第一話 トイレから異世界へ行ってしまった
間抜けな声を上げたまではよかった。
ただその後が問題だった。
俺はドアを開けようとして強めに押した。だが、目の前の少女がドアを引いたのだろうか予想以上に簡単に開いた。
それが問題だった。
力を入れる→ドアを押そうとする→空ぶった=目の前の少女と衝突
という事態が起こるわけだ。
さてここで俺はどうすればいだろうか?
1 なとか踏ん張る
2 倒れる
うん1だなと言いたいけどもう遅いんだ・・・
だってもう衝突しそうだもの・・・
そう思考していた瞬間、俺は目の前の少女とぶつかった。
「のわーーー!?」
「きゃあ!?」
『ドンガラガッシャーン!』
「あいたたた・・・」
「うーん・・・・・・」
「・・・と!大丈夫!?」
自分が目の前の少女を押し倒したことにすぐに気がつき体を横にどける。
「おーい?大丈夫か?」
「きゅう・・・・・・」
「あらら・・・目回してる」
さてどうしたもんか?
というかここどこだ?
回りを見渡してみると自分が入ったトイレの出口とは全然違う場所にでていた。
「んー・・・さっきまでトイレにいたよな俺?」
それがトイレのドア開けた瞬間へんな部屋に出たと・・・
「どうしたもんか・・・とりあえず目の前の少女・・・少女?」
待て・・・ちょっと待て。
ぶつかったせいで動揺してたせいで気づかなかったけどこの子・・・
「角と尻尾と翼がある・・・」
E?チョットマッテ?これってまさか・・・
「異世界・・・?」
いやいやそんなわけあるはずない。
目の前の子だって、きっとコスプレしているだけだって。
ハハハ・・・そうだよなじゃあこれは夢かあ・・・
んー最近の夢はリアルだなあ。
さっきもぶつかった時痛かったし・・・・・・
「うん・・・アウトー」
いや、痛かった段階でもう夢じゃないじゃん。
てことはこれ現実?
「なんてこった・・・」
「ん・・・んん」
おっとこの子起きそうだ。
「うー・・・目がチカチカする・・・」
「やあ、おはよう」
とりあえず、挨拶をしてみた
「・・・・・・・?」
目をパチパチしながらこちらを見てる。
うん、まあ気絶して目の前に男がいたらびっくりするよな。
『ゴシゴシ』
「?」
『ゴシゴシ』
「・・・・・・・」
目を二回も擦らなくてもここにいるから。
「きゃああああああああああ!!!?!?!?」
「ちょお!!?」
いきなり悲鳴とか俺どうしたらいいの!?
てかこれ傍からみたら俺、悪者みたいじゃん!?
『ドタドタドタドタ!!』
ちょお!?すんごい勢いで誰かこっちに向かってくる足音がしてるよお!?
『バタン!!』
「ここでいったい何をして・・・・・・」
ドアを力強く開け入ってきた人?が俺・・・というか俺の後ろを見て固まっている。
俺の後ろって確かトイレノドアがあったはずだよな・・・?
そう思い後ろを振り返ってみるとそこは白い扉があるだけだった。
「え・・・?」
一瞬で思考が停止した。
停止させたのはもう帰れないという現実を一瞬で理解したためだ。
「まさか・・・扉が開いたのか?」
目の前の女の人?が何か言ってるが耳に入ってこない。
帰れない・・・まじで?
「え?え?」
扉を開けた少女は動揺しながら現状についていけてないようだった。
「そこにいる君は確か・・・アルメシア・ドラゴニア君か・・・」
「は、はい」
「君がこの扉を開けたのか?」
「はい・・・」
「ということはだ・・・」
ハハハ・・・帰れない・・・
ああ、あのアニメの続き見たかったなあ・・・
「おい、そこの・・・えー・・・人族?でいいのか?」
あー新しいカードゲームやってみたかったなあ・・・
「おい!君!」
「は、はい!?」
何!?何事!?俺ちょっとアニメのこととかカードゲームのこと考えてただけだよ!?
「君はここがどこだかわかってるか?」
「え?・・・・・・どこですかここ?」
「やはりか・・・」
「どういうことですか?」
「落ち着いて聞いてくれ。君は異世界からそこの白い扉[コーリングドア]によってこの世界に呼び出された」
「はあ・・・」
いや、まあ異世界にきたこと自体は理解してるからなあ・・・
「反応が薄いな・・・信じてないのか?」
「いえそんなことはないですよ?ただちょっと衝撃的なことが連続で起きたせいで現実逃避してたらいつの間にか冷静になっただけですよ?」
「そ、そうか」
俺の返事に戸惑いながら目の前の人が応答する。
饒舌になったのは現実逃避をしていたせいだと思いたい・・・
「それでなんだがその・・・だな・・・元の世界に帰ることは・・・」
「ああ・・・わかってます。帰れないんでしょう?」
まあ、お決まりだよなこういう展開では・・・
「あ、ああ」
「大丈夫です。もう覚悟はできてます」
戻れないなら諦める。
無効に未練なんて無いしというか日々、暇だった俺が未練・・・あー弦間には別れの言葉ぐらい言いたかったな。
親は・・・まあ、心配しないだろう。
だって本当の親じゃないし。
「そ、そうか」
おっと、きっぱり言い過ぎたかな?
ちょっと動揺している。
「・・・それでなんだが君・・・この学園で生活する気はないか?」
何故急にそんなことを・・・?
・・・ふむ、後ろの扉と何か関係があるのかな?
とりあえず返事はしよう。
「いいんですか?」
「いや、まあここの鍵を閉め忘れた私の責任でもあるからね・・・まあ、勝手にこの世界に呼び出してしまった罪悪感だと思ってくれていい」
ちょっと肩を落としながら目の前の女の人はそう言った。
「ならお願いします(うーんとりあえず生活が大事だここはこの話に乗ろう)」
「わかった。なら来週から君をこの学園に入学させよう」
目の前の女の人?が何を考えてるかは理解できないが今はこの世界で生活することが大事だ。
もし何かしらの目的があったとしても俺に悪影響が無いなら別にいいかなと思っている。
「それで・・・何故、アルメシア・ドラゴニア君はこの部屋に入ったのかね?」
「そ、それは・・・」
どうしよう・・・正直に言ったほうがいいよね・・・?
「何かいいづらいことかね?」
「その・・・声が聞こえたんです」
「声というと彼の声かね?」
「いえ・・・そういったものではなくこう感覚的な声というか・・・」
こう、心に響くようなそんな感じの声が聞こえてきたんです。
「ふむ・・・疑問は残るがここで起きたことは他言無用に頼めるかね?」
「は、はい。元々私がこの扉を開けたのが原因ですし」
考えてみれば彼を私が呼んじゃったんだよね・・・
アルメシア・ドラゴニアは自分を責め始めようとした時、学園長の声が聞こえてくる。
「さて・・・えーと君の名前は?」
「あ、俺の名は清道佑っていいます」
キヨミチ・ユウ・・・・・・不思議な名前。
「キヨミチ・ユウだね?ではキヨミチ君今日から七日後までここに寝泊りしたまえ
」
そう言いながら学園長はは地図のような物を彼に渡す。
「君が七日後まで生活できる場所だ」
「なるほど」
「この地図のこれが学園だ。それでここの場所は校門からまっすぐいけばあるからすぐにわかるはずだ」
「了解です」
そんな風に彼は軽い感じの納得した顔で返事をしていた。