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第二十四話 人ってお空を飛べるんだね(物理で)


「せいやぁぁ!!!」

「ハッ!!!」


 同時に声を張り上げるように叫ぶ。

 

「右ぃぃぃ!!!!」

「直線的すぎるぞ!!主!」


 こうして何発かは乱打の中にフェイクを紛らわせて油断をさそうがその手をパシンッとはじかれる。

 直線蹴りからの回し蹴り。

 そしてそのまま加速して拳をカンナに向かって放つが・・・


「甘い!!」


 両手を使われ力の方向を変えられそのまま空ぶる。

 そこにカンナと拳が腹に入ってくる。

 咄嗟に空いてる左手でその拳を受け止めるが勢いを止めきれず後ろに吹っ飛ばされる。

 宙に浮いた感じがわかり、地面に足がついたと思ったら雷魔法を使い地面と自分を磁石の反発を利用するように吹っ飛ばされるスピードを軽減した。


「いつつ!!」


 カンナの拳を片手で止めた俺はズキンズキンとする左手を振るう。

 そんな風に痛いのを紛らわせようとしているとカンナが遠くから話しかけてくる。


「我が主よ?何故、我の腹と顔に拳を当てようとせぬのだ?」

「・・・・・・」


 だんまりしてしまったのはそれが事実であるからだ。

 

「ふむ・・・何やら迷いを感じる」


 う・・・鋭い。

 

「さて?その迷いはいったいなんなのだ。我が主よ?」

「あー・・・そのー・・・・・・」

「?」


 ええい!仕方ない!ここは恥をかいてもいってやろうじゃないか!!


「理由は簡単だ。一つはカンナが女性であるということ」

「ふむ・・・我が主の思いは嬉しいがそれだけではあるまい?」


 何故、こう・・・女性ってのは鋭いのかね?

 いや最初にいったことも本当なんだけどね? 


「・・・ああもう!もうひとつは怖いんだよ!」

「怖い?」

「そう。昨日は魔物だったからそういうの感じなかったけど人間となるとやっぱりキツイ」

「・・・・・・なるほど。そう言えば我が主は向こうから来たのだったな」

「そういうこと。俺がいた世界というか国では人に対して暴力を振るうことはめったに無い国だったんだ」

 

 まあ、犯罪者みたいな奴らもいるけど基本的には暴力は好まない場所だった。


「直接的な力を誰か・・・人間に向けるのは怖いというこでいいのか我が主よ?」

「魔法とかなら別に平気なんだ。でも拳は違う。その手に確かに殴ったという感覚が残るからな。まあ・・・さすがに外道に対しては問題なく力を振るうことができるんだけどな」


 結局の所どっちもやってることには変わらないがやはり魔法で攻撃するのと素手で攻撃するのではかなり変わる。


「ふむ。これは解決は難しい。こればかりは我が主の心しだいだ」

「そうなんだよなぁー・・・・・・」


 そう、本当にそれだ。

 時間が解決ーとか言ってる暇もない。

 今はまだ魔法による模擬戦だが、魔法を使わずに模擬戦とか言われた日には負けそうだ。

 いや、負けることは別にいいのだが、それでも悔しくは感じる。

 だからこうやってカンナに模擬戦の相手を頼んでやっているが難しい。


「まあ、我が主なら平気だ。ただでさえあの雷虎という魔法であったか?あれのせいで動きを捉えられる者は少ない」

「あくまで少ないなんだけどな・・・しかも魔法禁止されたらおしまいだし・・・・・・」

「それは仕方ないであろう。今の我が主は初心者同然。いくつもの戦場を生き残っていたものたちには通用せぬ」

「道のりは遠いなぁ・・・」


 それに雷虎は速度系列の能力が上昇する分威力が下がる。

 後、まだ陰属性を制御できないせいで前の雷龍になることができない。

 よって、今鍛えるべきは手数による攻撃と応用。

 一発の威力に頼った戦い方では勝てない確立のほうが高い。

 遠距離魔法の威力も総じて下がってると思われる。

 そもそも前の魔法とはまったく違う魔法に変質してるためどのような魔法なのかは後でもう一回確認しないといけない。

 

「そういえば我が主よ?赤子は平気か?」

「あーうんこの通り」


 そういって背中にいる赤ちゃんを見せる。

 すごいよなこれだけ激しい戦闘してもスヤスヤ寝てるんだぞ?


