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茜の葛藤

2日たち、茜は熱が下がって元気を取り戻した。


「さおリー!久しぶりーっ!上がって上がって!」

「久しぶりだね~茜!おじゃましまーっす!」

沙織は久しぶりに会う茜の雰囲気が変わっていることに早くも気づいた。

茜の部屋に入り、ソルの用意してくれたクッキーをつまみながら、沙織はさっそく切り出した。

「それで、ソルさんとはどうなの?何か進展したの?」

ニヤリ、と沙織は茜をからかうような目つきで見た。

「え、えぇっ!??な、なんで、あたしまだ何も言ってないのに!」

「もぉ、好きなんでしょ?恋してるオーラ滲み出ちゃってるもん。

 茜ってば顔に出やすいんだから~」

あははっ、と軽快に笑う沙織の肩をペシッと軽く叩いた。

「だってーほんとカッコイイよね~ソルさん。 

 しかも尽くしてくれるんでしょ?そりゃー惚れないわけないもんね」

「うっ、尽くすとか、そんなんじゃないけど・・・」茜の頬は真っ赤で熱くなっていた。

「でもどうするの?ソルさんっていつかは帰っちゃうんでしょ?」

「ん・・・そうだね・・・」

まさに茜はそのことで2日間ベッドの中で悶々としていた。

恋だと自覚したはいいが、相手は期間限定の異世界の人。

アタックしようにも結果は目に見えていた。

それでもソルを見るたびに小さく跳ね上がる茜の心は、ソルを好きだと素直に訴えていた。


「茜はさ、奥手で彼氏とかも今までいなかったじゃない?

 告白されても逃げてばっかで、相手の気持ちに答えた事なかったでしょ?」

学校の男子に今まで何度か告白されかけたことがあったが、

そのたびに恥ずかしさから逃げてばかりいた。きちんと話すら聞かなかった。

「もしソルさんのこと好きなら、ちゃんと伝えてみたら?

 今まで茜を好きって言ってきた男子達の気持ちも、それでわかるよ、きっと。」


ソルに告白?そんなの考えられない!

だって、一緒に住んでるんだよ?

毎日一緒にいられるのに、これ以上なにも望まなくてもいいんじゃない?

むしろ告白して断られたらすっごい気まずい事になるし・・・。


茜の理性とは裏腹に、茜の心はソルと両思いになったら、という甘い想像に駆られていった。


告白だなんて・・・





夕飯の時間、茜とソルは向かい合って座って食べていた。

初めのうちは茜の後ろに立ち、執事のように茜の食事を見守っていたのだが、

「恥ずかしいから一緒に食べようよ」

という茜の提案(命令?)で一緒に食べるようになっていた。


「茜様、お加減がよろしくないのですか?」


ソルが心配そうに茜の顔を覗き込んだ。

「え、ううん!ぜんぜん元気だよ!」

沙織が告白をけし掛けたおかげで、茜はソルの顔をまともに見れなかった。

熱は下がったはずなのに、ずっと頭がぼーっとして熱っぽかった。

「今日のお食事、あまりお好みではなかったですか?」

「とんでもない!相変わらず美味しいよ!うん!」

茜は和食が好きだったので、ソルは和食をよく出してくれた。

ほくほくと煮込んだじゃがいもとにんじんを口に入れ、よーく味わって食べた。

「んん~絶品~」

ほっぺが落ちそうな料理に茜はとろけそうな声を上げた。

茜がふと気づくとソルが茜を見つめていた。

「な、なに?」

「いえ、茜様は本当に美味しそうに召し上がって下さるので、作った甲斐があります。」

ソルはいつもの優しい口調でニッコリと微笑みながら言った。




食事を済ませ、お湯につかりながら茜はまた物思いにふけった。


徐々に強くなる茜の心の思いに、理性は根負けしそうになっていた。

異世界に帰ってしまう、という事実よりも、両思いになれたらという甘い誘惑が勝っていた。


もし両思いになったら、デートとかしたりしちゃうんだよね~

しかも好きな相手と毎日一緒にいられるなんて、こんな幸せないよね。

デートから帰っても一緒にいられるんだ。

一緒にご飯食べて、夜も一緒に布団に・・・

茜は頭にかーーーっ!と血が上った気がして、大きく頭を振った。

あたしってばエッチな妄想しちゃうとこだった!?恥ずかしぃ~~!

・・・ソルってどんな女の子が好みなのかな~

でも聞いたら変に思われるよね・・・うーん、はぁ・・・告白かぁ・・・



夜、布団に入ってからもソルのことで頭はいっぱいだった。

このまま夢にまで出てきてくれても、いいなぁ・・・










































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