第二十二話 ラノベの主人公ってすごい
・・・・・・・?
ここは・・・どこだろうか・・・?
ただ暗く前が見えない。
体も宙に浮いてる感じがしてフワフワしている。
『小僧』
その暗闇の中で男の声か女の声かひどく曖昧な声が聞こえた。
『なるほど。陰属性との相性はいいようだな』
陰属性・・・?
『仕方ないか同調してまだ間もない。意識が曖昧でもあるだけマシというところか』
いったい何をいってるんだ?
『よく聞け小僧。お前の近くにいる陽属性の持ち主を倒せ』
俺の近く・・・?それに陽属性って・・・
『そいつは属性に翻弄され自分が正義だと思い込んでいる。例えそれが人に害をなそうとしていてもだ』
属性に翻弄?
それって暴走している状態に近いのか?
『それに近いと思ってくれてかまわん。そして早く俺とアイツを一緒にしてくれ』
それってどういう・・・・・・
『す・ん・時・・・・だ・・れは・・・・・・・・・まっ・・』
かすれてほとんど聞こえない。
だがなんとなくだが最後の所だけは聞こえなくてもわかった。
『太極属性』と・・・
「うおわ!!?」
な、なんだ?今のは?
夢・・・なのか?
いや、それにしては鮮明に覚えすぎている。
じゃあ、あれは現実・・・いや、夢の中の現実か?
「ふわぁ・・・どうかしたの・・・・・・?」
「あ。悪い起こしちゃったか」
「別にいいよーふわぁ・・・そろそろ起きないといけない時間みたいだもん」
眠そうに目を擦るメアを見ているとなんいてうかあれだな。
俺なんでここにいるんだろうって気分になる。
理由は簡単だ。
こ・こ・が!女子寮だからだーーーー!!!
と叫びたいの抑えつつ今日も学園に行くための準備をする。
はあ・・・本当色々とツライ。
別に女子寮に住むこと自体は問題ないんだよ。
いや、問題だらけだけどさ。
まあ、それは置いといて。
ようは生活の仕方がやばい。
ここ女子寮は完全に外、つまりはこの寮内と外は別の空間でできているため覗きや窃盗などの問題が起きない。
だがそれは裏を返すと女子寮内はどんな格好をしていても平気という認識になり、その・・・あれだ。
頼むから下着姿で食堂に来るのとかやめてくれ・・・・・・・!
これ。大事。絶対。
いや、本当に大事だし。
てか羞恥心ぐらい持とうか。
俺、一応男性です・・・・・・
そんな願いは却下される方向になった。
第一にそんなこと俺が言えるわけない。
だってここにいるはずの無い俺がそれを言っても意味が無いんだもの・・・・・・
そして第二に女子達自体があまり気にしてないせいである。
・・・知ってるかい?
日本人男性って童顔だって言われるんだぜ・・・
つまりはそういことだ。
俺は男性というよりも女性に近い男性という扱いになってる。
言っておくが俺はオカマじゃないからな。
「ユウー準備できたー?」
「・・・ハッ!ああ!できてるぞ!」
「・・・どうしたの?」
やばい完全に意識が向こうに行きかかっていた。
いつのまにかメアは学園に行く準備を終わらせていた。
夢については今はいいか。
「なんでもない。大丈夫きっと俺はやっていける・・・!」
「何の話?」
「・・・なんでもない」
メアから声をかけられたことで意識が完全に覚醒した。
・・・あれこれ考えるのはやめよう。
俺が悟りを開けば問題ない・・・
うん・・・無理です。
「ほらほら早く行かないと遅刻するわよぉ~ふわぁぁぁ・・・眠」
そんな君に朝からファイト一発!!
スパコーン!!といい音が部屋に鳴った。
「痛ったーい!?なにするのよ!!?」
「いきなり現れて言いたいことだけ言う奴を叩いてなんの問題が・・・?」
毎度のことだけどいきなり現れるのはやめてくれ本当に。
カンナを見習ってくれ。
ちゃんと俺に魔力を軽く流してこれから現れることをちゃんと教えてくれるんだぞカンナは。
そんなことを思っていたら。
カンナから魔力の流れが軽くきた。
その魔力に答えるように軽く魔力を送り返す。
それと同時に何もない空間からカンナが現れる。
「ふむ。おはようだ。我が主よ」
「おはよう。カンナ」
何故だ・・・メアも常識人のはずなのにそれ以上にカンナが常識人・・・常識神か?に見えてしまう。
「それはそうと主よそろそろ時間だがいいのか?」
「おっともうそんな時間か」
「なによぅ・・・私のときはそんな反応してくれなかったくせに」
「あははは・・・・・・」
そんな賑やかな朝を迎えながら学園へと向かう。
道行くごとに女子からは「おはようー」とか言ってくるのだが・・・
「チィ・・・どうにかしてアイツを・・・」
「何故だ・・・何故なんだ・・・どうして俺じゃなくアイツが・・・!」
「俺・・・今日の授業終わったらアルメシアさんに告白するんだ・・・・・・」
「「いや、それは無理だろう」」
と男子からは挨拶ではなく怨念のこもった声が聞こえてくる。
ていうか仲いいなお前ら。
そんな風に思いながら目じりに溜まった汗をぬぐう俺・・・
「なるほどこれは確かに胃に穴が開きそうだ・・・」
ラノベとかの主人公ってすごいね。
これだけ憎しみのこもった目を向けられても平気で日常を過ごすことができるんだから。
俺は無理。
なんていうか全方位から命を狙われているような感覚だ。
魔法発動させながら登校していいですか?・・・駄目ですねハイ。
「どうかしたのー?」
「大丈夫。学園で普通に生活するなんて夢はもう見てないさ・・・」
ちょっと遠い目をしながらそんなこと思う佑なのだった。
「・・・・・・おはよう」
「オワァ!?」
少し意識が空に向かっているうちに後ろから挨拶された。
変な声を出して驚きつつ振り向くとそこにはフィアがいた。
「お、おはよう」
なんとか挨拶をすることができたが心臓はまだバクバクしている。
「・・・?行かないの?」
「え?あ、ああ。行く」
驚いたせいで足が止まっていたようだ。
再び歩き出す。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
なんだろうか・・・・話す内容が見つからない・・・!
ほら、メアも何か話す内容を探してるような顔してるぞ。
「・・・ユウ」
「は、はい!なんでありましょうか!?」
おい俺どんだけ緊張してるんだ。
そんな俺を気にしてないようにフィアが話続ける。
「ユウ。アマリリアには心を許しては駄目」
その一言に物凄い勢いで冷静になる自分がいた。
「どういうことだ?」
「あれは本当の意味で魔女。私達の中には種族的に魔女は存在する。けど本当の意味では魔女ではない」
「・・・・・・」
「絶対に一人で話し合いに応じないこと」
「・・・わかった」
「ん。じゃあ行こう」
アマリリアには心を許したら駄目か・・・いったいどういう意味なんだろうか?
そんなことを考えながら佑達は学園に向かうのだった。




