第二十一話 平穏ってどこにあるんだろうか・・・
そして俺達は夕方から夜にかけて魔物と戦ったらしい。
らしいというのは時間感覚がずれているかだ。
あのコルネのつくった世界は時間軸がちょっと違うらしく実際戦ったのは数分だが元の世界に戻ってみれば約1時間以上経過していた。
本来ならば魔物との戦いはもっと時間をかけてやるはずだが陰属性を付与した雷魔法のせいで威力というか魔法の形が自体が変わったため第12を一回使っただけで勝てた。
ちなみにだが陰属性を付与していない第12だった場合10発ぐらい打ち込まないといけないらしい。
うん・・・普通に無理ぽ。
今回はコルネとメア、カンナがいたからどうにかなったけど次回はもっときつくなるだろう。
そうなると同じく第12~第14ぐらいまで使える人を一人探しておかないとまずい。
まあ・・・そもそもがそんなに魔物は現れないらしいので大丈夫だとは思うが。
「ちょっとユウ?人の話を聞いてるのかしら(ゴゴゴッ・・・!!)」
「は、はい!!」
・・・あの後すぐに学園に帰ってきたのはいいがトルクに俺達が不在なのがばれた。
その原因はあのフェンリルだった。
魔力の残滓を感じ取り俺とメアの部屋に走っていったフェンリルをトルクが追いかけそのまま部屋にノックをした後入ったらしくそれでばれた。
現在お説教+般若状態のトルクを相手に正座中です・・・
「メアもよ?なんで私にその話をしなかったの?」
「え、えーとそれは急にきた連絡だったから早めに返事をしたほうがいいかな?と思って・・・」
「ユウは?」
「は、はい!!私めは軽い興奮状態になってましてその・・・・・・」
「私に伝えるのを忘れたと・・・?」
「は・・・「嘘を言うのはやめて」・・・・・・・・」
はいと言おうとした所でトルクに遮られるように言われた言葉に俺は沈黙した。
そして意を決しトルクに本当のことを言った。
「・・・トルクをいや・・・コールマン先生やアライアさん達を巻き込むのはいやだったんだ」
「なるほどね・・・大方、国と戦争して私やお母さんとお父さんに被害が来るとか思ったんでしょう?」
「はい・・・」
はあ・・・とため息をつきながらトルクはこういった。
「ユウ私を甘く見ないで、いえ私達家族を甘く見ないで。国との戦争?上等じゃないのこちとら全国がつくった国の宿屋やってる家族よ。たかだか一国よりも全国から来るお客の相手の方が大変よ」
その言葉に俺は息を呑んだ。
・・・一国よりも全国殻来るお客のほうが上ということには驚いたが。
「大体、私の家が経営している宿どこの推薦だと思ってるのよ?」
「あ・・・」
その言葉に一瞬ほうけてしまった。
そうだ。
そういえばこの国で一番えらいのって学園長だっけか・・・・・・
その言葉に深く納得した。
「お客の中には各国の重要人物とかも来てることだってあるんだから」
「それはすごいな」
「・・・まあその理由がお母さんに逆らえる人がいないからなんだけどね」
「「・・・・・・」」
俺とメアはその言葉を聴いてひどく納得してしまった。
ああ・・・確かに逆らうの無理だ。と。
「まあ・・・今回は私達を心配してやったことだから許すけど・・・・・・」
「「けど・・・?(ゴクリ)」」
「次は許さないからね♪(ニコリ)」
「「はい!!!」」
・・・まじトルクさん怖いっす。
魔物相手するよりもトルク相手にするほうが怖いと思うのは俺だけか?
