16-5 大決戦! 関羽VS友人A!
「へっ! いくぜ! 俺のデッキの最強カード! 最大レベルの11。フレイムアスクドラゴンだ!」
フレイムアスクドラゴン レベル11 属性火 パワー450 ブレイク4
能力
起動【コスト7】
相手のフィールドのモンスターすべてを破壊する。その後、破壊したモンスター数プラス1のダメージを与える。
「さらにドラゴンビーストを召喚し……フレイムアスクドラゴンの能力を発動!」
ドラゴンビースト レベル6 属性火 パワー300 ブレイク2
能力
永続
このカード以外の自分の場のドラゴンと名のつくモンスターはパワーを50上げる。
「コストを払い……お前のモンスター全てを破壊する!」
「なに!?」
その衝撃的な効果に友人が驚く。さすが、アニメにおける主人公も使ったカード。豪快な能力だな。けれど今はそれ以上に……
「これって……彰先輩のほう少しまずいですよね」
「ああ、戦闘以外の方法で破壊される……。蘇りし従者の復活能力は戦闘に破壊されているとき限定だ」
「あ、ということはこれでもう復活できなくなっちゃうってことだね!」
こんな方法で状況を一変させるとは……力押しの単純なプレイングだがうまいな。
「っく! だが、俺のリーダーは破壊されない!」
「わかっているぜ。だが、効果はまだ続く。破壊した数+1のダメージをお前に与える!」
破壊されたのは3体。よってダメージは4。
友人ライフ 26→22
「まだまだ行くぜ! シールドゾーンからプラスブレイクを発動! フレイムアスクのブレイクを1、プラスする! そしていけ! フレイムアスク、ドラゴンビースト! ダイレクトアタックだ!」
フレイムアスクはブレイクが4。そこにプラスブレイクの能力が加わり、ブレイク5となり、ダメージは6だ。
さらに、ドラゴンビーストの分のダメージによりプラス3。合計ダメージは9だ。
友人ライフ 22→13
残りライフは13……関羽の逆転だ。
さらに、友人はモンスターを三体も消されて、状況的にも覆ったな。さて……この先、どうなるか。見ものだな。
カードを引き、友人も動く。
「俺もリーダーを11に! 来い! 森の精霊神スピリット!」
森の精霊神スピリット レベル11 属性自然 パワー420 ブレイク4
能力
起動【コスト6】
相手リーダーのレベルよりも2つ低いレベルを持つモンスターを墓地から選択。そのモンスターをリーダーゾーンに横向きで置く。その後、自分マナを2枚墓地に置く。
「さらにモンスターを召喚。シールドゾーンから森を徘徊する者。そして手札から再び、森の怪鳥グラスイーグルだ」
「また出てきやがったか……面倒なのだしやがって。まぁ今の俺にはほとんど関係ねーがな」
関羽は一瞬顔をしかめるが、すぐに余裕の顔を見せる。その関羽の呟きに、絵夢が聞いてくる。
「? ヌッキー、どういうこと?」
「アイツの能力は、自分の他のモンスターゾーンに自然属性のモンスターがいると、攻撃を受けないんだ。つまり、モンスターが多いほど、戦闘による破壊は手間取るってわけだな。ステータスもそれなりに高いし、厄介なモンスターだぜ」
「あ! でも、今は完熟にはフレイムアスクドラゴンがいるもんね! これで次のターンにはまた一掃するから関係ないね!」
「……そうできるならいいんですがね」
絵夢の能天気な言葉に不安そうに望が呟く。望の言うとおりだ。
関羽のライフは18。すべての攻撃を受けても、合計10のダメージ。ライフは残る。確実に次のターンは回るだろう。
だが、問題はあのモンスターの能力……。
「行くぞ関羽! 俺はさらに、森の精霊神スピリットの効果を使う! 相手のリーダーをレベルの二つまで低いモンスターへ、墓地から入れ替える!」
「んだと!? ありかよ、んなインチキ効果!」
自分で渡したデッキに入っているカードだろ。何驚いてんだよ。
そうしているうちに、関羽のリーダーはネオドライブドラゴンへと変わる。
「スピリット! ブレイク4でダイレクトアタック!」
関羽ライフ 18→13
「そして、邪魔なドラゴンビーストを排除する! イーグルでアタック!」
関羽ライフ13→12
「森を徘徊する者で攻撃はしない。俺はターンを終了だ」
「完熟、ピンチだね……」
「そうだな。でも、巻き返せないほどじゃない」
森の精霊神スピリットの効果は強い。
だが、その代償も大きく、使用した後マナを2枚墓地へ送る。だから今マナが6だった友人のマナは4。
次のターンに1増えるが、再び使用することはできない。勝機はまだまだある。
そう考えていると、友人は希望を打ち砕くかのように真っ直ぐに関羽をみて答えた。