「度胸がある・・・とは言わないが。どこか普通の赤子とは違うのであろう」

「いやまあ・・・」

 

 元々が魔物の中から引きずりだした子だしな。

 

「そういえば我が主は魔術は使うのか?」

「今の所悩み中」

「コールマンといったか?あの者がやっていた術式は初歩中の初歩だぞ我が主よ」

「やけに魔術を薦めるなカンナは?」

「我が主の力となるなら、それが善となるなら我は進める」

「そう言われると少し魔術かじってみますか」

「そうしたほうがいいであろう。我が主は魔術がどのようにできるかを知っているのだからな」

「まあ、科学現象で起きることを魔力でやりましょうってことを言ってるだけだからな」


 実際さっきコールマン先生が放った魔術、火を起こすには空気中にある酸素を魔力を利用して燃やして放つという工程を踏めばいい。

 風なら魔力で熱を調整して起こせばいい。

 氷なら空気中にある水分を一定まで熱を下げれば凍る。

 ようするに魔術とは決まってる現象を起こすために必要な要素を魔力で補おうっていう考えの代物だ。

 それは魔法と一緒じゃないかと言う奴もいるとは思うがそれは違う。

 魔法とはどんなに理解してもできない現象を起こせるからだ。

 例えば火を燃やすとする。

 これは酸素を燃やせば発生するが魔法で発生させる場合は魔力で火を生み出している(・・・・・・・)

 ここで矛盾が生じる魔法で起こした火は酸素が無くても燃えるからである。

 よってこの現象は理解不能なものとして固定される。

 なにをどうやってと聞かれたならば魔力を使ってとしか答えることができないからだ。

 そもそも魔力とはなんぞや?

 簡単だ。

 世界に渦巻く未知のエネルギー。

 さしずめ空気中にある新しい元素が発生したぐらいのことだろうが・・・いや違うなそれだったら宇宙に出た場合使用できなくなる可能性がある。

 これもあくまで予想の範囲をでない。

 まあ、便利なんだから問題ないという考えがある以上どうしようもない。

 それに神が存在しているんだ。

 何が起きても不思議じゃない。


「我が主よ。まだ続けるか?」

「あー・・・頼む。とりあえずやれることはやっておきたい」

「了解した。では参る!!」

「おう!!」


 佑もカンナも互いに踏み込み、互いに向かっていく。

 そこからは純粋な拳や蹴りの乱打。

 互いにスキがあったらそこをつく。

 だが、佑には経験が足りないためカンナに一方的にやられていた。


「俺・・・って!こんなに!!隙、オワァ!?多いか!?」


 途中でオワァって声が出たが仕方ない。

 首のところをジリッと音を立てながら拳が一瞬通過したからだ。


「多いぞ!我が主よ!!」

「わかってたよ!ちくしょう!!」


 くそう!これだけ手数を増やしても全然駄目か!

 そう思っていると再び拳が顔面に向かってくる。

 それに対して同じように拳をぶつけようとするが・・・・・・

 

「おご?」


 殴られていた。

 そして体は宙を浮き飛ばされた。

 ちなみに跳ばされたではなく飛ばされただ。

 実際に地面を跳ぶようにとばされたならいいが空中に・・・空に向かうように飛ばされた。

 思ったことはひとつ、人が空を飛ぶって簡単なことなんだなーと。

 もう、なんだろうね・・・そこからは記憶が無い。

 いつのまにか授業は終わっており。

 俺は部屋でゆっくりと横になっていた。

 体は特に痛くないので誰かが治療してくれたのだろう。

 後にカンナに聞いたが・・・


「すまぬ・・・我が主よ・・・・・・動きが段々と良くなる我が主を見ていたら加減を無くしてしまった・・・」


 そんな風にショボーンとなりながら謝ってくるカンナに俺は別に平気だということだけを伝え再び眠りにつこうとした。

 というか魔法で身体能力上げていたのに負けてるんだから俺が悪いんだから。

 メアもいたようだがすでにお休み状態であった。

 それを確認したら意識は段々と薄れ眠りについた。


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