そんなふうに現実逃避気味になっていた所で就寝の鐘がなった。
「それじゃあまた明日学園でね?」
「「はい!おやすみなさい!」」
「・・・・・・そんなに怖いかしら私?」
そんな風に呟きながら自分の部屋へとトルクが帰っていった。
・・・トルクの隣でずっと震えていたフェンリルにはひどく同情する。
だって今回完全にとばっちりですもの。
今度何か食べ物でもあげよう・・・
「こ、怖かった・・・」
「ははは・・・俺はあの宿でもっとすごいの見てるからなんとか平気かな?」
「あははは・・・」
呆れと恐怖含んだ笑いだと笑いになってないぞメア。
「・・・とりあえずこれどうしようか?」
「どうもこうも佑君が育てなさい」
だからあなたはどこにいるんですか。
・・・空間移動できるんでしたね、ちくしょう・・・・・・
「えーっと・・・どうしろと?」
そう現在俺が悩んでいる原因はこの魔物から抜き取った光の球体・・・人間の子供だった。
さて・・・どうしたものか・・・・・・
ちょっと考えてみよう。
明日学園に行くとするその時この子を一人にするわけにはいかない。
コルネやカンナに頼もうとも思ったがどちらも子育て経験無し、そしてなにより俺がこの子から離れると泣くそれはもう凄く泣く何故かは簡単トルクがいる間コルネに空間移動で別の場所に行ってもらっていたからである。
その間テレパシーでいいのか?それでずっと文句を聞かされていた。
・・・はっきり言ってこっちはそれどころではありませんでした。
ただ、変なことに俺がちゃんと傍にいると周りがうるさかったり暑かったり寒かったりしても泣かないのだ。
不思議である。
それよりもだ・・・学園に行くという事は自然とこの子を連れて行かなきゃならなくなる。
つまり・・・・・・
「絶対勘違いされるよなあ・・・・・・」
「なにが?」
キョトンとした目で見てくるのはメア。
そして勘違いの原因になるだろう元である。
「あー・・・どうしよう」
「主、主」
「ん?どうしたカンナ?」
「姿を見せなくさせてなおかつ声を響かせないようにすればいいのだろう?」
「そうだけど・・・できるのか?」
「我だけなら無理だがコルネがいるから平気だぞ主」
コルネがいるから平気?それってどういうことだ?
「あー・・・つまりあれね私の無属性の空間魔法で第三者からの映像の遮断、音の遮断をして佑君には見えて、聞こえるようにする結界を張ればいいのね?」
「うむ。そして我は足りない魔力の補填をすればいい」
「つまるところ結界を張るでいいのか?」
「そうよ」
助かるが・・・おしめとかご飯とかどうしよう・・・・・・
「佑君が考えてることは大体大丈夫よ。おしめはこれを使うし、ご飯は私が消えながらあげるわ」
これって・・・・・・ただのオムツじゃないですか。
後半の消えながらご飯をあげるって所が霞んだぞオムツのインパクトが強くて。
「ただのオムツだと思ってるようだけど。これはアーティファクトなんだからね?能力は空間保護・正常化・物理保護・魔法保護と結構いろいろついてるんだから」
「なにそれ怖い」
オムツだけにどれだけ人類の英知を使ったんだ昔の人・・・!!
「ふああぁぁ・・・・・・」
「あら?もうこんな時間なの」
「(キュルルルルル・・・)はうっ・・・」
「とりあえず飯食べようか・・・」
「うん・・・」
「あ、主・・・」
隣でお腹を鳴らして真っ赤になっていたメアが返事をしてご飯を食べに食堂に行く。
カンナが最後に俺に何か言おうとしていたけど俺は気づかなかった、お腹が空いていたため思考がすこし鈍くなっていたのが原因だろう。
この時、俺は気づいてなかった・・・まだ背負っている子供に結界魔法をつけることを・・・・・・
「・・・?なんかすれ違う皆が俺の方を凝視して過ぎて行くんだが?」
「なんでだろうね?」
「大方、佑君の社会の窓が開いてそれをみんな見てるんじゃないの?(ニヤニヤ)」
「んなわけあるか!!」
「あいたあ!!!?」
どこから現れたかもわからないハリセンでコルネの頭を全力で引っぱたく。
「それどこから出してるのよ・・・!?」
「知らん!!念じたら出た」
いや本当どこから現れるんだろうなこれ?
そうこうしてる間に食堂についた。
そしてついた瞬間食堂にいた一人がこっちをみたらその子が他の所にいる子に話しかけてそれがどんどん広がり最終的には食堂にいる全員がこっちを見ていた。
「な、何!?何事!?」
「ふえ!?」
驚いた俺とメアは視線に耐え切れなくなりそれぞれに声を出した。
そしてしばらくするとサーフィア・・・フィアがこちらに向かって来た。
「・・・・・・二人の子?」
「はい?」
「え?」
フィアが俺のそばまで来た後ゆっくりと腕を上げある一点を指す。
そこには・・・・・・・オワアアアアアアーーーーーーーーー!!!!!??
「オワアアアアアアーーーーーーーーー!!!!!??」
やばい!驚きすぎて思ってることと同じことが口から出た!!
いやそれよりももっとやばいってこれ!!?
