表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

珍未来

作者: piroaki7

永遠に続くかと思われた退屈な日常。

今日もただなんとなく生きて…いや僕たちは存在している。ただそれだけだ。

昔テレビで見た透明チューブが走り、無数のメーターが浮かび上がる未来はこなかったんだ。



タツヤは、ちゅぼみのAVを見て自家発電を開始した。

そして、同時刻、タツヤの母は一階でニュースをつけながら、「週刊女性アクロバンチ」を読んでいた。


「政府の発表によりますと、乱れた現代の若者たちを正すため、本日より自慰禁止法案が実施されました。」


週刊誌の中で微笑む韓流アイドル、ダヨーン様に夢中でニュースを聞いてなかった彼女だが、2階の物音に現実に引き戻された。


タツヤの部屋だわ… 最近部屋に閉じこもってばかりの息子。

たまに一人でなにかわめいてる。

しかし、今日の騒がしさは普通じゃなかった。


「19時20分 犯珍を拘束しました」


数人の黒装束の男たちが、タツヤのコカンにチタン製の器具をとりつけた。


タツヤは恐怖で声もでない。


自慰禁止法 通称オナ禁。

この法案に違反したものは、局部にリミッターを取り付けられる。

この装置は、自慰行為を行うと10万ボルトの電流が流れるしくみになっているのだ。


大丈夫、ペカチュウも10万ボルトだから。



その日を境に、町からはエログッズやエロ本が消えた。

そしてアヤシイ目をした若者たちが増えたのだった。





オナ禁法が発令されてから、同人誌即売会の男性向けスペースはさびしくなった。

エロ同人の匠たちは、ある者は逮捕され、またある者はペンを折った。


しかし、ここにエロ同人を描き続ける少女がいた。

眼鏡をかけて、三つ編みでブースに座る彼女に、隣スペースの男性が周囲を気にしながら話しかけた。


「そんな本売るのやめなよ… つかまっちゃうよ」


ついこの前まで、スカトロ系の大家だったサークルが、今では青春スポーツ漫画に転向したりと、イベントは激動の嵐をむかえていた。

しかし、彼女は誓ったのだ。


私は、好きなものを自由に描くの。


その好きなジャンルは、容赦ない激エロ系だ。

マッチョな男性と、ロリーな女性キャラが激しくプロレスする内容だ(もちろんベッドの上で)


彼女の名は、月影シリカ(ペンネーム)

そんな彼女の前に、あきらかに客ではない男が数人…。

腕にはOPのマーク。

オナ禁ポリス! 別名 オカズハンター!

自慰行為をする者にリミッターを付ける役目と、もう一つが若者の健全育成を阻む物を没収する役目を持つ。

こいつらの通った後には、エロチラシ一枚も残らない。

こいつらに奪われたお宝が、どこに行くのかは、わかっていない。

ハンターの一人がシリカの本を手に取ったその時!

ハンター達の後ろから声が聞こえた。


「一冊ください」


全員が声の方向に振り向く、そこには、


黒い男が立っていた!

ハンターの一人が叫ぶ!

「…こいつは、まさか!」


コカンにリミッターをつけられても、一人エッチをやめられない男たちがいた。

10万ボルトの電撃をうけても、自慰をやめない男たちを人々は敬意と恐れをもってこう呼んだ。


オナニャーと!!

そんなオナニャーの中でも、伝説となっている男がいた。


「こいつ、指名手配の!」


その男は、自慰をする際に発生する電撃にも屈する事なくコキつづけたために、細胞が突然変異をおこし体がまっ黒になっていたのだ。

そして、自家発電パワーで空中に浮き、必殺光線「Gキャノン」を武器に政府と戦っている。

奴の名は!

黒い男は、エロ同人を読みながら抜き所をピックアップし、チャージにかかった。


ハンターたちが、銃を抜くよりも早く、その男が抜いた!!

