表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

1 10歳年下の昴くん

私の名前は、星野ひかり。29歳。バツ一で、今、実家で暮らしてる。離婚の理由は、私が赤ちゃんを流産したこと。


夫だった徹郎はその後、浮気をしてその相手に子どもが出来、私に離婚をしてくれと言って来たのだ。

そして離婚してから、私は3ヶ月、自分の家に閉じこもった。


その後、友人の薫や、美里が私を外へと連れ出してくれて、徐々に社会復帰することが出来て、本屋でバイトをするまで、回復をした。


そのうえ、美里の影響で、若くてかっこいいイケメン俳優の、天宮昴くんのファンにもなった。まだ、天宮昴くんは、19歳。10歳も下の子のファンになってどうするよって自分でも呆れたが、彼のことを画面や、写真で見ていると、本当に心が癒されていくのだ。


映画も観に行った。舞台も観に行った。そのたびに大ファンになっていった。


そして…そうして…。


あれ…?何かがぼんやりしてるな~。


最近、テレビでドラマが始まった。それを今日、見た。昴くんはあいかわらずかっこよかった。それにすごく奇麗だ。


役ではすごくクール。でも、最後には熱く語る、心のうちでは、熱いものを持っている。


本当の昴くんは、どうなんだろうか?雑誌のインタビューや番宣では、自分はもっとおちゃらけてて、クールじゃないですよなんて言ってたけど。


でも、見た目大人っぽいし、落ち着いて見えるし…。


あれ…?そうだっけ?もっと、子どもっぽいところもあったんじゃないっけ?ああ。頭が痛い。


実は、昨日お風呂で転倒をした。思い切り、頭をぶつけた。一瞬目の前が真っ暗になり、それからしばらくして目を覚ました。すごい音がしたので、母が慌てて、風呂場に飛んできた。


「頭ぶつけた。でも、大丈夫だから…」


そう言うと、


「あなたは、前に階段も落っこちたんだから、気をつけなさいよ」


と言われた。


「階段?」


聞き返したが、さっさと母は、バスルームを出て行ってしまった。


「階段ってどこの階段?うちかな?落ちたことあったっけ?」


思い出そうとすると、頭が痛くなる。


その日の夜、不思議な夢を見た。ドラマのセットの中で、昴くんが私に向かって、ドラマの台詞を言ってる夢だ。


あ~~、私、相当昴くんに入れ込んでるんだな~~。


バイト先に行き、事務所で仕事を終えて、着替えをしてから少し店の方に行ってみた。私は本屋でバイトをしてるが、ある日事務所のほうで、事務の仕事をしてくれと頼まれ、それからはお店の方には出ていなかった。


ぷらぷらとお店の中を歩いていると、昴くんの写真が載ってる女性週刊誌が目に飛び込んできた。


思わず、手にとって見ると、


「天宮昴、ドラマの恋人役、新條亜矢と夜中にデート。10歳上の彼女とは破局か?」と書いてあった。


え~~~~?!!!10歳上の彼女?そんな人がいたの?今のドラマの共演してる、新條亜矢とデート?

ダ、ダブルでショック…。


立ち直れないくらいにショックを受け、私はふらふらと本屋を出た。


ま、待って。芸能人なんだし、こんなにショックを受けてどうすんの、私。


それでも、よたよたと歩いてると、後ろから葉月ちゃんが走って、


「星野さん、一緒に帰りましょう」


と私を呼び止めた。


「あ、葉月ちゃん」


葉月ちゃんは本屋でアルバイトをしていて、私よりも10歳も下の、可愛いまじめな女の子だ。葉月ちゃんも昴くんのファンで、一緒に舞台も観に行った。


「さっき、お店の方に来てませんでしたか?」


「うん。ちょっとね…」


「あの週刊誌、見たんですか?でも、あんなのでたらめだから、気にすることないですよ。だいたい、中も見てみたけど、変な写真でした。わざと回りをぼやかしてて、多分、昴くんと新條亜矢だけでなく、他の人も一緒にご飯食べてたって感じでしたよ」


「え?」


私が昴くんと新條亜矢のことで、ふらふらになってたの、わかっちゃったのかな~~。あ、そっか。葉月ちゃん私がファンだってこと、知ってるもんね。


「ああいう週刊誌ってどうして、嘘を書くんでしょうね?前に写真が載っちゃったときだって、悟くんだってその場にいたのに」


「写真?悟くんって結城悟?」


「はい。そうです。一緒にいたのに、悟くんは載ってなかったじゃないですか~~。今回もきっとそうですよ」


「ふ、ふ~ん」


何のことかわからなかったが、あまり深く追求はしなかった。


結城悟は、今24歳で、超うれっこ俳優だ。美里が大ファンで、結城悟が出る劇だから観にいこうと誘われ、その劇に昴くんも出てて、私は一緒に行ったのだ。


あのときの昴くん、本当にかっこよかった。それから、葉月ちゃんにもまた、観に行きましょうと誘われ、観に行ったんだ。そのときには前から5列目の席で、すごく良く見えて…。


あ!思い出した!その舞台のあと、最後のほうまで残ってたら、偶然にも悟くんと昴くんとばったり会って…。


会って…。どうしたっけな?う~ん。頭が痛い。いや、もっと前にも会って話をしたことがあるような…。


そうだ、美里。美里と行ったときも、昴くんと話をした。舞台の袖裏にいて、それを美里がみつけて…。

舞台観に来てくれて、ありがとうございますと、すごいさわやかな笑顔で言ってくれたんだ。


思い出したよ~~。すんごい可愛い笑顔で、でも奇麗で、それにかっこよくって。


わあ、なんで、今まで忘れてたんだろうか…。


でもまだ、何かぼやけてる。だけど思いだそうとすると、頭が痛くなる。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