プロローグ
別の種類を書いてみたくなったのでこちらを作成してみました。
「・・・グス」
ある場所で一人の少女が泣いていた。
「なんで私は・・・うう・・・・・・」
部屋の隅にうずくまりひたすら泣いていた。
『ドン!ドン!!』
扉を叩く音が部屋中に鳴り渡る。
『へへへ・・・いいかげん出てこいよ!役立たずの龍姫さんよお!』
扉の向こうから聞こえてくる言葉が心を痛めつける。
そう、私は出来損ないで役立たずの姫・・・
『ケッ・・・無視かよ。つまんねえのさすが[雷魔法]の使い手だけあるなあ!』
そう、これが私が役立たずの原因。
なにもできない雷魔法の使い手なのだ。
何故?と問われればそうだからとしか言いようがない。
この雷魔法は属性魔法の中で最弱なのだ。
例を挙げるなら簡単だ。
火魔法は燃え盛り物体を焼き尽くすことができる。
水魔法は傷を癒したりすることができる。
土魔法は地面を隆起させたり地割れを起こすことができる。
風魔法は空を飛んだり物体を切り裂いたりできる。
光魔法は周囲を明るく照らしたりアンデット系列の魔物に効果がある。
闇魔法は影を操ったり、感覚を麻痺させることができる。
・・・そして雷魔法だが電気を発生させることができる。
そう、それだけなのだ。
いくら魔力を注いでも他の魔法とは違い威力が上がらず、ちょっと痺れる程度の魔法を発生させることができるだけなのだ。
故に最弱だ。
しかもその最弱魔法は龍の姫が使える唯一の魔法なのだ。
そして、それはいじめや親からの軽蔑の対象となった。
小さいころからずっと『出来損ない』と言われつづけ、挙句の果てにはこのアルマティア学園へと無理矢理送り出された。
簡単な話が厄介払いだ。
「ううう・・・・・・誰か・・・助けてよお・・・」
そんな力の無い言葉が静かな部屋の中で囁かれた。