第3話「邂逅」
瓦礫の迷路を抜けた先、街の空気が微かに変わった。
遠くでビルが軋む音。崩れた道路の向こう、疾走する影――リベラだった。
「遅いじゃない!」
熱血の声が裂けた空気を震わせる。全身を駆け抜ける彼女の姿勢には、真剣さと勢いが混ざり合っていた。
その背後に、ゼフィとマキナも続く。ゼフィは冷静に状況を分析し、敵や罠の配置を予測しながら慎重に進む。マキナは一歩後ろで、必要なときだけ後方支援を行う。
カナタは彼らを見て、仲間が揃ったことを直感する。
「これで……チームは揃ったな」
カナタの声に、ノワルはわずかに頷く。
彼女の目に、先ほどの戦闘とは異なる光――微かな感情の揺らぎが見えた。
街の裂け目から漂う黒い霧が、まるで生き物のようにうねる。
小型断層獣の残党が潜み、再び襲いかかる気配があった。
リベラが両手を振りかざし、周囲の瓦礫を蹴散らす。
ゼフィは瞬時に戦術を組み、チームの動線を指示。
マキナは癒しの力で仲間を支えつつ、敵の接近を警告する。
連携は完璧ではない。けれども、確実にチームとしての基盤が生まれつつあった。
ノワルはその隙間を突き、鋭い斬撃で残党を一掃する。
「……やっと、戦える感じがする」
普段は無表情の彼女の口元に、僅かな笑みが浮かぶ。
カナタは全員の動きを確認し、心の中で決意を固める。
「これからが本番だ……俺たちは、守らなければならない」
街の裂け目から漂う異常波、手首の焼き印の赤い光。
世界線はまだ安定していない。敵はまだ潜み、脅威は増大していく――。
だが、仲間がいる。信頼できる仲間が揃った。
カナタの心に、微かだが確かな温度が宿った。
それは戦闘だけではなく、絆の温度だった。




