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第五章 砂漠の探し屋の秘密②

 黒づくめの男達のうち、玄関から入ってきた先頭の二人が短機関銃を連続して発砲する。後ろの四人は逃走防止係なのか、四人のうち二人は玄関の外で銃撃者の背後に、さらに残りの二人は窓の外に展開した。


 窓側の二人が蹴破って中に入ってこないのは、狭い室内で同士討ちを避けるためだろう。それに、レオナルド達が窓から逃走しようとした時には、出てくる瞬間を狙い撃ちすることもできる。レオナルドは正面の敵を突破するしかないと決心した。


 銃撃は間断なく続いていた。


 レオナルドは左腕をどろどろに溶かして盾に変え、弾を防ぎつつ、右腕には腰から抜いたナイフを構えた。だが、ナイフを投げるモーションをとるだけの隙がない。じりじりと後退と前進を繰り返してチャンスを待つしかなかった。


 一方、初弾を飛び退いて避けたメグミは、テーブル付近に着地した。すぐにテーブル面を敵に向けて立てかけ、そこに身を隠す。さっき触った時にテーブルが防弾素材だと気付いたのだろう。


 テーブルを盾にしたとしてもかなりの衝撃があるはずだが、メグミはじっと耐えた。彼女はテーブルの影から手だけを出して、発砲する男達に向かって小さな金属片をいくつか、スナップをきかせて投げつけた。それは手の平に収まるほどの星型の金属片で、それぞれの突端が刃のように研がれていた。投擲用の手裏剣だろう。


 テーブルの陰から相手を見ずに投げられた手裏剣は、狙いが甘かった。男達に掠ることはなかったが、しかし、それでも彼らのすぐそばの壁面に連続して突き刺さる。危機感を煽られたのだろうか、男二人の銃口が同時にテーブルへと向いた。


 その瞬間を狙って、レオナルドは右腕のナイフを投げた。それは銃を発射する男のうち一人の喉元に吸い込まれるように突き刺さる。もう一方の男が慌ててレオナルドに銃口を向けた。


 だが、男はその銃を奪われた。メグミがテーブル裏から飛び出し、一足飛びに距離を詰め、その勢いのまま刀を叩きつけて小銃を取り落とさせたのだ。さらに返す刀で、その男の腹を薙ぐ。


 黒づくめの男二人は、首から、腹から真っ赤な血を噴き出しながらゆっくりと崩れ落ちた。


 彼らの後方に控えていた男二人は、彼らが倒れ込むのを待たずに足蹴にして空間を作り、銃を発砲しようとした。だが、その時には既にレオナルドの左腕がチェーンの形状に形成し終えている。


 大昔のカウ・ボーイのようにチェーンを振り回したレオナルドは、二人に向かってそれを投げつけた。チェーンは二人の銃器を絡め取ることに成功し、レオナルドは思い切り踏ん張って二人を引き倒しにかかる。


 一人はそれで転げさせることができたが、一人は小銃を諦めて手放した。彼は腰から素早く拳銃を抜いたが、それを発砲することは叶わなかった。


 素早く間合いを詰めたメグミが日本刀でその男の腹を突き刺したのだ。男の腹を貫いた刀は背を突き抜け、先端からぽたぽたと血を滴らせている。彼女は刀を引き抜きながら男を捨て去り、出口に向かって身を躍らせた。


 レオナルドも転がした男の頭を強烈に蹴り上げてからメグミの後に続く。


 外に出た瞬間に窓側に待機していた黒づくめ二人が発砲してきたが、無視して走り続けた。一発がレオナルドの右腕を掠めるが、致命傷ではない。とにかく身を隠すことが優先、それがレオナルドとメグミの共通認識だった。


 追撃してくる黒づくめの男達と距離を取りながら、二人はスラムの細い道を抜け、メイン通りに出た。


 雑踏。ジブレメのメイン通りはとにかく人が多い。


 路肩には粗末な露店が並び、その合間に物乞いや見世物をして生計をたてる人達が立っていた。それらをひやかしているのか、あるいはどこかに移動しようとしているのか、通りは隙間もないくらいに人で溢れかえっていた。笑い声、怒声、泣き声、嬌声が響き渡り、通りを埋め尽くす人達は収拾がつかない混沌を作り出していた。


 さすがにここでは追手も発砲できないらしい。レオナルドとメグミは歩調と呼吸を他者に合わせて気配を消し、スラムの雑踏の中に紛れ込むことに成功したのだった。

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