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政略的結婚  作者: こん
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市街地訪問




 今日、アルフレッドの公務で市街地訪問することになっている。今回は、子供の大会の授賞式典に行くといったものなのであり会場内はほとんど子供だけである。

 そこで、アルフレッドは安全面にも問題なく、婚約者としてルナをお披露目するのに良い機会だと考えた。

 ルナに主な内容を説明すると、すぐさまOKをして、準備を始めた。


 二人で、馬車に乗って移動し始めた。

 ルナは婚約が決まってカータス国に来た時は考えることが多く周りを見る余裕はなかった。初めてしっかりと見るカータス国の街並みにルナは感動した。

 レイルン国のような洗礼された雰囲気とは異なり、小さな商店などが建ち並び暖かい雰囲気である。

 あの店は何かしら、素敵なおうち!そんなことを考えながら、窓に張り付くように外を眺めていた。

 アルフレッドはそんなルナの姿が可愛くて見つめていた。しかし、髪に髪飾りがついていないのが目に入り気持ちが沈んだ。


 そうこうしている間に、会場に着いた。アルフレッドのエスコートでルナが席に座ったら、式が始まった。

 アルフレッドは自分の挨拶が終わるとルナのところに行き、一言で良いから挨拶を頼む、と言った。ルナはそれに頷き、アルフレッドの手を取り子供たちの前にたった。

 アルフレッドがルナを婚約者だと紹介し、その後マイクが渡された。

「今回、このような式典に同行させて頂き嬉しく思います。」

 ルナがそう言葉を発した瞬間、子供が立ち上がった。

「お前の国のせいで父ちゃんは死んだんだ!」

 ルナはその言葉に驚き、アルフレッドの制止も聞かずに前に進み出た。

「なにがあったのですか?詳しくお話を聞かせて下さい。」

 子供は少し屈んだと思ったら、おもむろに水風船を取り出し、ルナに投げつけた。

 危ない!そう思ってもルナは動くことも出来ず、目を閉じてしまった。しかし、いつまでたっても、何の衝撃もこない。恐る恐る目を開けると、アルフレッドが目の前にいた。

 アルフレッドがルナを庇い背中に水風船を受けていた。

「えっアルフレッド様!?」

 アルフレッドはルナに無事か確認を取るとすぐさま、警備員に拘束されている子供のところに向かった。


「おい、離してやれ。」

 警備員の手が離れたら、子供の頭にげんこつを入れた。

「話を聞こうとしてくれている女に、物を投げるなんてカータス国の男として恥ずかしくないのか!!言いたい事があるなら、こんな姑息な事をせずはっきり言え!!」

 アルフレッドは、凄い剣幕で子供を問い詰めた。子供は少しひるんだが、かなりの決意があっての行動らしく、アルフレッドの目を見つめ返した。

「あいつの国の奴らは、俺達の国の人間を物の用に使い、金を積まなきゃ契約を打ち切るだの脅してきて、父ちゃんは必至で働いてそれで過労で…」

 最初は、怒るような口調だったのに、だんだんと涙声に変わっていった。アルフレッドは、今度はげんこつではなく、子供の頭に手を置いた。

「お前が今すべきことは、母親を支えることだ。こんな事をしたら、母親に余計負担がかかるだけだ。」

 アルフレッドにそう言われ、子供の目が揺らいだ。ただ、父を亡くした悲しさだけで行ったのであってこの先の事は考えていなかったようだ。

「今、どこに住んでいる?」

 アルフレッドが、子供に聞いた。

「親戚の家に居候させてもらっている。」

「分かった、調査の人間を送ろう。ここにいるみんな、もし、同じように親が苦しんでいるなら、今言いに来てくれ!」

 アルフレッドがそう言うと子供達は何人かの子供が立ち上がって、集まってきた。

 アルフレッドは一人一人の話に耳を傾け、問題のありそうな家には調査の人間を送るように決めていった。




 アルフレッドは仕事をやりきり、混乱もおさまり閉式することが出来た。ルナと2人で馬車に乗り込む。

「服を脱いで下さい。」

「なっ!!」

 ルナの突然の言葉にアルフレッドは言葉を失った。

「そのままでは、風邪をひいてしまいます!早く!」

 気恥しさを感じ、ルナと反対を向いて上着を脱いだ。するとルナが濡れている背中をタオルでふいていく。

 なんだか、子供扱いされている気分になり、それくらい出来ると言おうとしたら。後ろからルナに抱きつかれた。

「何をしている!?」

 今度こそアルフレッド、疑問なのに加え、ルナの体の柔らかさを感じパニックになった。

「変えの服は無いそうですし、お嫌でしょうがこうしていれば少しは暖かいでしょう?」

 嫌なわけない!むしろ!!とまで、考えると下半身の異常を感じ余計に体がこわばった。

 アルフレッドの体がこわばるのを感じルナは、少し悲しい気持ちになったが、この背中が助けてくれたのだと、抱きつく力を緩める事は出来なかった。

「守って下さりありがとうございました。」




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