アル湖-3-
2人は王妃の言葉に声を失った。
「それに、貴方がルナにベタぼれなこともね。」
「なっなにを言っているんですか!!」
アルフレッドは急にとんでもない事を言われ顔がかーっと熱くなっていく。
「さっき湖の中でも、ダンスの最中もあっつーい視線でルナを見すぎよ。」
「さっきのも、ダンスの時のも演技に決まっているじゃなですか!!熱い視線でなんか見てません!!」
---演技…そうだった…アルフレッド様が優しくて、つい本当の恋人の気分になってしまっていたわ…ばかね…
その後、2人の間には微妙な雰囲気が流れ、ほぼ会話もせずに湖の散策も気がついたら終わっていた。帰る時間になり2人で馬車に乗り込んだ。
---2人になったら、もう今日みたいに、お話も手をつなぐ事も出来ないのよね…そういう契約なのだから当然のことよね…
---手…伸ばせば届くけど…2人きりになれば、もうこの距離より近づけない…さっきの抱きしめた感触が…好き…そんなはずない!!母上は、なんで急に変な事を言いだすんだ!
2人はいろんな思いが頭をめぐり、一言も会話することなく後宮に着いた。夕食時も上手く会話する事が出来ず、それどころか、目を合わす事すらろくに出来なかった。
なんとか、夕食も終わり部屋へと戻った。
「アルフレッド様、今日はありがとうございました。」
ルナは深々と礼をした。
「別に、なにもしてないが。」
「いえ、倒れそうなところも助けて頂きましたし。」
---抱きしめた感触…柔らかかったな…だー!!なに考えている!俺はガキか!抱擁ごときでなにを慌ててる。あれは事故だ、抱きしめたわけじゃない!
アルフレッドは、またいろんな気持ちが交差しだした。
「いや、あっ別に。そういえば俺、執務室に用があるんだった。」
そのまま、アルフレッドは、ルナの方を振り返ることなく、部屋を出ていった。
---執務室に用なんかないし、部屋に戻らなくてわ…でも、続き部屋への扉にカギとか無いし、自由に入れるんだよな…なに考えているんだ!!…母上さえ見てなければあのまま…
アルフレッドは、邪な考えを振り払うように、執務室に行き残っていた公務を行い始めた。