アル湖-2-
青くきらめく湖が一面に広がっていた。
「うわー!綺麗…」
ルナが感嘆の声を漏らすと、王妃様がクスクスと笑った。
前にもこんな事があったな、等と頭によぎりながら、ルナははしゃいでしまった事を謝罪した。
「いいえ!そんなに、素直に感動する姿が微笑ましかっただけよ。」
王妃様は、ニコニコとルナに話しかけた。
「あのね、ここは人がほとんど来ないから、入っても大丈夫よ!」
「本当ですか!? じゃあ、ちょっと足を入れてきます。」
嬉しそうに、湖に足をつけ冷たいなどと言っているルナの姿を見て、王妃は微笑ましい気持ちになった。
「アルフレッド、ルナの手をひいてあげないの?」
「えっあっ僕とした事がぼーっとしていたよ。ルゥ、手を。」
アルフレッドが差し出した手をルナが取った。
---素手を握るのは初めてだな…すべすべしてやわらかいな…
「本当にアルの瞳に本当に似た色だわ!!とても奇麗…」
アルフレッドは自分の事をが言われているわけでもないのに、ドキドキしてしまった。
少し、目をそらすと、足が目に入った、白くて細い、もっと上の方は…
「アル?進まないの?」
「いっ今進む!」
邪な考えに至っていたところに声をかけられ、アルフレッドはとても慌てた。王子らしい振る舞いをしなくては、落ち着け!と自分に言い聞かした。
少し深呼吸をしてから、王子顔をつくった。
「転んだりしないでくれよ、ルゥが怪我でもしたら一大事だ。」
「もう、アルったら、心配し過ぎよ。」
「どうやら僕は、君の事になると、心配性になってしまうようだね。」
「私も、しっかりとしたレディですから、転んだりなんか…あっ」
川底の苔に足を滑らせ、ルナは大きくバランスを崩した。
「ルナ!!」
アルフレッドは即座にルナを抱きとめた。
「あっありがとうございます、アルフレッド様。」
至近距離で、目が合う。アルフレッドが手をルナの頬に当てた。
ぽきっ
「あっ気にしないで、続けて続けて。」
音のした方を見ると王妃が、オペラグラスでこちらを見ていた。
「母上!!」
アルフレッドは、走って王妃の元へと向かっていく。
---アルフレッド様、今、キスしようとして…ってそんなことあるはずないわ!でも、どうしよう、ドキドキがとまらない…
顔が赤くなるのをなんとか抑えようとしながら、ルナは王妃とアルフレッドの元へと向かっていった。
「あら、愛し合うもの同士キスなんて普通じゃない?」
「キスなんてしません!!っていや、その、ですから、人前でする趣味はないだけで、キスくらい普通です。」
アルフレッドは、キスという単語で心臓が飛び出るような思いになったが、なんとか心臓を抑え仲のいい婚約者を演じた。
「アルフレッド、貴方達が国を思って婚約した事くらい、貴方と親しい人間は分かっているわ。」