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7話:部屋掃除−6


瞳の部屋


「さて…一番に予想ができない人ですな」


そう筍がつぶやくと、続いてみんなが口を開いた。


「俺、散らかってるに一票」

「私はクローゼットに詰め込んである方向で」

「意外と物がないかもですよ?」

「私は紙とか散らかってるけど汚くなさそうってやつで」

「景品によっては参加する」

「僕が何か買おうか?」

「…使うところだけきれいになってて机の上に大量に物有りそう」

「裕介はそれね~ほかには?」


「ねぇ私そんな偏見もたれてるの????」

渉と透花から始まった悪乗りに珍しく全員がノった。

だが悪ノリ率の高い瞳は

「誰も当たってなかったらその景品私のね」

やはりノってきた。


皆が心配と期待を抱える中で、少し重たそうにドアを開ける瞳。

果たして部屋の中は……


「どうなっているの、か…?」

「なんだこれ」


意外に片付いていた。だが。

「なんだこの物の多さ…」

物は多かった。この時点でだれも当たっていなかったので瞳は喜びの声を上げたが、そんなことにはお構いなしに部屋の中を探索する各々。


部屋の中にはそこかしこに棚や段ボールがあり、割と邪魔である。

ふと、愁人が棚に近づき、陰になっている奥のほうまで覗くと、

「えっ」

と一言だけ発して一歩後ずさる。

「どしたんー?愁人」

と透花が声をかけると、少し青ざめた顔でこちらを向いた愁人が、

「自意識過剰…」

とだけつぶやいた。ついでに今、こと切れた。


透花ものぞいてみると。そこにはびっしりとアイドルであるひとみんのグッズ、つまり自分のグッズが大量においてあったのだ。

「なぁこっちの段ボールにもえげつない量入ってるんだけど」

筍が声を上げる。

「あぁーー!!それはね、スタッフさんからサンプルもらうけど行き場もないからって溢れ返っちゃって」

「自意識過剰ではないわけね」

「裕介まで疑うの!?」

このおぞましいほどあるひとみんのグッズは、どうやら売ったり譲ったりもしにくいサンプル品らしい。

「やっぱ人気なだけあるなぁ~」

感嘆の声を上げる渉。そして同意しながらもグッズをまとめたりと手を動かすみんな。

そして床には、未だに起き上がらない愁人。

流石に心配したのか、恭弥が「大丈夫?」と声をかけるが返事はない。

しかし必死に力を絞ってなのか、プルプルしながらも指でごみ箱を指す。

「なに?このゴミ箱…?」

と近くにいた裕介と美紀がのぞき込むと、

「なんですかこの匂いぃ!!」

「何とも言えない匂いだな…」

強烈なにおいに襲われた。

一通り苦しんだ後、早くもギブアップした美紀に代わり裕介がゴミ箱の中を目で探ってみると、

「あー…それは、一昨日飲んだ氷結の缶…」

「そっちは、お気に入りのコンビニ焼きイカです…」

つまみ&酒というなんとも言えないものがそろっていた。


「瞳、俺いつも言ってるよね?缶とか食品類は虫を引き寄せるからキッチンで捨てろって」

「ハイ…」

「瞳の生活態度はよくわかった、なので今度から肉の分量減らす。」

「えぇーーーー!!!やーーーー!!!やーーーだーー!!!」

めずらしくキレている裕介に罰を課せられた瞳であった。


「因果応報ってやつだよ、ひとみん」

だが忘れてはいけない。そんな彼女を、普段から制裁を受けている筍や透花も、減らした分の肉をもらっていることを。

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