第十二話 説明は大事だと思う
『雷爆!!』
「無駄・・・」
俺がつかった『雷爆』に対してその子はそう言った。
「だろうなっ!!」
「それでおしまい?」
「そんなわけないだろうがってな!!」
そして再び手に雷を集めその子に向かって放つ。
今度は収束したため雷というよりも一種のレーザーに見えるだろう。
「・・・・・・曲げる」
そう一言その子が言うと風がざわめき始め、俺が放った雷収束版を別の方向へと曲げた。
「嘘ォ!?」
いや曲げる原理は知ってたけど本当に曲げられるとは思ってなかった。
ていうか・・・・・・
「なんでいきなり戦闘になってるのかな!?」
そう契約してから一週間がたった今何故か、俺は『風鈴の呼び手』と呼ばれている子と戦っていた。
あれからの話を少ししよう。
誰にと聞かれればなんとなくしか言えない。
だってこういう時アニメではよく説明が入るからである。
だから仕方ないのだ。
・・・話がずれた。
そう・・・あの契約が終わった後、俺とメアは一緒に暮らすことになった。
何でかというと元々そういう予定だったらし。
原因は学園長と言いたい所だがどうやら違ったようだ。
本物の原因はその周りにいる教師陣のせいだった。
特に生徒の能力を魔法で判別する馬鹿な教師のせいだった。
そしてその会議は俺が模擬戦でやらかす前に決まっていたらしく、雷魔法は最弱だから他に悪影響を及ぼすとか言って俺とメアは同室となったらしい。
場所は女子寮の一番端っこ。
ちなみにだが俺が女子寮にいることを学生である女子達は反対しなかったらしい。
どうやらバルコロ・ダマッハを倒した影響もあったらしい。
バルコロ・ダマッハは女子にセクハラ・・・つまり女子が嫌がることを強要していたらしいのだ。
そんな奴を倒したので女子からの俺への印象は悪くない物になった。
何故そんなことで?と聞いてみたが、答えは全員一緒だった。
『そんなことを言えるからだよ』と正直意味がわかりません。
まあ、そんなこんなで生活は安定していた。
授業も契約した次の日から本格的に始まったのだが・・・はっきり言おう初心者向けすぎてゲームやライトノベルで培った技術に比べれば幼稚園レベルだった。
そう考えていたのはどうやら俺だけではなく他にも何人かいたようだが、その人達(俺を含めた)以外は割りと真剣に聞いていた。
あと、俺達三人は無事に同じクラスになりました。
まあ、それからは淡々と初心者向けの授業が今まで続き、その纏めとして模擬戦を行う事になったのだが・・・そこでいきなり『風鈴の呼び手』と呼ばれる子が俺を模擬戦の相手として指名してきたのだった。
もちろんなんでと聞きなおしましたよ?
でもさ。
『契約の時あなたは私の言ったことに答えてくれた』
そう言って何故か断れない雰囲気に持ってかれた。
それをトルクとメアがジーっと見ていたのは気のせいだと思いたい。
・・・・・・・思いたいなぁ。
まあ、それは置いておいてと。
そんなこんなで模擬戦をやり始めたのだが。
これがもうやばい。
雷竜を使ってないにしても雷が逸らされるとは思ってなかったわけで・・・
そして現在に至るというわけだ。
「・・・?確かめる?」
「何を!?」
「・・・・・・?」
「いや!そこで首を傾げられても!!?」
といいながらもさっきから風の攻撃がやまない。
ええい!こうなったら使うか?