そんなとき後ろから間の抜けた声が聞こえてて来た。
「あ。結界を張るの忘れてたテヘペロ♪」
コルネエエエエェェェェェェ!!!!?
「・・・二人の子?」
「違うからな!?てかこれか!!このせいですれ違って歩いていく人が凝視していたのは!!?」
「ユ、ユウ!おち、おちちゅいて!!はうっ!?」
慌てて舌を噛んだのか隣でメアは涙目になっていた。
俺も相当慌てている自信がある。
「なるほどね」「やるわねキヨスミ君」「あれ?ってことはキヨスミ君って王族ってことになるんじゃ?」「つまりここでキヨスミ君を落とせば将来安定ってことね」「「「「「それだ!!」」」」」てな具合でこの場が混沌とし始めていた。
てかなんでそういう発想になる!!?
「ユ、ユウが王族・・・・・・つまり私の夫!?・・・はうっ!!?」
こっちはこっちで違う方向でまずいことになっていた。
だ、誰か!この状況をどうにかしてくれええええええ!!!
そんな時だった。
「皆さん食堂では静かにしなくてはいけませんよ?」
そんな透き通るような声が響くのと同時にさっきまで騒いでいたのが嘘のように静かになった。
・・・どなた?
「あなた方お二人は確か・・・キヨスミ・ユウさんにアルメシア・ドラゴニア様ですね」
「は、はい」
「・・・どこで俺とメアを知ったんで?」
なんでだ?普通に話ているはずなのに俺の中で警報がガンガン鳴っている。
目の前の人は危ないと。
「私、この学園の生徒会長をしています。人族王家第一王女のアマリリア・フォン・ゼルクと申します以後よろしくお願いいたしますね?」
「・・・生徒会長?」
「はい。生徒会長です」
「・・・人族王家第一王女?」
「はい。人族王家第一王女です」
「・・・・・・とりあえずその手を引いてくれないか?じゃないと俺もいつまで警戒していないとわからないからな」
「まあ・・・お気づきになっていましたのね?」
「さっきからその右手があるところに違和感というか危険だっていう警報が俺の中で鳴ってるんだ」
「あらあらそこまでわかる人は始めてですね。ですが申し訳ありません。これは引けないものですのでご了承くださいませ」
・・・何かがそこにあるということはわかるがそれが明確なのものとしてわからない。
それに引けないということは魔剣のたぐいか・・・?
ひどく不気味である。
「それよりもです。その背中にいる子供はいったい何なのでしょうか?」
・・・・・・オワワァァァァーーーー!!?
忘れてたよ!?
「え、えっとー」
「なんでしょうか?」
ええい!もうどうにでもなれ!!
「この子は俺の妹だ!!」
「・・・妹ですか?それが何故ここに?」
「親が死んだ後、叔母に預けられていたがその叔母が死んでしまって行く宛てが無く、俺の所にくるしかなかったんだ」
「・・・あらあらなら仕方ないですね。一応学園長には確認をとりますので責任を持って育ててくださいね?」
・・・あら?もっとそんなのが理由ですか?とか突っ込まれると思ってたんだが?
そんな風に呆けているとフィアが生徒会長に話しかけていた。
「・・・久々。アマリリア」
「あらいらしたんですね?サーフェア様」
「・・・・・・何を考えてる?」
「・・・別に何も考えてませんよ?」
「・・・・・・・・・・・・・そう」
あれ?なんか目の前で火花が散っているように見えるんですが気のせいですか?
目を擦ってもう一回見なおすと・・・オワワァァァーーーー!!?現実《マジ》で火花散ってる!!?
よく見ると両者の魔力がぶつかって摩擦が起きてるううううう!?
「ちょ、ちょっと!スト・・・はわからないはずだから、そこまでにしてくれ!?周りが色々とひどいことになりそうだから!!」
そう俺が叫ぶように言うと火花が収まった。
ふう・・・リアル火花とか始めてみたぜ・・・・・・
「・・・警告。ユウに手を出すなら覚悟する」
「あらあら物騒ですわね」
「・・・・・・・」
それだけ言うと黙ったまま寮部屋がある方向へと歩き出した。
「私も失礼しますね」
そう言って生徒会長も出て行った。
「・・・・・・俺、学園で平穏に生活できるかな?」
「「「無理」」」
何も三人そろって言わなくてもいいじゃないか・・・
ちくしょう・・・・・・俺の・・・俺の平穏を返せーーーーーーーー!!!!
一人心の中で涙を流しながら叫ぶ佑なのであった。




