5、拾われる。
(ま、まじで!?)
目の前の、おじさんの意外な、言葉により、しばらく固まる。
「いや、マジだ、俺が、魔王だ。確かにそうだ。固まらないでくれ。」
「嘘偽りはありませんので、ご安心を・・」
そんな、彼に、彼らは、慌てる。
「うん、ありかな・・この世界なら・・っていうことは・・勇者もいんの?」
「・・・・まあ、そうだよな・・・いるぜ・・はっきりと、俺の命狙って・・・」
魔王様がそういうと・・・隣のイヴァルツも頷く。
「いやすまねぇ・・・」
リューハルトは、辛気臭い感じに、たまらなくなり・・謝った。
「いやいい・・・というわけで、用件を言う。」
「おう・・」
魔王様が、話を切り替えてきたので・・緊張した空気になった。
「俺の子にならないか」
・・・・・・・・
沈黙が走る・・・
・・・・しばらくした後、リューハルトが口を開いた。
「は?」
そして、これである。
「ふむ、どうした。答えは?」
「いやいや、唐突すぎるよ・・り、理由は!?」
相手の冷静さに驚いて、言葉がどもる。
「いっただろう・・君は、“神魔の落とし子”だと、つまり・・・」
「リューハルト様は、魔王様の後継者であり、時期魔王様でございます。」
「・・・・その根拠は・・」
その返された言葉に、すこし口を閉じた。
「ふむ、では、ひとつ聞こう。やつらは、君の何を見て、騒いだか・・覚えているか?」
「え・・ああ、覚えてるよ」
忌々しいあいつらのことを思い出した彼は、ぶきらっぼうに、返した。それでも、かまわず、魔王様は、話しを続けた。
「それだ、そのあざだ・・それが根拠であり、理由である。君は、魔王の素質をもって生まれたんだ。わかるな?」
「ああ」
忌み嫌われてきた理由を悟り始めたかれは、しずかに、魔王様の話を聞いていた。
「それでは、もう一度聞こう。俺の息子になるかならないか?」
「・・・・」
しばらく考えるが、
「分かった。あんたについていく。」
「そうか」
答えを聞いて、魔王の顔は明るくなった。
「そのお答え感謝いたします。リューハルト様」
イヴァルツにさえ、感謝の言葉を言われてしまった。
「ま、いっか」
魔王様の隣を歩きながら、つぶやいた。が、
(俺、これから、どうなるんだろう・・・・)
内心、不安がっていた。