってきてくれ」


 扉をガタガタと開けて入ってきたのは、一人の女性だった。ただし––


「––私の名前は天嗣 優姫(あまつぐ ゆうき)。趣味はゲームと運動。諸事情でたまーに休むかもしれないが、これからよろしく頼む」


 ––おっぱいのついたイケメンという注釈がつくほどの、男性よりの美貌の持ち主という雰囲気を持っていた。

 そのあまりの美貌に、クラスの男子も女子も、唖然として彼女を見つめている。


 ……私はって?べつに、綺麗なんだろうなぁ、努力したんだろうな、とは思うけど見惚れはしない。興味が湧かないから。

ああでも、あの顔の雰囲気はどっかで見たような覚えがある気がする。どこだったかは覚えてないけど。


「それで天嗣さんの席は、と。そうだな、鈴泉さんの隣が丁度空いてるな。鈴泉さん、この学校のこと、天嗣さんにいろいろと教えてあげてくれ」

「……わかりました」


 べつに断る理由はないため、先生の指示に従うことにした。

 もう一度ちらりと天嗣さんの顔を見る。……よし、顔の雰囲気は覚えた。多分必要じゃなくならない限り忘れることはないだろう。


 ––ふと、天嗣さんの視線がこちらに向いていることに気がついた。


 天嗣さんはまるで探していたものが見つかった子供のように、顔を輝かせていた。

 しかし私にはその理由がわからないため、不気味だなぁと思ってしまう。


「それじゃあ天嗣さん、あとで職員室に来てくれ」


 先生はそう言うと、天嗣さんに席に着くよう促した。天嗣さんはそれに頷くと、私の隣の席へと歩き出した。



「先ほども言ったと思うが、私の名前は天嗣 優姫。気軽に優姫とでも呼んでくれ。……いろいろ迷惑をかけるかもしれないが、よろしく頼む。鈴泉絢香」


 天嗣さんは席に座ると、こちらに顔を寄せて小声で話しかけてきた。


「……よろしく。天嗣さん」

「むぅ、随分とお堅いな。優姫と呼んでくれると嬉しいのだが」

「……別に親しくもない人を下の名前で呼ぶのは常識外れ」

「それもそうか。なら私はアヤと呼ばさせてもらうぞ?」

「……お好きにどうぞ」


 なにがしたいのかわからないと、私は首を傾げながら天嗣さんを見る。

 やはりなぜか、彼女はこちらを見てニコニコと笑みを浮かべている。


 ……本当に、意味がわからない。なんでこんなにも天嗣さんの機嫌が良さそうなのかが。


 私は静かにふぅと息を吐き、前に向き直る。天嗣さんと少し話し込んでしまったが、今はHRの時間なのだ。極力静かにしなければならない。


 それなのにもかかわらず、天嗣さんはまた話しかけてきた。


「––なあアヤ。私と友達になろう!」


 満面の笑顔で告げられた言葉。それに対して私は間をおくことなく答える。


「……断る」


 ピタリと、教室の音が止んだ。HRで連絡事項を話していたはずの先生も、小さな声で話し込んでいたクラスメイトも、なぜかみんなこちらを見ていた。

 心なしか、教室の温度が二、三度くらい下がったような気がした。


「……?先生、どうかなさいましたか?」


 困惑した表情を浮かべてこちらを見てくる先生に対し、私は疑問を口に出す。


「……いや、なんでもないぞ。大丈夫だ」


 先生はこめかみに親指を当てて、ふぅと息を吐いた。

 ……なにやら困りごとでもあるかのようだ。


「……それじゃあ話を戻すが––」


 ちらりと天嗣さんのことを心配そうな顔で見てから、先生は話を再開した。

 私も天嗣さんを一瞥する。

 先ほどの言葉が堪えたのだろうか?彼女は顔を俯かさせて、ふるふると身体を震えさせていた。


 ……申し訳ないとは、思う。だけど––あんな思いをするんだったら、二度と友達なんて作りたくない。







やっぱり書けば書くほど文章力が落ちてきているような気がしてならない……。

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