悪とは
悪とは正義の対義語ではない。正義と悪。傍から見れば白と黒ほどにも違いがあるだろう。
しかしそうではない。人の感情とは色のようにきっちりと分かれていない。
正義と悪は同じだ。対義語は無欲。そう無欲なのだ。自分を守りたいと言う欲。人を守りたいと言う欲。
人を殺めたいという欲。盗みたいと言う欲。その全てが正義であり悪だ。
人が無欲ならば金など存在しないし戦争とて起こらない。方向性が違うだけなのだ。正義や悪とやらは。
テロリストを考えてみよう。テロリストは悪で救いようが無いというのが大方の意見ではないだろうか?
私はそうは思わない。もちろんテロリストを擁護しているわけではない。
何故テロリストはテロを起こすか。考えた事のある人はいるだろうか?もし考えたなら教えて欲しい。
テロリストは認めて欲しいのではないか。自分たちの正義を。人が悪だと謳っている自分たちの正義を。
何故私がこういう考えになったか。私は日本とフィリピンとのハーフだ。母方がフィリピンだった。
昨年の事だ。正月の休みにフィリピンへ行った。行ったのは人生で二度目だ。幼い頃に一回だけ行った。
私の記憶ではペンキのにおいとおじさんのニカッと笑った笑顔。多分リフォームしていたのだろう。
それが全てだった。フィリピンはペンキのにおいで記憶してしまっているし人はおじさんの笑顔だけだ。
貧困街という所にいってきた。そこで私の幻想はあっけなく終わった。
一歩路地裏に足を踏み入れると言いようのない悪臭に鼻を押さえずにはいられない。
驚いたのは薬の密売だった。普通に粉末で売っているのだ。腕に夥しい注射の痕がついていた。
何を売っているのか聞いてみた。アッパーだと言われた。アッパーとはコカインなどのことだ。
おたくもどう?なんてまるで水飲む?と同じように言われたのには戦慄した。
しかし彼らはそれを悪だとは思っていない。正義だとも思っていない。ただ徒然なるままにだ。
彼らは無欲なのだ。もちろん三大欲求などはあるが薬に至っては何も思わない。
無欲だからこそ続く。悪だと思ってしまったら罪悪感でそのうち潰れる。
正義だと思ったらこんな路地裏でうろちょろしない。ただ無欲に薬をやっているのだ。
長話で悪かった。話を戻そう。テロリストは無欲ではない。これが言いたいのだ。
テロリストがもし悪だと自覚しているとしたらやめてしまうだろう。こんな事は馬鹿馬鹿しいと。
無欲に進めたなら頓挫してしまう。士気も何もあったものではない。
テロリストは自分たちを正義だと思っている。でなければ人を殺せないし自爆なんて無理だ。
その圧倒的な正義に世界が従うと思っている。世界は自分たちを中心にして回っていると思っている。
酷い話だと思う?それもそうなのかも知れない。ここまで延々書いているが全て私の想像でしかない。
もちろん人は感性が違う。十人十色と言う言葉の通りに。違うのだ。
最近の世はこれが分かっていないのだ。まぁそもそも分かっていたら黒人差別等々など起きないが。
ここまでこの駄作を読んでくれた皆様に問いかけたい。この世界の悪と正義はどう隔てればいいのか?
私はこの事ばかりを考えている。この問題が解ける事は生涯ないだろう。
それでも私は考えられずにはいられないのだ。皆様の意見が聞きたい。どうだろうか?
2015年6月26日 K