第6話 始めてのスキンシップはみんなで仲良く
それにしても彼女達を生成した神はなんで女の子の姿で実体化させたんだろうな。
それもあんな半裸姿で。
洋服を着せたり、専任の教育者を付けてもう少し人間世界の事を学ばせてから、地上に降臨させればよかったのに。
神様の不親切ぶりを思っていたら、吹花擘柳に不審を抱かれたのか。
「おい、直登? なに考え込んでいるんだ?」
「ん? うゎ、近い、近い。火が服に燃え移るよ!」
考え事をしている間に近寄っていたのか。
正面に立っていたはずなのに気づいたら俺と抱き合うくらいの近さから俺を見上げていた。
吹花擘柳の纏う炎が俺の着ている洋服に燃え移るかと思ったんだけど。
「うん? 焦げて……ない?」
上着のTシャツの裾を触っているが焦げた感触はしない。
そういえば焦げた匂いもしていない。
キスされた時もそうだけどなんで吹花擘柳の炎は服に燃え移らないんだ?
「あー、直登、安心しろ。この炎は今は幻影だから近くにいても服は燃えない。もし、炎が実体化していたらわたしの周囲は暑くなるし、触れた物があったら燃える」
「へぇー、そんな便利な事もできるのか」
炎を幻影化してくれるのはありがたい。
火傷しないか心配する必要もない。
それにしても纏っている炎が幻影って、それじゃほとんど全裸と同じじゃないか。
現にキスした時も俺の肩に胸が触れていたし、ある意味危険だ。
「直登様、私の纏っている流水は本物ですよ。私達は、自分の属性の能力を状況に合わせて幻影や実体化できるんです。触ってみれば本物の水とわかりますが触ります?」
にこやかな表情で夏疾風も寄ってくる。
言われてみれば夏疾風の纏う流水のワンピースみたいなのに触れている身体部分は少し濡れているかな。
本人は触っていいと言っているけど、力加減を間違ったらえらい所まで触ってしまいそうだ。
一番しっかりしてそうに見える夏疾風も男に無防備に触らせてくるとは危なくて心配になる。
「いや、いい。遠慮しときます。一応、見ただけで水ってわかるから」
と、正解の答えを言ったと思ったのに夏疾風は、少し落ち込んだ風に俯き。
「……そう、ですか」
声だけでなく表情も雰囲気も幾分か暗くなった。
まだ、俺の真正面に抱き付くくらい近くにいた吹花擘柳が小声で囁いてきた。
「こら、直登。夏疾風がせっかくスキンシップをはかって仲良くなろうとしているのに断る奴がいるか」
そう言ってから吹花擘柳は俺から離れて他の三人がいる場所に戻った。
「……あ」
そんな心遣いがあったのか。
邪な事を考えていた自分が恥ずかしい。
「ごめん。夏疾風。一回、触らして貰えないかな?」
日本で女子小学生に言ったら通報されても仕方ないレベルのお願いをした。
「はい、どうぞ。直登様、好きな所をお触りください」
夏疾風は、暗い表情を一転させて嬉しそうな表情で胸を張ると、さあ触ってくださいとキラキラした表情で俺を見てくる。
俺は、夏疾風の表情とは逆に頬を引きつかせながら右手を上げたまま何処を触ろうかと悩んでた。
先程は触らないがハズレだったので、今度は何処を触ったら正解かわからなくなってきた。
流水のワンピースの裾、肩、あり得ないけど胸やお尻。
いや、そもそも流水の部分だけで触れば、肌に触る必要は無いのかと考え込んでいたら夏疾風に右腕を両手で掴まれた。
ほっそりとして小さな手だった。
夏疾風は、掴んだ俺の手を自分のお腹の真ん中。
おへそがありそうな部分に俺の手のひらを当てた。
胸の下側で股間の上側という微妙に危険地帯をなぜ選んだか不明だが、夏疾風も男と会わせるにはまだ危険だと再認識。
「どうです? 直登様。 本物の水が流れていますでしょう」
確かに俺の手首部分は水の流れの感触がする。
例えるなら川の中に手を入れているような感じ。
