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失われたモノ  作者: sinson
第1章 ささやかな日常だった……
2/8

二話

キーンコーンカーンコーン……キーンコーンカーンコーン

「起立! 礼! 『おはようございます』 着席!」

「週直係ありがとさん、もう6月29日だ今日を含めあと2日で7月だ、もう夏バテしてるやつはいるか〜てな訳で出欠確認するぞ〜今日は誰がいない? 五井か?」

私がそう聞くと、クラスのムードメーカである三原が答えた。

「先生、五井さんは来てますよ」

あの五井が?

五井はなんらかの事情で2週に1回月曜日休んでいる。

病気か何かだろう、私には何も知らされていない。

もちろん休むのは親から許可されているようだ。

その五井が来ているとは、今日は雨が降るかもしれない。

「ほお、五井がいるとは、……五井、大丈夫か?」

「大丈夫……」

五井は下を向きながら蚊の泣くような声で答えた。

口数は少ないが、嘘はつかない真面目な子だ。

大丈夫だと言ったら多分大丈夫だろう。

「先生〜ゆーやんとシゲもんが来ていませ〜ん」

可愛いと人気が有る、三ツ井が腕をひらひらと振りながら言った。

「中辻と宮沢か……」

中辻は、まあわかるが……宮沢が休むとは意外だ。

去年も私の生徒だったが、今まで無遅刻、無欠席。去年一年生の中で唯一皆勤賞をもらった子だ。

その子から、休みの連絡すらないなんて……槍でも降ってくるのか。

「宮沢から休む理由とか何か話聞いてる人いないか? 三ツ井どうだ?」

「うーん、ゆーやんと土日話してないし……。まいちゃん知らない?」

「知らない……」

五井は小さく首を横に振った。

「じゃ〜ね〜、ともりん!」

「ごめん、僕も知らないんだ……」

三原はすまなさそうに言った。

「シゲもん〜」

三ツ井は斜め後ろの席を見た。

「中辻もいないぞ」

私は三ツ井にそう言った。

「じゃあ、シゲもんとゆーやん、二人に何かがあったのかなぁ〜」

三ツ井の言葉に私はある予想をしてしまった。

まさかな……

「そういえば土曜日、シゲキックスが明日夜まで親がいないから、新しいことに挑戦するって」

「……ゆーやん、休日、楽しみにしてた」

三原と五井が続けて言った。

もしかしたら……いやいやいや、中辻は知らんが、あの宮沢のことだ何もないはずだ。

「そういえばシゲもんとゆーやんって幼馴染だよね〜家も隣って言ってたし」

忘れてた……これは確認する必要がありそうだ。

この話を聞いて、他の生徒も騒ぎ出した。

「成樹ってよく宮沢と一緒にいるよな」

「私、侑果と中辻くんが仲良く買い物しているとこ見たことあるよ」

「俺もそいつらが制服姿のまま、学校の裏にある神社への階段登ってるとこ見たぜ」

「さすがにそれはないでしょ。見間違えじゃない?」

「でも、もしかしたら……シゲキックスのやつ……」

「中学の時から付き合ってるって噂があったけど……ついに来たみたいね……」

「だからあの三原さんが休みなのか」

「中辻くんが『侑果、今夜は眠らせないぞ』とか」

「「キャーー!!」」

「おいお前ら落ち着け! 騒ぐな!」

私は怒鳴ったが全く効果がなかった。

だめだ、集取がつかない。

ガラガラ……

そんな時教室の扉が開かれた。

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