妖狐と犬神
「よう」
「…………」
「こんな岩山で何してんだよ」
「…………」
「ひでえ格好だな。あーあー、綺麗な銀色が台無しだ」
「…………」
「そう怒るなよ。いつもならもっと突っかかってくるじゃねえか」
「…………」
「あー、悪かったよ。いつのまにかお前も変わっちまったな」
「…………」
「前はもっとやかましかったじゃねえかよ」
「…………」
「あれか?クールぶってんのか?やめとけやめとけ、似合わねえよ」
「…………」
「ああ、もういい。わかったよ」
「…………」
「なんとか言ってくれよ、さみしいじゃねえか」
「…………」
ブーンブーン
「…っ!!」
「…………」
「離れろ!離れろ!汚らわしい!やめろ!」
「…………」
「はあ、はあ、はあ……。いま追い払ったからな」
「………」
「なんなんだあいつらは……」
「…………」
「ただでさえ汚れちまってんのによ」
「…………」
「ほら、見ろよ。雪だ」
「…………」
「綺麗だな。雪は好きだ。お前の色と似てるからな」
「…………」
「これじゃまるで告白だな」
「…………」
「その反応だと、答えは……あんまり期待できねえな」
「…………」
「ははは」
「…………」
「せめて笑ってくれよ」
「…………」
「あー、俺もお前と同じ色に汚れちまったよ」
「…………」
「なんでこんなことになったんだろうな」
「…………」
「いままでばれずに一緒に生きてきたのにな」
「…………」
「俺は……」
「…………」
妖狐はほとんど緋に染まった犬神に身を寄せて、同じ色に染まりながら眠りについた。
「…………」が犬神
喋ってるのが妖狐です。