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ダンジョンⅢ

一通り説明し終え一瞬の沈黙の間が訪れるどうやら零の感想を待っているようだと零自身が気付き口を開く。


「必要ない。」


そう一言告げるとケースを閉じた。


「えっ、どっどうして、千堂君の為に用意したのよどこに不満があるの?」


「・・・まず弾薬が六発しかないだとだと継戦能力がなさすぎるそれに重量、いくらだ。」


「・・・約3㎏」


前髪で視線はわからないが顔を横に向け少し言いよどみながら答えた。


「正確に言え。」


零は、腕を組みながら若干苛立ちながら言葉を発した。


「3.6㎏。」


「約4㎏だろ四捨五入おかしすぎだろ。」


横から涼の茶化す声が割って入る。


「でも千堂君の能力なら問題ないでしょ、それに銃身の加工は、本っ当にたいへんだんだから。」


本当に大変だったのだろう、必死に零に対して訴えかけている聞きようにようによっては、小さな子供が駄々をこねているかのよう聞こえるが、見た目が長い髪を垂らした成人女性が必死になって詰め寄っているので昼間とはいえ、不気味さ漂う実際零も上半身が無意識のうちに後ろに逃げている。


涼はその光景が面白いのか「くくっ」と喉を震わせ笑いを噛み殺し話しかけた。


「おい、零いいじゃんか持っていってやれよ、可哀想だろおば・・」


涼の話が終わる前に涼の首があった場所に鈍い光が横なぎに振るわれた。いつの間に取り出したのか大型のマチェットナイフが彼女の手に握られてていた。涼は寸前のところで上半身を仰け反り、その予備動作もなかった鋭い斬撃を躱しその勢いのままバク転の要領で距離を取った。