激しいスパーク。

黒い煙と衝撃波。


捨てゼリフを残して、ボロボロの衣服をひきずり、ハンターたちは逃げていった。


シリカは、黒い男を見た。


「? 私か? 私の名はイカぷさい、そう呼ばれている」


会場に煤のにおいとイカのにおいがあふれた。

もしや、この男が… 我々の光となるのか?



そして10年の月日が流れた。


国会議事堂の奥に、ある部屋がある。

そこには大型スクリーンがあり、きこうでんみちゃのAVが流れていた。

その前で、エロ本を読む男。

日本で一人、自慰をしても罰をうけない男。

国籍不明、本名不明。

しかしいつも身体から発するイカの臭いと、ネットリした物言いから「ヌットン将軍」と呼ばれていた。


日本政府を影から操る男、彼の望みを阻む者はいない… はずだった。

彼の目的は、全てのエロを独り占めする事。

エロ漫画家は彼のためだけにエロマンガを描き、アニメーターは、彼のためにエロアニメを作成した。

気持ちいいのは俺様だけでいいのだ。


「ご報告します。憎むべきオナニャーどもに、第69オカズ倉庫をやられました」


ヌットン将軍の野望を砕く伝説の存在、「イカぷさい」

たしかに、この数年でオナニャー達は組織的な結束力を得ていた。

こいつらは、俺様の大事なオカズを奪い力を増大させている。

俺様のパラダイスを破壊されてなるものか!

スクリーンの後から、数人の影があわれる。


人? サイボーグ? 地獄の自慰訓練をうけた狩人達。

ヌットン将軍が声をあげる!

「行くのだ! メカオナニャー部隊!」


メカオナニャー達のコカンから電流がスパークし空に舞い上がる。


「こ… これでオラのリミッターを外してくれるんだな…」


一人の男がヌットン将軍に近づく。

己が可愛さのために、オナニャーたちの基地の場所をヌットン将軍にしゃべったのだ。

しかし、裏切り者の末路は決まっている。


男の足元が開き、そして闇の中へ…。

この世で一人で楽しめるのはヌットン将軍だけなのだよ。



イカぷさいは、オナニャー達を組織し、反乱グループ「オナライダー」を結成していた。

シリカは組織のためにオカズを提供し、彼らのアジト廃工場には自由なイカ臭い空気が流れていた。


イカぷさいのもとに集まったオナニャーの数も増え、オカズ不足ぎみであったが同志たちは暴れるでもなく仲良く集っていた。

いつか来るであろう真の平和を夢みて…。


晴れた空に浮かぶ飛行船。警戒しながら身を物陰に隠す。

都心部から離れた廃工場に飛行船… アジトに緊張が走る。

一人を除いて…


「アニキ! 空からオカズが降ってきやしたぜ!」


彼の名はサブ、イカぷさいをアニキと呼んで慕うスポーツ刈りの眼鏡少年だ。

人を疑う事を知らない無邪気な瞳で、手に「スーパーリアール麻雀 脱衣パラパラマンガ」を持ちながら駆けてくる。


「あぶない!」


その瞬間、サブの手にあったパラパラマンガが光った!

アジトのあちらこちらで爆発が起きる。


「うぁー!!おいらのオカズが!」


混乱するアジトに天から舞い下りてきたのは…。


「メカオナ二ャーシリーズ! 完成していたのか!」


風の噂に聞いた何発でも発電可能な機械の戦士。

オナニャー達の「Gキャノン」はオカズでチャージしなくては発射できない。

しかし奴らはバイアグラエンジンで常にフル勃起状態だ。

とうぜんオカズ等は必要なかった。


だが、そんな魂のこもっていない自家発電は、真のオナニーではない!

オナニーは、オナニーはそう、愛。愛だ!!

イカぷさいのコカンが光った!

