アル湖
ある日の夜、ルナが続き部屋に行こうとした時、アルフレッドが引きとめた。
「王妃が、お前とアル湖に行きたがっている。」
「えっ本当ですか、私も行きたいです!」
歓迎パーティの時に言ってくれていた事が社交辞令ではなかったのだと嬉しくなった。
アルフレッドの瞳のような湖、早く見てみたいなと思いをはせていた。
「王妃は、一刻も早くとせかすし、アル湖はここから、少し離れているからな…俺が休める明後日でも大丈夫か?」
「アルフレッド様もいらっしゃるのですか?」
「嫌だったか?」
「まさか!ありがとうございます!」
---また、アルフレッド様とデートが出来るなんて嬉しい!
ルナは思いがけないデートに胸を躍らせた。しかし、すぐに王妃様からのお誘いであって、デートと浮かれていたことが恥ずかしくなり、気持ちはしぼんでしまった。
「具体的な事が決まったらまた連絡する。」
「はい、わかりました。」
浮かれてしまった事を悟られたくなく、急いで挨拶をして、ルナは続き部屋に入っていった。
王妃と、アル湖に向かう日になった。その日は、朝から皆慌ただしくしていた。
ルナもキャシーに支度を手伝ってもらいながら準備をしていく。
「今日は、アルフレッド様からの髪飾りはつけていかれますか?」
キャシーが手に持っているのは、初めてもらった髪飾りである。ルナが途端につけなくなったためにキャシーも何か感じているのだろう。
しかし、ルナはもらった髪飾りをつける気持にはなれなくなっていた。
クロードが選んだ事を知った後も、仲良しアピールのためなんだとつけていた髪飾り。
しかし、アルフレッドから2つ目の贈り物をもらった時に、アルフレッドが送りたいと思っていない物をもらっても、嬉しくない。そうはっきりと感じた。
もらった物は手をつけずに見えない場所にしまった。それを見るたびに、なぜだか言いようのない悲しさに襲われるからである。
そのため、始めてもらった髪飾りも、奥にしまっておいた。
キャシーは、王妃と会うのだからつけていった方が良いから出してくれた、それは分かってもつける気持にはなれなかった。
「今日はやめておくわ。」
ルナがそう答えると、キャシーは分かりましたと、編みこむような髪型にしてくれた。
支度も終わり、続き部屋から出ると、アルフレッドはもう準備が整っていたらしく椅子に座っていた。
「じゃあ、行くぞ!」
そう言ってアルフレッドは立ち上がり部屋から出た。その瞬間に、王子様顔になってエスコートをしてくれた。
せっかくのエスコートなのにルナの気持ちは沈んでいくばかりであった。