第二十話 お前の善意は預かった
その空間はただ黒く染まっていた。
何も見えないぐらいに・・・その中でうめき声のようなものが聞こえた。
「グ・・・・ア・・ァ・・・・・・」
魔物の声であった。
「動けるはずがないわな・・・だって俺が縛ってるからな」
そこに男の声が響く。佑である。
「ユウ・・・?どこいるの?」
そして再び響くちょっと怯えて震えてる声をだすメアがいた。
「あー・・・ちょっと見えるようにするには今の俺では無理っぽいんだごめん」
「そこにいるの?」
「ああ」
カンナとコルネは魔力で判断できるのか俺の位置をしっかりとわかっているようだった。
その証拠に・・・
「なんで佑君が陰属性持ってるのよ!!?」
「主よ。この魔法はいったい・・・?」
俺の右から腹へとブローを入れながら喋るコルネと左から普通に質問してくるカンナがいたからだ。
ちなみにメアだが俺のちょっと後ろで顔をキョロキョロさせながらいろいろな方向を見ている。
・・・てかそろそろ殴るのやめてください。
俺の腹筋が崩壊しそうなぐらいやばいから主に物理で。
「痛いから!てか説明するから!!いや詳しくは俺もわからないけど!!」
そう・・・この属性、不明な点が多すぎる。
てかまだ殴り足りないみたいに手首をコキコキ鳴らすのやめてくれません?
そんな風にコルネの行動を警戒しながら陰属性というものを発現させようと魔法名を唱えようとするのだが・・・
「ーーーーーーー」
この通りである。
魔法の呪文すら唱えれなく何かが発動するような動作すらない。
いや、しっかりと魔力を消費してるのはわかるんだけど・・・
こう・・・踏ん張って踏ん張って踏ん張って、一気に力が抜ける感じだ。
「ふむ・・・確かに主からは魔力の流れが感じるが・・・・・・こう・・・なんというのだろうか?」
「届きそうで届かないような感じ?」
「うむ。それに近いぞ」
「・・・そりゃそうでしょ。陰属性は単一では何もできない属性なんだから」
「おっと、やっぱりコルネが知ってるか」
やっぱりってなによと言いながらとりあえず陰属性について説明してくれるようだ。
「ねえ?ユウ。魔物は平気なの?」
「ん?ああ・・・大丈夫この空間内では動くことはできないみたいだから」
「みたい?」
そうみたいだ。
はっきりいってこの魔法、当初使おうとしていた魔法とはまるっきり逆のような魔法になってしまった。
本来なら万を超える雷が魔物に喰らいつき内側から焼き尽くす魔法だったのだが・・・
「この魔法なー。空間魔法の部類に入るんだろうけど。今、俺達が互いを見えないのってこの黒い雷のせいなんだよな」
「え!?これ雷なの!?」
驚いたのかメアがさっきよりも周りをキョロキョロと見た。
何故俺にはそれがわかるのかといわれれば。
この空間を満たしている黒い雷で場所を把握できているためである。
「まあ・・・とりあえず魔物は動けないから安心していいぞ」
やろうと思えばもっと苦しめることもできるけど・・・
「そろそろいいかしら?」
「そう、冷静に返されても困るんだが・・・」
「あたりまえでしょうが。それよりもよ・・・佑君この属性どこで手に入れたの?」
「あー・・・話すと長くなるから短く略すと。コルネが魔法を使った→魔物の影響で並行世界へと飛ばされた→こっちのコルネじゃないコルネに合う→何かされた→送り返すとか言って魔法を使ったのか俺の意識がとんだ。以上」
「あの短時間でどれだけ濃い経験してるのよ・・・」
「ふむ・・・並行世界か。さすが我が主だな」
額に手を当てながら空を向くコルネに素直に佑のことを誉めるカンナなのであった。
「というか並行世界の私にあったのね」
「ああ・・・うん・・・コルネだったよ?ブフッ!!」
「な、なんで急に吹くのよ!?」
「い、いや・・・プッ・・・・・・な、なんでも・・・無い・・・よ?」
思い出してしまった。
ここにいるコルネとあちらのコルネはほとんど同じ性格をしているっぽい。
だけど決定的に違う所があった。
語尾である。
ついその語尾のこと思い出ししまった佑はコルネの姿を見るたびに~にゃと言っていたコルネと重なり笑いをこらえることを頑張っていた。
「なんなのよー!!?」
「き、気にしなくていいぞ?俺の問題だから」
「ユウ話が脱線していってるよ?」
おおっといかんいかん、話を戻そう。
「んんっ。それでだが・・・何故俺がその属性を手に入れたのかは俺にもわからない。ただひとつだけ心当たりがある。それは並行世界のコルネだ」
