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15-6 利莉花×絵夢の百合百合

「ふぅ、危ないところだったよ」

「いや、まだ助かってないぞー」

「え?」


 俺の声に反応して、絵夢は声を漏らす。

 そして恐る恐ると視線を変えるとそこには――


「絵夢さん!」


 と、利莉花が抱きついた。


「うわああ! ちょ、ちょっとリリー! 離してよ~!」

「できません! こんな最高な女性の体が前にあったら、抱きつきたくもなります!」

「何その変態発言!?」

「ええ、そうですよ! 私は変態ですよ!」

「そうだった! リリーは自分で認めていたんだった! ……は! そ、そうだよリリー! 前に必要以上には触ったりしないって言ったじゃない! あれは嘘だったの!」

「それは、普段の時です! 今は、絵夢さんのせいで自制が効いてないんですよ! 責任とってください!」

「うわー! 助けて! 誰か助けてよ~!」


 絵夢はそう叫びながら、体を暴れさせる。けれど、利莉花は絵夢をがっちりと掴んで離さない。


「ふふふ……すぅ……これが絵夢さんの匂い」

「ひぃ!」


 絵夢は怯えたように声を漏らす。利莉花はというと、上気した頬に、にやけた口元。さらに、そこから垂れている涎……。

 もう完全に目がイってるぜ。これは大変な事態になりそうだな。


「早く! 誰か! お願いだから!」

「同じ同性愛を語るものとしては白瀬を止めることは俺にはできないな」

「うっ! 完熟! 完熟は!」

「いや、こいつは視聴者サービス的にもうちょっと間を……」

「視聴者って誰!?」

「……ボクとしては……ありですね」

「なにキリッと顔して言ってるの!? のぞみん! もういいから早く助けてよ!」


 絵夢は現状から逃れたくてわめき散らす。

 これで絵夢も、俺の大変さが身に染みてわかっていることだろう。


 さて、みんなが助けないとすると後は俺か伊久留だが……まぁもう俺しかいないか。でも俺が望に同じような状態だったときはずいぶんと時間がかかったし、ここはもう少しだけ助けないでいるか。


「んっ」


 そうこう考えていると、利莉花は絵夢の首筋に顔をうずめ、小さく舌を出して舐める。


「ひゃ……な、舐めないでよ……」


 その突然の刺激に驚いて、絵夢は暴れるのをやめて大人しくなり、代わりにその全身を震わせる。


「なんだかほんのり甘い味がします」

「うぅ……そんなこと言われても私は知らないよ……」

「もっと……私に絵夢さんを味わわせてください」


 そう言うと、利莉花はまた顔をうずめる。さっきと同じようになめたり。甘噛みするように、唇で軽く挟んだり。

 絵夢の味を堪能するようにじっくり、ねっとりと余すところなく、その舌で触れていく。


「あぅなんか、ぞくぞくするよ……」

「んっちゅ……じゃあ、ここはどうですか?」


 利莉花は絵夢の体の後ろに回していた右手を、その絵夢の体を下からなぞるように動かすと、胸にまで持っていく。


「!? リ、リリー? ちょっとどこ触って……!」

「ふふ……可愛らしいですね」


 その絵夢の反応に妖艶な笑みを浮かべて、服の上からその小さな胸を撫でまわす。


「あ、うぅんっ……んっはっ……」


 利莉花は優しく、丁寧に撫で続けると、絵夢からは次第に艶めかしい声が漏れ聞こえ始める。それに気を良くしたのか、利莉花はその胸を揉み始める。


「んっ……やっ……だ、だめぇ……リ、リー……」

「んっ……はぁあ、いいですよ。絵夢さん……もっと、もっと私にその声を聞かせてください」


 始めは優しくしていた利莉花だったが、その絵夢の様子に興奮してか、次第にその力を強くしていく。


「ふわっ……あっああ……んぁ」


 絵夢は利莉花のなすがまま、その与えられる刺激に身を震わせる。その瞳は抗いようにない快感に潤み、利莉花に支えていられなければ立っていることもできなさそうなほど、その体からは力が抜けきっている。

