表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
政略的結婚  作者: こん
19/27

市街地訪問-3-




 翌朝、続き部屋を出て、アルフレッドのところに行ってみると、アルフレッドは立ち上がって伸びをしていた。

「アルフレッド様、体調は大丈夫ですか?」

 ルナは、心配になり、アルフレッドの元に近づく。すると、アルフレッドは、ルナの顔を覗き込んだと思ったら急にルナを抱き上げた。

「アルフレッド様!?」

 慌てたルナは、アルフレッドを見たが、アルフレッドは、キャシーの方を向いていた。

「侍女、まず、カロルに医者を呼ぶように言ったら、看病の支度をしてくれ!」

「あっはっはい!!」

 アルフレッドは、壊れ物を扱うように、ベットにルナを寝かしつけた。


「見事に俺の風邪がうつったな。」

 まさか、気づかれると思いもしなかったルナは驚いた。多少寒気と頭痛がある程度で、咳も出ていなかったので、キャシーにも気づかれなかったのだ。

「でも、私は、全然たいしたことないです!看病なんてそんな…みんなの大切な時間を使わせるわけにはいかないです。」

「お前より大切なものなんてあるか!!…って皆思っているから安心しろ。ゆっくり休め。」

 アルフレッドの言葉がとても心に響いた。この後宮に自分の居場所があるような気持ちになった。


 そんなとき、キャシーにカロル、セシールまで、走りながら入ってきてくれた。普段なら、決して走ったりする事なんてありえないのに…ルナは自然と涙が出た。

「どうした!体が辛いのか!?」

「いえ、皆さんに心配してもらえて嬉しくて…」

キャシーが、駆け寄ってきて涙を拭いてくれた。




 アルフレッドは、ルナが落ち着くと、カロルに声をかけた。

「俺は、仕事に行ってくる。行かないと、ルナに叱られそうだからな。ただ、体調の報告を頼む。」

「承知致しました。」

 そう言ってアルフレッドはルナの方にもう一度目を向け、静かに部屋から出ていった。



 ルナは、目が覚めるともうあたりは暗くなっていた。昨日、アルフレッドが心配で夜遅くまで付き添ってしまったこともあり、よく眠ってしまったようだ。

 頭痛もだるさも残っていない。もう治ったかなと、少し起きあがってみた。すると、足元に違和感を感じた。

 目をこらしてみると、それはアルフレッドだった。

 ---わっアルフレッド様!?寝ていらっしゃるわ…お仕事から帰ってきてから、付き添ってくれていたのかしら…

 ルナは、思ってもみなかったアルフレッドの存在にとても嬉しくなった。 眠っているアルフレッドを覗きこんでみた。

 ---まつ毛、長い。髪もさらさら

 触ってみたいという気持ちにかられ、手を伸ばしてみた。

「んっあっ起きたのか?」

「あっはっはい!!」

 ルナは慌てて手をひいたので、上ずったような変な声になってしまった。少し落ち着くと、昨日アルフレッドが風邪であった事を思い出した。

「アルフレッド様は、病み上がりなのに付き添って頂き申し訳ありません。」

「べつに、俺の風邪をうつしたんだしな。」

「いえ、そもそも私のせいで風邪をひかれてしまったのですし…」

「だから、それは違うと昨日も言ったろう!この話は、もーいい!」

 アルフレッドは、そっぽを向いて答えた。向いた先には、大量の刺繍された布が目に入った。

「あれは?」

「えっと、あの、侍女さん達の刺繍が素晴らしかったので見してもらっていました…」

 ---せっかく看病して下さったのに、嘘付いちゃった。でも、内職するような姫は変って思われてしまうかも…

 アルフレッドは、起き上がっているルナに寝るように言った。ルナは、アルフレッドの顔を見ていると安心感に満たされ、眠気が襲ってきた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