戦闘の合図だ、戦いが開始された。

血で血を洗う凄惨な戦い。


「く…臭いわ!青臭すぎる… これが戦場なのね!」


倒したメカオナニャーの数は1000体以上。

倒しても倒しても、次から次へと戦場に投入される機械兵達。

激しい戦いの末に、ついにサブのコカンから赤玉が出てしまった。


「イカのアニキ… もうアカン。 スク水もチャイナも… 何見ても興奮しないんや…」


戦士は立ったまま果てた…。



声にならない叫びをあげるイカぷさい。

戦友が、戦って戦って、戦って果てた。

しかし、オカズが足りない。

数少ないオカズはほとんど消費されていた。

イカぷさいのGキャノンの出力も下がっていた。


オカズだ!オカズもってこい!」

「そこ、弾幕うすいぞ!!何やってんの!!」

「オカズ倉庫大破!!!」

「うおお、ハーフリータの創刊号が、紙質悪くてボロボロだ!!」


シリカがおもむろに立ち上がり叫んだ。

「私、脱ぐわ!」

これでも脱いだらスゴイのよ!!いろんな意味で!!

オカズに飢えた男たちを救う、そう、私は女神!!!


「すまん、俺たち2次元にしか興味ないんだ」


居心地の悪い空気が流れた。

女神なんかなれないまま私は生きる。


…その居心地の悪い空気の中、空中にあの男の立体映像が浮かんだ。


ヌットン将軍だ!

「優秀なオナニャーの諸君。私の部下になるならば命は助けてやろう」


「誰がお前なんかの言う事を聞くか!」


俺たちの鉄の友情…

それは何よりも固く熱い。

イカぷさいと、その他オナニャー戦士たちが、目と目で語り合う。

「俺たちはひとつだ!!」


立体映像に、セーラーヌーン等身大立て看板が写る。

「ちなみに部下になればオカズを自由に使える特権をあたえよう」

空中にエロ漫画の並んだ本棚や、フィギュアがうつる。


「ヌットン様 万歳!」


鉄の友情が壊れた…。

燃え尽きたはずのサブまでがその姿を消し、イカぷさいは一人になったのだった。






瓦礫の山に、無言で立ち尽くすイカぷさいとシリカ…。


この国の平和は、自由は…。

このままオカズの山をヌットン将軍に独り占めさせていいのか?

いや、ヘコんだ、正直ヘコんだ。

しかし、男が最後まで戦うと決めた時、それを通すことが大事なのだ。

誰が、他人のくれたオカズでシゴクかよ。

俺のオカズは俺が見つける!!

イカぷさいのオナニャーとしてのプライドが燃えた。


そしてたった一人のラストバトルが始まった。

イカぷさいと、メカオナ二ャーの激しい戦いは、出勤するサラリーマン90万人の交通を乱すほどだった。

あまりのイカ臭さ…。 


「妊娠したらどうすんのよ!!!」


主婦が叫び声をあげ、パン屋のパンはすべてイカの臭いになった。


そして嵐が止んだ。

ぬれたアスファルトの上を歩く足音だけが響いた。


「…あれが、敵の本拠地か…」


霧の中からある建物が姿をあらわす。

その建物は、国会議事堂のように見えたが… その正体は、ヌットン将軍が住むヌットン城。

この日本の舵をとる中心地だ。

城壁の中には、工場が立ち並んでおり、そこでは敵にねがえったオナ二ャー達が奴隷として働かされていた。

当然、自由にナニできるっていうのは嘘だ。

絶望の中で働く彼ら…。 もう希望の光は、彼らの目に戻ることはないのか?

静かだ… 静かすぎる。


城のベランダに人影が見える。

ヌットン将軍だ。


「ようこそ、イカぷさい君」


威圧感のある声が響く。


「3000のメカオナ二ャーを破壊するとは…。君ほどの人材を消してしまうのはもったいな…」


黒い顔の中からイカぷさいの眼光だけが光った。


「私の片腕になれ…」


もうオカズがなかった。

Gエネルギーは0に近い。


「断る」


この悪に屈するわけにはいかない。

こいつは、すべての成人メディア、ネツトを規制しようとしているのだ。

そして、その規制はやがて国民のすべてをコントロールしてしまうにちがいない。


「ならば死ね!」


ヌットン将軍の体が光る! 特にコカンが!