 首筋は利莉花によって蹂躙され、ぬらぬらと光っている。


「ここまできたら……いいですよね?」


 利莉花はささやくように、耳元で呟くとシャツのボタンに手をかける。そして、胸元の部分、1つ……2つ外すと、中に手を滑り込ませる。


「! だ、だめだよ。それはほんとうにだめ……」

「んふふ……大丈夫ですよ、絵夢さん。これからもっともっと……気持ちよくしてあげますから。ですから、そのすべてを私にゆだねてください」


 その利莉花の言葉に、ついに絵夢は全て諦めた……決心したように目を閉じた。


 ……ふむ。さすがにそろそろ止めよう。このままだと、色々と取り返しがつかないところまでいってしまう。

 それに、これ以上絵夢の喘ぎ声とか聞いていたくない。前は、驚きもしたが、今では気持ち悪いという感想しかないしな。さて、こういうときは――


「えい」

「いた!」


 俺は利莉花の脳天めがけてチョップをする。利莉花は小さく声を上げると、驚いて絵夢を抱いていたその手を離す。そして崩れ落ちそうになる絵夢を俺は支える。


「ヌッキー……」

「まぁ、なんだ。このままなのはあれだから、一度座ってくれ」

「あ、うん」


 そうして素直に頷く絵夢を俺は椅子へ座らせる。うわ……にしてもこんだけ近くで見ると、唾液が凄いな。正直、汚い。


 絵夢も激しい運動でもしたように息が荒いし……あと汗もすごい。……何だか汗と唾液どっちか分かんなくなってきた。


「落ち着いたら、首とか拭いとけよ。……あと、太ももの謎の液体も」

「! う、うん……!」


 恥ずかしそうに顔をさらに真っ赤にして、俯く。……いや、だって一応いっておかないと……ね?


「な、何するんですか! 巧人さん!」


 利莉花は俺にチョップされたところを両手で抑えながら、怒ったように言う。少し可愛い。……と、そんなことを想っている場合じゃない。俺は真面目な様子で返す。


「それはこっちの台詞何だか?」

「うっ……」


 俺の怒ったような態度の言葉に利莉花は怯む。


「興奮するなとは言わない。お前は百合だからな。でも無理やりはダメだぞ。合意の元じゃないと。それじゃレイプだ」

「あ……ぅ」

「嫌がってるんだからやめてやれよな」

「……はい。ごめんなさい」


 そう言って頭を下げる。もう、落ち着いたようだな。この様子なら反省もしてるみたいだし、大丈夫かな。


「俺にじゃなくて、絵夢に言ってやれ」

「ごめんなさい。絵夢さん。私、暴走しちゃって……」


 謝る利莉花に絵夢は軽い調子で答える。


「本当だよ~。私はリリーの言葉に感動して抱きついただけなのに~」

「はい、申し訳ないです……」

「でもまぁリリーだからね。私も不注意だったし……今回は許してあげる! ……友達だもんね!」

「……! はい、ありがとうございます!」


 そして利莉花は笑う。……これが利莉花の選んだ、大切。……ホント、いい選択だ。

 その光景に心を温かくしつつ自分の席に座ると、隣の絵夢が話しかけてくる。(ちゃんと色々拭き終えてる)


「えっと改めて、ありがとう……ヌッキー」

「これでさっきの貸しなしな」

「うぅ……それはいいけどさ~。疲れたよ……」

「俺の苦労がわかったか?」

「うん……よ~く、ね」


 そう言ってため息をつく。これは当分この調子かな?

 と、ここでようやく今まで静観していたやつらが、口を開く。


「いや~中々見ごたえのあるシーンでした」

「ああ、これで視聴率アップも間違いねーぜ!」


 アップする前に規制されるだろう。そして、どこに視聴者がいる。


「さっきの言葉……心に響いたぞ、巧人」


 お前には関係ないんだよ。褒められてもうれしくない。


「ボクと先輩でもさっきのみたいに濃厚な絡み合いのシーンを……!」

「嫌だ。誰がお前のような変態ホモ男女と」


 心底嫌そうに俺は眉をひそめて答える。


「先輩! ボクの扱い、ぞんざいすぎます!」

「はぁ? そうでもないだろ? こんなもんだろ、変態相手だし」

「そんなことないですよ! ボク、男の娘ですよ、男の娘! 貴重ですよ~?」

「あ、あれだよね、『こんな可愛い子が女の子のはずがない!』ってやつだよね!」


 復活したか絵夢。早いな。


「そうです! ボクは可愛い……それこそ、女の子よりも! それが分からないんですか!」


 分からないから、こうなってるのに。

 大体男であることは変わりねーだろ。

 けれど、そんな俺とは違って、絵夢のほうは納得するように頷いた。


続く

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