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18 聖女の噂

「えぇ、っと……。なんのことでしょうか?」


突然の問いにあっけに取られて質問で返してしまったのだ。

少なくとも、聖女だの啓示派だのに関わった覚えがなかった。


「違うんですか? その、『リディア・パラケルスは啓示を受けて次代の聖剣の担い手を見出した』、『教会が聖女として認めてロメリアの異変の調査を依頼したのが今回訪れた目的』ってもっぱらの噂なんですが……。」


「聖剣、っていうと……。もしかして、クルトのこと?」


思い当たることを口にすると、周囲が「おぉ」という感嘆で湧いた。

水を打ったように静まり返っていた食堂が一気に騒がしくなったのだ。


「あ、でも。啓示なんて全然関係ありませんよ?」


「そうなんですか?」


クルトを拾いあげた件と数年ぶりにロメリアに来たことで尾ひれがついて噂が広まっていたのか。

煤被りの噂が3年前に広まったのに対して、ここ最近で急にいろいろ動き出したせいもあるのだろう。


「はい。今回ロメリアに来たのも師匠に呼び出されてきたので、教会とは無関係ですし。」


「そ、そうなんですね。」


青年はほっと息をついたのだ。

キアラは頬杖をついたまま、それを訝しむように横目で見ていた。


「君は、たしか……。」


「あ、失礼しました! アリステリア学派に2年在籍してるシルヴァンです! 一応はリディア様の後輩にあたります!」


これは意外だった。

アリステリア学派、エリート中のエリートだ。


そんな前途ある若者も噂だのなんだのが気になるのは、もうロメリアの風土ということだろうか。


「シルヴァンさん。一応聞いておきたいんですが、噂の出処ってわかりますか? 教会とは関係なくロメリアに出回ってる噂話を集めてるのは本当なので。」


「呼び捨てで大丈夫ですよ! そうですね、出処がどこかは分かりませんが非貴族の魔導士系の学者の間で噂されてますよ。

エレオノーラ教授が真相を隠してる家畜事件について調べるために教会が最終手段としてロメリアの暴君・リディア・パラケルスに調査を依頼した、みたいな感じで。」


「あ、うん。……なるほど。というか、家畜事件?」


「? はい、最近起きてる事件ですが。ご存じないですか?」


ついさっき聞いたので、存じてはいるが……。

眉唾の陰謀論だと思っていたが、家畜被害が出てるのは本当なのか。


てっきり偽薬の調査をしてることの方が広まったのだと思っていたのだが。


「ちなみに、ロメリアで今話題の噂については他に聞いてない?」


「……。他、というと。いまいち思いつきませんが……。何かあるんですか?」


「あぁー。ううん、思い当たることがないならいいの。」


目が泳いだ。幼いな。


これについては信じない方が良いだろう。

キアラの方を見ても、苦笑いをしながら肩を竦めてかぶりを振っていた。


何を隠したいのかは知らないが思いがけず情報源になりそうだ。


「ありがとう、シルヴァン。私はロメリアを降ってしばらく経つから、また話を聞かせてもらってもいいかな?」


「はい! 自分はずっとリディア様に憧れてましたので、是非声をかけてください!」


シルヴァンは一礼をして食堂を後にした。

日も暮れ始めた頃あいであった。初日の成果としては上出来だろうとキアラと示し合わせて私も身支度を済ませることにしたのだ。


初稿で噂好きのリディアの後輩を「シモン」にしましたが、なんか違うなと思って「シルヴァン」に変えました。

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