歓迎パーティ-2-
「カータス国の初代国王は?」
「ダヴィッド・オースティン。」
「友好国は?」
「レイルン国、ガイズーン国、オキユ国、リュリス国。」
「近年の経済政策は?」
「積極的な財政出動で、失業者問題に取り組んでいる。」
「スユールー地方での特産品は?」
「ブドウ。」
「お見事です。もう一般的な事は教える事がありませんよ。元からカータス国への知識が十分おありでしたし。」
「婚約が決まってからつけた浅い知識です…付け焼き刃な知識は余計に失礼になりますし。もっと、ご教授お願いします!」
「ルナ様は、全く教えがいがありませんね。」
カロルの言葉にルナが慌てふためく。何か言おうと焦るルナの姿を見て、カロルは、笑いをこぼした。
「冗談です。」
「冗談…ですか…?よかったー!」
「ですが、本当に一般的な知識は、もう復習程度で大丈夫でしょう。今後はもう少し踏みいった勉強をしていきましょう。」
「はい!ありがとうございます!!」
嬉しそうに頷くルナの姿をみて、カロルはまた笑いがこぼれてしまった。ルナの純粋な姿は、自分の娘を見ているような気持ちにさせほっこりと心が暖かくなる。
カロルは、仕事としてではなく、頑張るルナを純粋に手助けしたいと、この数日間で感じるようになっていた。
「午前の講義はこのくらいに致しましょう。昼食後のダンスのレッスンは昨日の曲の続きを致しましょう。」
「はい!宜しくお願い致します!!」
昼食のためにいったんルナが部屋に戻ると、キャシーが嬉しそうに話しかけてきた。
「ルナ様!!アルフレッド様から贈り物ですわ!!」
綺麗な箱を開けてみると、ピンク色の髪飾りが入っていた。
「うわー綺麗!大人っぽいわ。」
「ルナ様がコーラルの花を気にいったから、ピンク色にされたのですかね!意外と紳士なところもあるのですね!」
キャシーは、初日のやりとりからアルフレッドに対してあまり良い印象は無かったが、この贈り物に関しては本当に喜ばしいようだ。
「ルナ様!さっそく付けてみましょう。」
キャシーが嬉々と髪を結い直していく。ルナの髪に、ピンク色の髪飾りはよくはえた。
---私の話、聞いてきてくれていたのかしら…
ルナは、ピンクの髪飾りに少し触れてみた。すると心が暖かくなった気がした。
「今日はこのままにいたしましょう。」
「うん!これで、ダンスのレッスンに行ってくるわ!」
「その前に、昼食ですよ!ルナ様は一つの事に集中されている時は、お食事も忘れてしまう事も多いですからね…体調管理だけはしっかりして下さいませ。」
「そうね。しっかり食べて頑張るわ!」
「無理はしないで下さいよ。」
ダンスのレッスンも終わり、アルフレッドの帰ってくる時間になった。ルナは、いつもより早く出迎えに向かった。
「ただいま、ルゥ」
「アル!お疲れ様!髪飾りありがとう!!本当に嬉しいわ!!さっそく着けてみたの!」
「あっああ…あっいや、その、ただ僕が君に似合うと思って送りたかっただけだよ。」
アルフレッドは、少し言葉につまったが、いつものように王子らしく返答することが出来た。
---髪飾りだけで、あんなに喜ぶのか。笑った顔は意外と…一緒にネックレスとかも用意すれば良かったな…
アルフレッドが次の贈り物に頭をめぐらせてると、ルナに手を握られた。
「本当にありがとう!」
ルナの笑顔を間近で見て、アルフレッドは、その場から動けなくなった。