「関羽、先に言っておく。俺は手札にAEBSを持っている」
「!?」
関羽の顔が引きつる。
いや、関羽だけじゃない。俺もその言葉に驚きが隠せないでいた。
「ね、ねぇ? ヌッキー、AEBSって?」
「自分の手札のカード1枚をそのターンだけマナゾーンに置くカードだ。さらにデメリットとして、次のターンのドロー枚数が1枚減る……が、マナコストはなしで使える。つまり……」
「次のターンもまたあの効果を使われてしまうってこと……ですよね」
「じゃ、じゃあ完熟のリーダは今レベル9だけど……ここでレベルを上げらなかったら、次のターンではレベル7まで下げられちゃうの!?」
「その通りだ……。それにまた11になれたところで、また9に戻される……。これはこのターンで決めないと……中々に辛いぞ」
しかも、AEBSの能力でマナゾーンに置いたカードを墓地に送ってスピリットの効果を発動すれば、デメリットの軽減になる。これは……本格的にまずいな。
絵夢の言ったように、もしこのターン、関羽が上級サモンできないと次のターンでさらにリーダのレベルを下げられる。
リーダーのレベルが下がれば、出せるモンスターにも限りが出るし、攻め手にもかけていく。
そうならないためには、ここでもう一度11のレベルのモンスターを引くしか……。けれど、レベル11というのは確かに強いが、その反面、事故の元にもなりうるカードだ。
採用する枚数は少なめに設定しているはず……。
エマージェンシー……あれが使えるのはレベルが8以下の時だけ。そして関羽の手札は2枚……。ドロー枚数は3枚だ。
それでカードを引き当てるのは……あまりにも可能性が低い。
関羽……お前は引けるのか?
「……俺のターンだ!」
関羽はそう宣言をする。
そうだ、たとえどんな結果になろうとも、今は進んでいくしかない。カードを引くまで、その運命は分からないのだから。
「ドロー!」
勢いよく3枚のカードを同時に引く。
その場に流れる緊張感。
誰もが関羽のことを見守っていた。
果たして関羽はその未来を……お前だけの道を切り開けるのか。
祈るような表情でカードを確認し……関羽は笑った。
「来たぜ! 俺の相棒! フレイムアスクドラゴン! もう一度上級サモンだ!」
「くっ! ここで引いてきたか……!?」
「そして効果発動! 地獄の業火で焼き尽くせ! エターナル・インフェルノ!」
友人のモンスターは2体破壊され、フレイムアスクドラゴンの能力よりダメージが3入る。
友人ライフ 13→10
「だが、モンスターの効果を使用したということは既にモンスターの召喚はできない! このターンでは、俺の負けはない!」
その通りだ。フレイムアスクドラゴンの攻撃を通しても、所詮ダメージは5。ライフはまだ残ってしまう。
さらに、関羽の使用できるマナはあと1だけ……。これじゃなにもできない。
けれど、そんなことはわかっているとばかりに、手札からサポート発動する。
「俺はAEBSを発動!」
「!? お前も持っていたのか!」
AEBS サポート コスト0
手札のカードを1枚、マナゾーンに縦向きに置く。そのターンの終わりに、そのカードを墓地に置く。また次のターン、自分はドローフェイズに手札が4枚になるように引く。
「このまま終えたら前の二の舞……んなこたぁ、わかってるぜ。だからこそ、ここで決めんだ! 俺はマナを払い、伏せカードオープン! ブロスアタックを発動だ!」
ブロスアタック サポート コスト5
お互いのリーダーがレベル11のとき、コストは2にできる。自分のリーダーが相手に与えるダメージを2倍にする。このターン自分はリーダー以外で相手プレイヤーに攻撃できない。
「ダメージ2倍だと!?」
「フレイムアスクドラゴンの攻撃! 最後の深炎……! くらえ! アルティメット・フレイム!」
そうしてフレイムアスクは友人を攻撃する。
その攻撃に防御する手段はなく……ダメージ10を受け、友人は敗北した。
「うぉっしゃー! 俺の勝ちだぜ~!」
関羽はその嬉しさを体全体を使って表している。
あそこから逆転して勝つとは……見事だぜ。
「やっぱり、初心者じゃ、まだまだ甘いね」
そう友人言うが、その顔はどこか悔しそうだ。
そんな友人に関羽は声をかけた。
「いや、熱い勝負だったぜ!」
そこには嫌味などはなく、本当にそう思って言ったものだというのがよくわかる。それに続くように、絵夢と望も答えた。
「うんうん! すっごく面白かったよ!」
「特に最後の関羽先輩の怒涛の展開には思わず感動しました!」
「友人A、また一緒にモンスターバトルズ……やろうぜ!」
「……ああ!」
最初友人は呆然としていたが、関羽にそう言われて、すぐに力強く頷いた。