第八話‐暗転
影待雪見;主人公・秋人の彼女。能力は“身体強化”、“感応”。しかし、他の能力者とは違い、能力の上達は無い。
車で八戸市に戻り、事務所に着いた俺を待っていたのは、アリシァに介抱され、正気に戻った雪見だった。
大丈夫か、と問い掛けた俺に対し、静かに微笑む雪見を見て、やっと終わったのか、と安心したのを覚えている。
数日後、黙々とテストをこなす俺に、アリシァから連絡があった。
「何かあったのか?」
「ええ。何ていったらいいかな。……実はあなたも能力者なの」
何だって?
「俺が……?」
「“予知”か何かだと思うけど、心当たり、ない?」
「そんなもの、あるわけが……」
いや、いつか見た夢で、雪見に襲われたことがある、ような……。
「夢? ああ、“予知夢”なのね」
思考を読んだのか。話が早くて助かるが、やはり気分は悪い。
「で? 俺も事務所に誘うのか?」
「……誘うのは――影待さんのためなの」
「雪見……?」
「今の彼女は特異な能力者で、奴の力が“固定された”状態になっているの。だから今以上の成長は無いし、研究対象とみなす輩もいる」
「……つまり、俺に雪見のサポートをしろ、ということ?」
「そう。能力者同士のコンビは普通作らないんだけどね。彼女を守ってほしいの」
奴を殺したことで、終わったと思ったが……。どこまでも、ついてまわるか。
「――俺の方は、はなから入社するつもりだったから、かまわないよ」
まさか能力者として入るなんて思ってもいなかったが、まぁ些細な問題か。
いいだろう。
俺のモットーは、他人にできない事をやる、だ。
何でもきやがれ。
――こうして、俺の平和な高校生生活は終わり、探偵事務所での人生が始まった。
とりあえず終わりました。つきあってくれてありがとうゴザイマス。読者数や感想によっては続編を書きます。少しでもいいからなんか書いてくれると嬉しいです!