初日-3-
後宮内の案内も終わり、部屋でくつろいでいたところ、侍女長のセリーヌが来た。
「そろそろ、旦那様がお帰りになります。よろしければ、お出迎えにいかれますか?」
「はい。すぐに行きますわ。」
仲の良さをアピールするといわれていたし、お出迎えは基本ね、とルナは自分の仕事リストに加えた。
そそくさと、服装を整えて、玄関に向かった。丁度玄関に着いた時に扉が開いた。
「ただいま!僕のルゥ、今日は君がうちに来てくれた記念の日なのに、仕事を抜けられずにさみしい思いをさせて本当に悪かった。」
「いっいいえ、これからは、一緒にいられるんですもの。さみしくなんかないわ。」
2人の時の態度との違いは慣れにくいが、これも仕事だとルナも演技をした。
「さあ、こんなところで立ってないで、食事にしよう。」
その、アルフレッドの声を合図に使用人の方達が準備を始める。アルフレッドは、ルナの手をとり、ダイニングにエスコートしていく。
食事が始まり、アルフレッドがルナに声をかける。
「今日は、さみしくなかったかい?カロルは少し怖いだろう。」
アルフレッドはニコニコとルナを見つめている。
「もちろん、アルと話せなかったのはさみしかったわ…でも、カロルさんはとても優しく丁寧に後宮内を案内して下さり楽しかったわ。」
「後宮を回って見てどうだった?」
「一番印象に残っているのは、コーラルというピンクの花だわ。あんな綺麗な花はじめて見たの!」
「あの花は君に似合う可憐な色をしているね。気に入ってもらえてよかった。」
食事も終わり、部屋に戻った。やはり、部屋に入った瞬間にアルフレッドは笑顔が消えてしかめっ面に変わる。
「貴方は、王より役者の方が向いているのでは?」
「王は誰よりも役者である必要があるんだよ。」
ルナの少し嫌味でも、しかめっ面を崩すことなくアルフレッドは返答した。
「お前は、つづき部屋を使え。ベッドは運んである。ほかの部屋は、防犯に問題あるし、不仲とバレる。こっちのベッドのが広いが、個室になってる方が良いだろう?何か、不便な事、足りないものあったら俺やカロルにすぐに言えよ。」
そう言われ、ルナは夜の挨拶をしたら、続き部屋に入りベッドに飛び込んだ。キャシーにはしたないと少し怒られた。
---基本的には良い方なのかしら。私の身の安全を考えて下さるし、カロルさんに全て任すつもりじゃないみたいだし。口は悪いけどね!
ルナはこれからの事などを考えていたら、いつのまにか眠りについていた。