「おー、すごい。ちゃんと流れている水の感触がする。冷たくて気持ちいい」
そして、この流水のワンピースの生地の厚さはそんなにないこともわかった。
何故ならば俺の手のひらは夏疾風のすべすべした素肌のお腹を直接触っているから。
いや、夏疾風が俺の腕を左右に動かしているから撫でているという感じか。
すべすべでぷにぷにした夏疾風のお腹の感触が気持ちいい。
手首では冷たい水の流れを感じ、手のひらでは人肌の温もりを感じている。
「ふふっ、直登様。くすぐったいです。それに直登様の手のひらは大きくて温かいのですね」
俺と夏疾風のスキンシップを羨ましく思ってきたのか。
風花と金風も俺の回りに近寄ってきた。
「ボクと金風も本物の霧や泥だよ」
「……直登さん、自分にも触る」
風花の纏う霧は気体で全裸とほぼ変わらないし、金風は泥を塗ったと同じで身体のラインがまるわかりだし、夏疾風の流水のワンピースより過激かもしれない。
でも、この子らは俺と仲良くなろうとスキンシップをはかってきているわけだし無下に断る事はできない。
別にスケベ心や役得とかは思う邪な考えは僅かだ。
男の性だ。
夏疾風は満足したのか俺の腕を放し風花と金風に場所を譲る。
俺の右側に風花、左側に金風がそれぞれ立ち並ぶ。
今度は、二人同時のようだ。
風花がいきなり俺の右腕を両腕で抱え込んだ。
右腕は風花の身に纏うの白い霧の中に埋没している。
半袖のTシャツを着ていたので右腕全体を包み込むような感じで風花の柔肌の感触を感じた。
丁度、胸に押し当てる感じで両腕で抱き締めているので、俺には胸やお腹の素肌の感触がダイレクトに伝わってくる。
俺のTシャツの右側。風花のいる方は霧の湿気を吸ったのか若干湿ってきた。
左側にいる金風は、抱き付いている風花を見ると。
「……羨ましい。……自分が同じ事をしたら直登さん、泥だらけ。……うーん」
首を傾げて悩んでしまった。
「……あ」
何か思い付いたのか金風は、少し俺の左手首を掴むとそのまま。
自分の右胸に押し当てた。
スムーズな自然な動きだったんでそのまま触ったけど、つまりおっぱいを手のひらで覆ってる。
少しでも動かしたらおっぱいを揉んだり擦ったりした事になる。
このライダースーツ風の泥は結構薄い。
さすがに胸の先っぽの位置は見た目では解んないけど、触ったらはっきりわかってしまうというか今俺の手のひらで感じている。
「ちょ、金風。なぜ、そこに?」
「わたし、小柄だから胸の高さが丁度、手のひらを当てやすかった」
胸の上の肩にという選択は無かったのかなと思うが、俺は、今は下手に動けない。
右の風花には右腕を抱かれ、左の金風には左手を胸に押し当てている。
まさに両手に花状態。
「あら、皆さん。スキンシップが楽しそうですね。私も参加します」
じゃれあう俺達見て、夏疾風もまたスキンシップをしようと近寄ってくる。
今度は俺の背後から抱き付こうと背中の方に回ろうとする。
「こらこらこら。直登と仲良くなる為と思ってスキンシップを止めなかったが、今は、直登に現在の状況を教えている途中なんだぞ。これ以上スキンシップするならまた後ですればいい」
吹花擘柳の皆を嗜める声を聞いて、三人はスキンシップを中断して思いの外あっさりと俺から離れていった。
「あら、そうでしたね」
「ははは、スキンシップが楽しいくてつい」
「……忘れてた」
吹花擘柳以外は俺を含めて説明が途中なのを忘れていちゃついて、いや訂正、スキンシップをとってしまった。
吹花擘柳も混ざってくるかと思ったけど意外と真面目なんだと思っていたら。
「まったく。……わたしは、キスだけでまだ直登とスキンシップもしていないというのに」
という小声が俺に聞こえたてきた。
四人の中ではキスしてきたのが一番と言っていいくらいなスキンシップなのに本人には自覚無いみたいだ。