表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

2 不思議なこと

家に帰り、何気にパソコンを開いた。そうだ。私、小説書いてたっけ。あれ、どうしたかな…。


わ。すごいアクセスの数。


あれ…?この感想、名前に天宮昴って書いてあるけど、本物?


「えええ?!」


私は慌てて、昴くんのブログも見た。そこには私の小説を紹介してある文が、書かれていた。


「え~~?!」


他にも何か書いてあるかと思い、読んでいたら、今大好きな人がいますって書いてあった。


「え…?」


すごいショックだ。あの10歳年上の彼女か…。それとも、新條亜矢?


「駄目だ。また、落ち込んだ」


ドスン…。ベッドに横になった。


いや、待てよ。私の小説を読んでくれてるんだよね。


それから、私の小説が映画化なんてされて、昴くんが演じてくれたりして。そうしたら私、また昴くんに会える!それどころか、近づくこともできる?…って、そんなの妄想だよね…。


はあ…。妄想でしかないことにまた落ち込んできて、私はさっさとお風呂にはいって、寝ることにした。


その日は寝ると夢の中で昴くんが現れて、私に、撮影中こんなことがあったとか、こんな内容のドラマで面白いんだって熱く語っていた。そんな昴くんが、すごく可愛いなって夢で私は思っていた。


          

翌日は、バイトのシフトが入っていない日だった。


「さて、今日は何をしようかな」


なんとなくパソコンを開けてみると、そこに新たな小説が書かれていた。


「ええ?私、こんなの書いてたっけ?」


題名は、「2012年 愛と光の地球」。う~~ん、覚えがない。でも、私のパソコンだ。私以外の誰が書くんだろうか。


他にも、なんだか変なことが周りで起きていた。母が、その日の昼に私を呼び、


「ひかり!テレビに昴くん出てるわよ」


と言うのだ。あれ?私がファンだって知ってたっけ?


ワイドショーをしていたのだが、そこで、新條亜矢とのことが話題に出ていた。ドラマのシーンや、撮影風景まで映され、けっこう仲むづましい感じだった。


「あら~~。こんな奇麗でスタイル抜群の若い子じゃ、あんた太刀打ちできないわね。かわいそうにね」


と母に言われてしまった。な、何それ…?別に、昴くんとどうしようとか思ってないし。私は単なるファンだし…。と思いつつも、なぜか、胸が痛かった。


昴くんのアホ…。って思ってる私がいて、正直びっくりした。


美里からメールがあった。


>あの記事、でたらめでしょ?


あの記事って、昴くんのことかな~~。私はなんて返事していいかわからず、そのままほっておいてしまった。


そのあと、薫からもメールがあった。


>だから、天宮昴なんてやめときなって。あんな子と写真撮られちゃってるじゃん。


ええ?ファンだって、言ったっけ私。でも、やめとけって言うこともないじゃない。単なるファンでいても、いいじゃない?


なんだか、変なメールばかりが来る。そのうえ、緒方さんからもメールが来て、


>ひかりさん、大丈夫ですか?


と書かれていた。う~ん、何が?なんの心配をしてるんだろうか。確かに、相当ショックだったけど、でも相手は、芸能人だよ?そりゃ、なんだか知らないけど、心がすごく痛いし、何かぽっかりと穴が開いたような変な感覚はしてるけどさ…。


夕方、葉月ちゃんからメールが来て、


>ご飯食べに行きませんか?


と誘われた。葉月ちゃんは今日仕事だから、仕事終わってから会う約束をした。


新宿まで行き、本屋の入っているビルの前で待ち合わせをすると、


「今日はダブルデートしませんか?」


と葉月ちゃんが言って来た。


「ダ、ダブル?」


誰と、誰が…?


「ついさっき、一緒にみんなでご飯食べようって言われて…。車で迎えにこれないらしいから、電車になるんですけど…」

「え?うん。それはいいけど、どこに行くの?」


「ちょっといい感じのお店を、発見したんです」


「そうなの?」


私は言われるがままに、ついていった。お店に着くまでの道のりで、葉月ちゃんは、昴くんのドラマ面白いですよねって、そんな話を楽しそうにしていた。


「そうだよね。面白いし、クールな昴くん、いいよね」


私も、嬉しくてつい、はしゃぎながら話し出した。


「だけど、撮影がものすごくハードみたいですね。今日だってギリギリまで、撮影みたいだし」


ギリギリ…?オンエアーにってことかな?


「食事する時間も、そんなに取れないかもって言ってました」


「…?」


食事する時間もないほど、忙しいのかな?でも、それをなんで葉月ちゃんは知ってるのかな。


「何も言ってきてないんですか?」


「え?何が?」


「いえ、だったらいいんですけど」


「???」


なんのことかな。


店に着くと、そこはちょっと暗くて、そんなに人もいなかった。だけど、いい雰囲気のお店だった。


「奥の席にいますって」


いますって…、誰が?そういえば、ダブルデートって、何?葉月ちゃん、彼いたんだっけか?その人と、その友達?もしや、すごく若い子?


あれ…。美里とも、こんなことなかったっけ?ああ、そうだ。ビリヤード一緒にしたっけ。それで、私すごく気持ちが悪くなって、その時、誰かに助けられて…。誰?ぼやけてて、顔が思い出せない。それに頭が痛い。


「お待たせ!」


葉月ちゃんが明るく、誰かに言った。店内は暗く、そのうえ奥まった席だから、さらに暗くて顔が見えなかったが、


「ああ。いきなり呼んで、大丈夫だった?葉月」


と声が聞こえた。あれ?この声、聞き覚えがあるよ。そうそう、結城悟にそっくり。


テーブルの前まで来て、そこに座っている人を見ると、私は心臓が飛び出そうなくらい、びっくりしてしまった。


え…?す、昴くんと、結城悟?!!!!


なんで?なんで二人がいるの?なんで、葉月ちゃん知ってるの?え?え?ダブルデートって?ええええ?!!!


私が目を丸くしていると、


「どうしたの?」


と昴くんが聞いてきた。それでも、まだ私は口を開けぽかんとしていた。昴くんは席を立って、私のそばに来て、私の肩に手をまわした。


「隣に座る?」


え?


「葉月ちゃんが、悟さんの隣に座りなよ」


今まで、昴くんが座ってた席に葉月ちゃんを座らせ、昴くんは私をその前の席に座るように言った。そして、昴くんは私の隣の席についた。


「……?」


いったい、何がどうなって、こうなってるんだか…。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