距離を取り怒りを滾らせ顔を上げようとするが、涼の視野に目前に距離を詰め今、マチェットを振り下ろさんとする悪鬼の姿が彼の視界に広がっていた。


「なにしや・うおおおおぉおおぉ」


驚愕か雄たけびかそれとも悲鳴か涼は咄嗟に左の肩口のナイフを右手で引き抜きマチェットを受け止める、金属同士が激しくぶつかり合いナイフが悲鳴をあげ火花を咲かせる。


「ふっ深井君ねぇ・・おば何?・・おば何?なんて言ったのかな?なんて言おうとしたのかな?」


風祭女史は、そういいながらマチェット上から押し込みながら涼の顔に自分の顔を近づけながらうわ言ように呟いている。


「ぐおおクソッ押し返せねぇ。」


「ねぇなんて言おうとしたのねぇ・・ねぇ何を言おうとしたの?」


その細腕からは想像できない膂力でナイフを押し付ける、涼は左手をホルスターに伸ばそうとするが、彼女の手が蛇が絡みつくかのように涼の手首をとらえ逃がさない。


「おば・・何かな深井君?」


「おば・・おば・・零のおバカさんって言おうとしてました。」



涼の半ばやけくそ気味の叫びが轟くとピタリと彼女の動きが止まった。


「そうなのやだっ私ったら勘違いしちゃった。」


そう言ってマチェットを持ちあげ、一歩後ろに下がり涼に空いている左手を差し出し立ち上がるのを手助けしようとするが、涼は断り急いで立ち上がり彼女から距離をとる。


「ごめんなさい、私の事おばさんなんて失礼なこと言おうとしたのかと思ってつい。」


すると彼女の白衣から着信音が流れ、彼女はいそいそと自分のスマホを取り出しこちらに断りを入れ通話を始めた。


彼女の意識が電話に向かい涼から外れたのを確認し、零は涼に近づき言葉を掛けた。


「お前が近接戦で抑え込まれるなんてな。」


「バカヤロー!見てないで手を貸せよもう少しで俺のプリチ―な顔に傷がつくとこだっただろうが。」


「そういう問題か?いや正直、空気に飲まれた。」


「勘弁しろよ。作戦前に味方に殺されそうになるとか。」


涼は少し顔を青ざめさせげんなりとしながら言い捨てながら、先ほどつばぜり合いを演じたナイフを刃こぼれがないかしげしげと確認していた。


「お前も空気に飲まれるとあんだな、悪魔さん。」


「そういうお前も、訓練さぼりすぎなんじゃないか、あんなに簡単に抑え込まれるなんてな死神。」


「お前なぁ、あの・・・・やばさは、やばいって。」


涼は言葉をいったん会話を切り風見女史が電話中かを確認し、後半声のトーンを下げ言葉を続けた。


「語彙力が、下がっているぞ」


「ごめんなさい、二人ともちょっといいかしら。」


2人が会話をしていると風祭から不意に声を掛けられた。


いつの間にか電話が終わっていたのだろう相変わらず前髪で表情は、分かりにくいが顔を2人の方に向け声を掛けていた。


声を掛けられた瞬間、零と涼2人とも肩をビクッと肩を震わせ即座に拳銃を引き抜こうとしホルスターに手をかけた状態になった。


「ごめんなさい今すぐ戻らなきゃダメみたい黙って出てきたから、それじゃ帰ります。少し暴れてごめんなさいね。」


そう言って彼女は小走りで立ち去って行った、あれが少しなのかと二人は胸中に何とも言えない思いが渦巻いたが考えても無意味かと思い思考を中断し本来の目的に頭を切り替えた。


「さて、いくか。」


「おう、んでこれどうする?」


そう言って傍らにあったケースを持ち上げ零の前に差し出した。


「ほんと、無駄に重いなこれ持ってかないと俺言っちゃうかも。」


楽しそうに意地悪な笑みを浮かべ零にケースを押し付けてくる。


「ちっ、わかった。」


零は思わず舌打ちし涼から引っ手繰るようにケースを受け取り中から大型自動拳銃グリフォンを取り出し付属したホルスターに突込み太ももに取り付け歩き出した。

地下遺跡入口ブルーシートに囲われ外から見えないようになっている。一部入口として開けられた部分から中に入ると投光器など十分な明るさを保った空間にぽっかりと地面に大きな穴が奈落の入り口のように開いておりそれが今回の騒動の遺跡の入り口でありその近くに零達2人をトレーラーに案内した男性を含めた数名が待ち受けていた。


