6話:部屋掃除−5
美紀の部屋
「なんだろう、やらなくてもいいレベルで安全そう」
「わかる」
裕介に代わり先頭を行く恭弥と筍が話す。
危なさなど感じられない人柄の美紀の部屋。
むしろ気になるからとウッキウキの数名と、嫌な予感がする人で分かれていた。
「…はーい!ちょっとだけ待っててください!」
「なんかあるのか?」
「ベットメイキングができてるか確認したくて…」
その言葉を聞いた一同
「えらい」「おしゃれだ」「お嬢様ぽい」「なにそれ?べっ…なにそれ?」「律儀だなあ」
全て小並感である。
各々がだらりと喋っていると、ドアが開いた。
「おっけーなのです!」
そう美紀が声をかけ、全員を部屋の中へ呼び込むと…
「うぇっ!?なにこれ」
「すっっっげ…………」
キラキラしている装飾に、広く取られたクローゼットのような、スタイリングの部屋のような構造になっていた。
「なんか…掃除するよりもキラキラしすぎてそれどころじゃないな」
部屋の世界観に没入する一同。
その後ろから、
「アウトじゃねぇか」
と、裕介が一言放つ。
「裕介…!お前…正気に戻ったのか!」
「僕のことなんだと思ってんの?」
「いつも通りのツッコミに安心するわ。」
「うぉい」
なんにせよ、現実に引き戻された面々は美紀の部屋のどこがダメなのかを考え始める。
「裕介、どこがダメなのです?」
「あー、スペースだよ」
「スペース……?」
そう、美紀の部屋は部屋全体が装飾されているから、世界観にのめり込んでしまう。
だが、このままだと。
「新入居組の場所がない…ってことか」
「正解、よくやった透花。」
裕介が先程までと同じように、みんなの前に立つ。
「この掃除ツアー、新しい人を入れるためだから、っていうの忘れてない?」
「それは…そう。」
と、いうわけで。
「しょうがない……うぅ………でも………」
「駄目です。」
部屋の電灯や装飾を取り除いていく。
半分あたりまで撤去できたときに、裕介が呟く。
「これ、ブラインドとかかけて装飾したらいいんじゃない?」
「それ!やりたい!」
すかさず美紀が食いつく。
「じゃあニトリ?」「私車出しますよ」
そんな話になり。後日、美紀の部屋は模様替えが行われることになった。