「本気見たい」
そう考えていたそれを中断させるようにそんな声が耳にはいってきた。
それと同時に風の攻撃が止みお互いにその場で立っている状態で止まった。
「・・・何故だ?」
「・・・・・・・?」
「いや、だからそこで首を傾げられても俺の方がもっとわからないからね?」
「強いから。視えないから」
「強いはよくわからないけど視えないって?」
「底が視えない。他の人はほとんど視えるだけどあなたは視えない」
「っ!?」
まさか気づいてるのか?いや・・・確信は無いだろうがまだ俺が隠しているものについてはわかってないって感じだな。
「不思議。魔法の底が視えない。何故?」
「さあね?」
「だから確かめる。戦って」
「極端すぎりゃありゃしませんかね!?」
「?」
駄目だこの手の人は自分を曲げない人だ。
俺に良く似ている。
ならやることはひとつか・・・
「はあ・・・わかったわかった。一回だけだぞ?・・・・・・・・・本気を見せるのは」
「わかった」
その言葉に納得したのかコクっと首を前に傾け返事をした。
全く・・・変なところで素直だな。
心の中で苦笑しながら深呼吸をする。
「スーーーハァーーーーーーーーー・・・・・・」
そして深呼吸が終わったの同時に魔力を体の底から練り上げる。
「契約獣も使っていいぞ。そのかわりちゃんと防げよ?」
「ッ!!!」
俺から異様な感じを捉えたのか後ろに大きく飛び退いた。
さてとじゃあ、いきますかね。
魔法・・・魔法とは自然に口から発せられる呪文によって威力が変わる。
例えばこの前使った『雷竜』あれは威力はそんなに無い。そのかわりに身体能力と俺が使う魔力の調整を楽にするという効果がある。
まあ、あれだけでも雷自体を操っている状態だから、雷その物と言われればそうなだんだけど。
そしてこの呪文だが文字の行数によって威力が変わる。
いい例が『迅雷一閃』だ。
あれは2行文自然と口から出る。
これが魔法を発動するために必要な呪文である。
そしてこれが長ければ長いほど威力を増すわけで・・・これから俺が唱えようとしてるのは本気の中の加減してある魔法だ。
その行数は5。
2でクレーターができるくらいなのに5と言ったらもうあれだ。
地形を変えてしまうレベルだ。
何故そんなことがわかるのかと言うと簡単だ。
その魔法の威力が頭の中に浮かぶからだ。
どういうわけか、その魔法を意識するとその魔法がどんなものなのかが理解できる。
うんやっぱり説明は大事だと思うんだ。
なんかこう自分で納得できる感じがいいなやっぱり。
まあ、そういうわけで今俺が放とうと思っている魔法はそのレベルだ。
もしものためにメアに地面に衝突する前に打ち消してくれるように頼んである。
どうやって戦闘中に伝えたかはカンナに頼んでおいただけだ。
さてそろそろいきますかね。
わざわざ待ってくれてるみたいだし。
「我!雷を操るものなり!!」
「その力を我に示せ!!」
「罰を与え、苦しみを与える!!!」
「怒りを糧にし汝を滅ぼそう!!」
「故に我は神をも砕こう!!!!」
『崩雷天滅逆鱗!!!』
その魔法を唱えたの同時に現れたのは龍の形をした雷であった。
その目で見たものはこう言うだろう。
『あれに当たれば死ぬ』と。
そしてその龍は空から地面にいる『風鈴の呼び手』に向かって落ちていく。
凝縮した雷を内包した龍が高速で落ちて行く。
その雷をできた龍を迎え撃つように彼女の契約獣、シムルグと彼女自身が風の魔法で龍を少しづつだが削っていく。
「・・・削りきる」
そう呟き彼女はひたすらに風を使い削り続けた。
時間は一瞬だったが彼女にとっては物凄く長く感じただろう。
そしてその雷でできた龍が彼女に届くまでに普通の雷と同じぐらいの威力になっていた。
それに対して俺は『すごいな』と心の中で思っていた。
あの魔法をあそこまで防げるなんて本当にすごい。
言っちゃ悪いがあれは本気の中でも真ん中よりも下だ。
それでも普通だったら防げるようなものではない。
それを彼女はやってのけた。
すごいとしか言いようがなかった。
だが、『崩雷天滅逆鱗』の威力をぎりぎりまで削ったせいか彼女は汗をたらしながら荒い呼吸を繰り返していた。
そして残った雷はシムルグが弾いた。
それと同時に彼女は仰向けに倒れこんだ。
そんな彼女に俺は近寄って行き・・・
「大丈夫か?」
「無理」
真顔っていうか元からあんまり変わらない顔でそう言われた。
「で?どうだったよ?」
「すごい。まだ底が視えない」
すごいのは君だって・・・普通あれが全力だと思うでしょが。
・・・そういえば自己紹介まだだったな。
クラスの時はそんな時間作ってくれなかったからなあの先生は。
ちなみに内のクラスの先生はコールマン先生である。
「・・・・・・清道佑っていうんだよろしくな」
「・・・?何故名前を?」
「そういえば自己紹介してなかったなと」
「・・・・・・そういえば」
「それで名前は?」
「私の名前はサーフィア・エリザベル」
「よろしくなサーフィア」
「フィアでいい」
「そうか?」
「あなたからは興味が尽きない。今後も視させてもらう」
「素直に喜べないのは俺だけか?」
こうして『風鈴の呼び手』ことサーフィア・エリザベルと俺は知り合った。
この後、サーフィア・エリザベルと戦ったことであることが起きるとは佑は思いも知らなかったのである。