「準備は出来たか?準備運動も済ませたようだが問題ないな?」


先ほど警官との仲介をした大柄な男性が二人に話しかけてきた。


「あぁおかげさまで体は、十分温まったてるよ。」


涼が顔を引きつらせながら応対した。


「さて、作戦を説明してもよいかな?」


先ほど二人をトレーラーに案内をした壮年の男性が苛立ちを含めた声を上げていた、目を瞑りながらこめかみあたりが引くついている。


「作戦自体は、至ってシンプルだ遺跡内に侵入し生存者を救出その後入口を封印する。君たちが遊んでいる間も状況は、切迫していくんだその事を理解してほしいものだな。」


先ほどの風祭女史とのひと悶着のことを言っているのだろう、2人にとって想定外のことではあったが壮年の男性の嫌味に一瞬涼の顔に青筋が浮かぶのを零は見逃さなかった。


「いると思うの生存者?おめでたいね。」


この場いる者を嘲るように涼は吐き捨てた。


「なに!」


この場にいる全員の鋭い眼光が涼に集まるが本人は、悪びれることもなくへらへらとした笑みを浮かべて意に介した様子はなかったが、その眼は酷く冷たい光を宿していた。


「ったくどいつもこいつおめでたいな・・」


「人間は、希望に縋る生き物だ俺はそれを・・悪いこととは思わない。」


涼の苛立ちを込めた言葉を零が涼の肩に手をかけ言葉を遮るように語りだした。


「お前もそういや大概ロマンチストだったな。」


涼は零に顔を向け少し呆れた顔をして溜息のように息を吐き他のメンバーに向き直った。


「すまねぇ。謝るよそれで中に入るのは俺とこのロマンチストでいいわけ?」


「いや、我々も同行する。」


涼の質問に大柄な男性が一歩踏み出しながら答えそれに続くようにこの場にいた3名一歩前に出た。


「こちらからは彼ら4名とプラス君たち2人が中に侵入する。」


「それと生存者についてただが約一時間前に通話が途切れていこう連絡はない。」


壮年の男性が渋い顔で言い放つ。


「そういえば自己紹介がまだだったな俺は」


「必要ない。」


自己紹介を遮り零が一言で切り捨てた。その途端に涼以外は顔を強張らせるがそんなことどこ吹く風のように涼はケミカルライトを数本取り出し奈落の口のなかに放り込んだ。穴から2メートルほど落下しカツンっと軽い音がしライトが転がり石畳の床とあちこちに血を引きずった跡が奥の通路から伸びている。


「よっと。」


一言掛け声をかけると涼は、掛けられた梯子を無視し軽い身のこなしで穴へ飛び降り着地を決め振り返る。その顔面目掛け零はリュックサックを投げつけた。

ぶつかる寸前で涼は、リュックを受け止めるがその姿を見た零は舌打ちをし自分も穴、遺跡の入り口に飛び降りた。


「ライトは、各自で行くぞ。」


「あいよ。」


零の問いに涼が軽く答え最終の装備のチェックその間に上から梯子を降りてきた隊員が床に続く血痕や放棄された機動隊の血に濡れたヘルメットなどの装備を見て息を呑んでいた。


「おいっ付いてくるならぼさっとすんな。」


改めて凄惨な現場を直視し固まってしまった、隊員に涼が発破をかけこちらに呼び戻す。


「うしっ行くぞ。」


「うれしそうだな。」


「気のせいだろ。」


そう言ってピクニックでも行く気軽さで零を先頭に高さ2m強横2m弱の横穴へと進みだした。

一行が歩き出すとすぐに下りになり2~3mも降るとまたまっすぐの道になりその道を100mほど進んでいたその間涼はおそらく世界で一番有名な考古学者出てくる映画のテーマソングの鼻歌を口ずさんでいた。


「おいっ作戦中だぞ静かにしろ。」


涼の後ろの隊員が我慢できなくなった様子で苛立ちとともに言い放つ。

その言葉を背なかで聞き流し零と涼は歩みを続ける。


無視された隊員は涼の肩を掴もうと手を伸ばす。


その瞬間、先頭を行く零が左手を握って持ち上げた動くなというハンドサインを行い認識した全員が動きを止め前方へと神経をとがらせる。


前方に光が漏れているどうやら横に通路が分かれているらしくその分かれている先から光が差し込んでいるらしかった。


一行は光の手前まで歩みを進めその先を窺った何かを咀嚼するかような音と何か肉を叩きつけるような音が聞こえる中を探る為に零はスマホだけを突き出し数枚写真をとった。


写真を確認するとそこには現実のたがが外れたか光景が映し出された。


ピントが若干ずれているがそこは部屋のようになっており部屋の上部より薄い光が部屋を包んでいるそれより目を見張るのが部屋に居座るモノだった。


三体の人型のモノ、その姿は人型ではあるが人間ではなかった、大きく裂けた、光沢のある皮膚いや鱗、何を映しているかわからない眼、魚を無理やり人の体型したかのような化け物がその通路先にいた。


2体は食事中なのだろう胡坐をかいたような体勢で何かを口に運んでいる2体と少し離れた位置にいる個体は何かに覆いかぶさっているその何かが分かった時同伴した隊員の中に口を押さえる者や目をそむけるもがいた。


それは人間の女性だった生きているのかは距離もありこの静止画では判別がつかなったが化け物に犯される姿に零は自身の持つ銃のグリップを強く握り直し意識を化け物がいる部屋へと向き直した。

「俺がこの発情してる奴をる・・あんた飯食ってる奴を頼むスタンを投げ込んで一気に終わらすぞ。」


涼は冷静にそれぞれに役割を振りスタングレネードを取り出し準備にかかるそのさなか大柄な隊員が奇声を上げ飛び出した。
















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