第二十九話・「む」
「勝っておいて言うのも何だけど、魔法戦を挑まれていたら分からなかったわ。うるわが私にあえて格闘戦を挑んできたから、私もそれに付き合っただけ。うるわには残念だけど、魔法と違って格闘は私の最も得意な分野なの、ご愁傷様って感じ」
「お気遣いは無用です、キズナ」
淡々とした言葉には、感情のにじむ余地はない。
「なんで魔法を使わなかったの?」
「魔法は使えません」
悔しがる素振りすら見せず、まっすぐキズナの目に向き合っている。
「使えないって……詠唱魔法も? さすがにそれは」
「はい、使えません」
口をあんぐりと開けるキズナ。おい、人様を鑑みて呆れかえるのはいいが、お前も似たような状態なのを忘れないで欲しい。詠唱魔法を使えると言っても自慢にはならんのだからな。
「……そんなのでエリスを守れるわけ?」
「エリスを守るのは魔法ではありません。魔法はエリスを守る手段に過ぎません。結果エリスが守られるのであれば、手段は魔法でなくとも良いのです」
俺のいるポケットに目を落とすな馬鹿弟子。少しは自分で考える癖をつけろ。
「キズナ、一つ問います。仮に魔力を起点だとすれば、手段は必ず魔法でなくてはいけませんか?」
「……いけませんような、いけませんことはないような……」
なんだその間抜けな思考回路は。
(キズナよ、お前の持つ魔法刀【川蝉】は、魔力で刀身を生成するだろう。魔力をきっかけとするのならば、手段は何も魔法だけではない。同じ結果に至るのであれば、それが魔法であるにしろ、魔法具であるにしろ、手段は問わない。うるわにはうるわなりの手段があるということだろう。うるわの言いたいことはそういうことだ)
胸ポケットに身を潜めながら、キズナにひそひそ声で教えてやる。
「ふーん、魔法刀がね」
「正解です。意外に博識なのですね、キズナ」
「ふふん、褒めても何も出ないわよ」
お前の天狗のように出ている鼻を見てもそう言うか、愚か者。
「ですが、正解は一つではありませんので、部分点ですね」
「答えが複数なんて卑怯じゃない」
「宿題です」
「む」
すぐに解答を教えてもらえなかった事に不満を表す。
いい機会だ、宿題としてしばらく考えているといい。……と言っても、お前の場合すぐに忘れてしまいそうだがな。
読んでくださった方、興味を持って下さった方、ありがとうございます。
目下の所、毎日更新を目指しておりますこの小説ですが、最近は一話当たりの文字数の減少に悩まされております。以前、小説を毎日連載していたときは一日三千文字がペースだったのが、現在は千五百文字程度……。この第二十九話に関しては千文字を切ってしまうなど、どうしたんだ自分自身、となんだか憤りを隠せません。というのも、ラストまでプロットが完成しており、あとは道筋に沿って流れ作業のように書くだけなのです。それだけのことを淡々とこなせない自分が悔しいです。それもこれもあれですね、最近小説を読むことが出来ないせいです。悠長にカイジなんて読み返している場合ではないですね、ええ。ハチワンダイバーもいいですね、勢いがあります、ええ。……。ごめんなさい、それが原因です。控えます、ええ。
評価、感想、栄養になります、ええ(←自分の中で流行ってます、ええ)