「あー・・・もういいわ。大方、別の世界のだからって理由で属性をあげたのが目に見えるわ・・・私だし」
「いや、まあ・・・」
「とりあえずその属性の説明だけするわね。その属性の名は陰属性。陽属性の片割れよ」
「ってことは陰陽系?」
「まあ、間違ってないわね。ただ日本の陰陽というよりも中国の太極に近いけどね。そしてその陰属性の効果は簡単。相反する力の生成、今回の場合は龍に対する者として虎が選ばれてああなったってわけよ。そして陰属性はそれだけじゃなく。他の属性に悪意の力を付与することができるわ・・・これが私が陰属性を普通に使って大丈夫だった佑君に対しての私の驚きのひとつよ。普通、陰属性の使用には厳しい精神鍛錬をしなければ使用するだけで心が飲み込まれるはずなのよ・・・」
ほえー・・・たまげたなあ・・・・・・いや、本当に驚いたんだけどさ。
なるほど、確かに悪意という言葉は理解できる。
昔から悪意には結構付き合いがあったからなあ・・・まあ、それが属性に飲み込まれなかった理由でしょう。
だけど一番気になるのは何故そんな属性を俺にあのコルネが渡したかだ。
「・・・なんで向こうのコルネは俺にこの属性を渡したんだろうな?」
「簡単よ。言ったでしょう?単一では全く役に立たない属性だって」
「つまりそういうことか?」
「そういうことよ」
なるほど・・・これもこっちの世界での不遇魔法ってことか・・・・・・
いいだろう・・・その偏見、ぶち壊してやるよ。
「面白い。だったらその勝手な考え覆してやるよ・・・!」
「あ。スイッチ入った」
メアがそう言う。
「まあ、とりあえずは目の前の魔物どうにかしましょうよ・・・いいかげん帰りたいわ」
「・・・了解」
なんか出鼻をくじかれたような感じだが気にしないやることは決まった。
ならあとは向かうだけだ。
「とりあえずそろそろ片付けさせて・・・うん?」
なんだこれは・・・?
「なあ、コルネ?魔物の中に負の力とは別の力を感じるだが・・・」
「別の力・・・?・・・・・・・・・・まさか!!?」
「?」
「いい!佑君よく聞きなさい!今の佑君は悪意を完全にコントロールできている状態よ。ならあの魔物から逆に善意だけを取り除くことも可能なのわかる!?」
「は、はい」
「そしてその善意は・・・もしかしたら人間として生きていけるかもしれないの・・・・・・」
「はあ!?」
「・・・普通魔物という負の中にそういう善意が生まれるはずはないんだけど・・・何かが影響したのか善意が少しだけ発生した。それを佑君が今から取り除くのよ」
「コルネじゃ駄目なのか?」
「私は無理。こっちの私は無、五大属性、光、闇しか使えないのよ」
「あっそうですか」
ってことは結局やるのは俺しかいないのか・・・
「大丈夫よ。できるわ」
「・・・・了解。やってみるだけやってみるさ」
そして俺は視線を魔物の方に向け魔力を集める。
「お前にもし善意があるというならそれは俺が預かる。眠れ」
「ガア・・・ガ・・・ガ・・・・・・」
俺は魔物の中に感じる善意を感じ取ることに集中し、それを魔力によって包みながら魔物から抜き取る感じでその行動を繰り返した。
魔力練成・・・抜き取り開始・・・・・失敗・・・再び魔力練成開始・・・・・・・
そして何回それを繰り返しただろうか。
ついにそれは成功した。
ずりゅという音と同時に魔物の体から光の球体が出てきた。
中はよくわからない。
それがただ光っているということだけはわかった。
この空間でその光が見えているからだ。
「カエ・・・セ・・・・ソレハ・・・ワタシノ・・・・・・」
「無理だ。そして永遠に消滅しろ。そして・・・次は魔物なんかに生まれてくるな」
その一言だけを紡ぎ指をパチッと鳴らすと周りの空間が揺れ始め魔物に向かって黒雷が向かっていく。
それと同時に俺達はその空間から出た。
目の前にあるのは黒い球体ちょうどさっきの魔物の大きさぐらいまで圧縮した黒雷だ。
「・・・開放」
黒雷がその言葉同時に変形していった。
球体の形があちこち尖ったり、ボコボコと膨れたりしていた。
これは中で圧縮した雷がひたすら相手を焼き尽くしているため発生するエネルギー量が起こしている現象だった。
「・・・人じゃなくても何かを殺すってのは結構勇気がいるんだな」
そんな一言と共に目の前にいたであろう魔物は完全にこの世から消滅していた。
投稿が遅れて申し訳ありません。
ちょいと39度の高熱と下痢、頭痛にやられてしまいまして。
内容を書く時間があまりとれませんでした。