「この力がきさまらだけのモノと思うなよ!」


まぶしい。多量のオカズから得たパワーが、ヌットン将軍のコカンに終結した。

最後の力をふりしぼりイカぷさいが立ち上がる。

コカンとコカンがぶつかりスパークした。

周りのエロフィギュア工場と国民から取り上げたエログッズ保管庫が吹き飛ぶ。

サブは、吹き飛んだ工場のガレキの間から、その光景を見ていた。


「アニキが…おされてる…」


イカぷさいが、地面に倒れた…。


もうエネルギーにするオカズも無い…。

平和は… 自由は… すべて死んでしまうのか…?






その時、声が聞こえた。

まばらだった声の糸はやがて一つの束になった。


「立て、立て、イカぷさい…」


周りにいた人々からコールがおこっていたのだ。

その声は高まり、そして広がっていく。


しかし駄目だ…オカズが足りない。


その時、サブはスポーツバッグの中に、通販カタログがある事に気づいた。


この工場に収容された時、ズリネタになりそうなものはすべて奪われた。

しかし、このカタログだけはオカズと判断されなかったために押収されなかったのだ。

これがやつらの命取りとなった。

通販カタログには下着のコーナがあり… なかなか使えるのだ!

「アニキ! これを使ってくれ!」


サブがイカぷさいにカタログを投げた。

みんなの声援と、オカズのパワーが一つになった時、奇跡はおこった。


「金色だ! アニキが金色に光ってるぜ!」


「ババ様…」


「おぉ、イカのもの金色の…以下略 伝説は本当だったんじゃ…」


やがて光は町を包み、国を包み…


ヌットン将軍も、その心地良い光につつまれていた。

そして、若かった時の事を思い出していた。


「いいものもってきたぜ!!」


「イカぷさい…クン?」


工事現場に落ちていたエロ本を隠れて読んだあの日。

時空を超えた空想の中で、二人は一緒だった。

お互いの心を打ち明け理解しあえた時、イカぷさいとヌットンは友になった。

アニメVVの袋とじを開けながら、ドカンの上で語り合う二人。


「このアミーちゃんのカードを暖めると服が透けるんだぜ!」


その時間は、楽しい、そして懐かしい不思議なものだった。

涙が流れた…。


「イカよ… わしは間違っていたのか?」


いや、みんなが目指したのは、同じ楽園。

そこに立つのは、みんなのはずだった。


「イカよ、おまえに、この国を…」


光が消えた。

そこには、イカぷさいの姿しかなかった。






ある晴れた日。

新内閣が発足した。


内閣総理大臣 イカぷさい


サブや月影の姿もそこにあった。


オナ禁法は廃案となり、公約どおりモザイクは撤廃。

あらゆるアダルトメディアと、衛生管理された国営風俗の出店を許した現代の赤線

特別アダルト行政区、通称「エリア69」が日本各地に登場。

表現の自由を柱とした新国家が誕生したのだ。


オナ禁法廃案の朝。


タツヤの股間にはまっていた拘束具も取れた。


「やったー、やったぞー」


階段を駆け下り玄関に… 彼の母親が目を丸くしている。

ずっと引きこもっていたタッチャンが…。


もう引きこもってなんかいられない。

自由だ。僕たちは自由だ!!

「ひとりエッチなんてしてられっか!!!」


万札を握り風俗に走るタツヤ。

春の日差しも少しずつパワーアップしていき、夏へのカウントダウンが始まった。




タツヤがぼったくり風俗でひどい目にあうのは、また別のお話。



おわり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