ダンジョンⅡ
人気のない郊外の山道を1台の乗用車がは走る、中には運転席には口を一文字に結んだサングラスをかけた少年、助手席対照的に軽薄な笑みを浮かべ足を投げ出して運転席に話しかけている少年
「おいおいおいなんか人気がなくなってるけど道あってんのか?間違ってましたなんてやめてくれよ。」
「うるさい人気が多かったらそれはそれで問題だろうがもうすぐ指定された場所だ、黙って座ってろ。」
むっつり顔の少年、零はハンドルを握ったまま助手席に顔を向けずにイラついたように話す。
「どうやら、道はあったいたようだぞ。」
零の視線の先には日本人なら一度は目にしたことがある紺色の制服を身に着けた人物が誘導灯を片手に山道の脇道に佇んでいた。
零はその人物がいる方向へとハンドルを切ろうとすると警官が誘導とをかざし停止するよう呼びかけてくる。
「ちょっと、運転手さんここは急遽通行止めになったから引き返してあー運転手さん若いね悪いけど一応免許書出してくれるかな。」
若い警官は零の見た目が気になったのか無免許運転を気にし免許書の開示を求めてきた。
しかし零は素知らぬ顔で応対した。
「悪いが俺たちはこの先に用があるんだが連絡がいってないか?」
「いいから免許出してくれるかな随分若いけど無免許じゃないよね?」
警官は顔に疑っていますと書いてある言わんばかりだ、零の言葉に耳を貸すそぶりもない。
「俺たちが来ることがなんで連絡言ってないんだよ毎回、毎回めんどくせぇなぁ。」
涼は苛立ちを隠そうともせずぼやく
「すまないがここを通してくれあんたも始末書を書きたくはないだろ。」
零は淡々と自分たち話掛ける若い警官をまるで諭すかのように口調で警官に応答した。
「いや誤魔化そうとしてもダメだよ免許書だして。」
警官とやり取りをしていると警官の後ろに黒い戦闘服をまとった男が歩み寄り警官の肩に手を置き話始めた。
「すいません 彼らは我々の関係者です。中に通してください。」
警官は一瞬驚いて自分の肩に手を置く人物を見やりながら
「し、しかしこの二人はまだ未成年」
「問題ありません 道を開けて下さい。」
警官の言葉を言い終る前に戦闘服を身に着けた男の力強い言葉で断ち切られた。
「さっ どいたどいた。」
半ば無理やりに警官を脇へと追いやると戦闘服の男は顎をしゃくって進めと促した。
「感謝する。」
「あんがとよ。」
警官はまだ何か騒いでいたが零と涼は各々感謝の言葉を告げ立ち入り禁止の通行止めの看板の先へと舗装のされていない道に車を徐行で進めた。
しばらく進むと開けた場所にでたそこにはいくつかのテントが設営され先ほどと同じような制服の警官や救急隊員なかには機動隊と思われる人々などがせわしなく走り回っていたそれはまるで。
「野戦病院か前線基地といったところか。」
「そんなとこだな。」
零がぽつりと溢した言葉に何の感情もなく涼も呟く、そんな二人の車に対して先ほど二人の車を通すように取り計らった男と同じような戦闘服と零と同様の黒いスーツの一団を見つけ車をそちらに向けた。
2人は黒ずくめの集団の近くの手頃なところに車から降り集団のもとに向かった。
「すまない 応援感謝する。」
黒の集団がこちらに顔を向けおそらくそ中の代表的な立場なのだろう壮年の男性が二人に話しかけてきた。
「おいっス元気にしてる。」
「状況は?」
ほぼ同時に素っ気ないない言葉と緊迫した現場に不釣り合いな明るい言葉が放たれた。
「状況は良くない機動隊がこちらを無視して再突入して多くの負傷者をだした近隣の救急車だけじゃ足りんぐらいだ比較的、軽症者をここで治療してるありさまだ。」
涼の空気の読めないテンションに少し顔を引きつらせたがすぐに表情を戻し状況を2人へと説明した。
「なんでケーサツが出しゃばってんの?もうこっちの領分じゃねぇの?」
涼が興味なさげ男に訊ねた、男は少し困ったようにこめかみあたりを指で軽く掻きながら返答した。
「県警か警視庁かはわからが上からの指示だろう向こうも立てるべきメンツがあるのだろう。」
「はっアホ草」
涼は心底バカにしたように吐き捨てた。
「メンツの為に死ぬのは下っ端か。」
零は冷たく言い捨て負傷者の救護の為に奔走する人たちにサングラスの下で視線だけ動かし状況を確認し手を拳へと変え自然と力を籠める、その握りしめられた拳を視界の端に見つけた涼は軽く笑い相棒の背中を軽く叩いた。
「へっ 熱くなんなよ。」
「・・・なんのことだ。」
「まぁいいか んじゃ仕事の準備に掛かろうか装備はこの車の中?」
涼は慣れた様子トラックのタラップ上り扉へと手を掛ける。
「あぁ本部から君たちの装備一式が積んであると聞いている。」
男もうなずきながら返答を返したが涼は返答を聞く前にすでに上着を脱ぎながらトラックの中へと足を踏み入れていた。
「詳しい説明は、準備が終わってから行おう。」
「頼む。」
零は男からの言葉に短く答えると涼に続いてトラックの荷台に入っていった。
トラックの中は壁に様々な銃器が掛けられておりさながら武器庫といった様相だった。
2人は備え付けられていた棚から戦闘服を引っ張り出すと慣れた様子で手早く着替え始めた二人の体は引き締まり余分な肉など一切ないある種日本刀のような磨き上げられた美しさがあったまた、体の各所に刻まれている刀傷ややけどの跡銃傷と思われるキズが彼らが多くの修羅場を経験していることを物語っていた。
着替えが終わると素早く壁に掛けられているカービン銃を手にしかなり手慣れた様子でよどみなくスライドを引くなど点検を行い弾倉を抜いた状態にしスリングを肩に通した。
「今回なんだと思うよ?」
「なんだとはなんだ?」
涼がタクティカルベストに予備弾倉を詰め込みながら訊ねた。
「バカ質問に質問で返すなよこの話の流れで分かんだろ、今回のお仕事の相手だよ。」
「さぁな鉛玉が好きならいいんだが。」
零は自身の拳銃のスライドを引き初弾を装填するとロックをかけ弾倉を抜き一発9ミリを押し込むと弾倉を拳銃に戻しホルスターへと戻しながら答えた。
「お前も好きだねぇベレッタの方が弾が多いだろうに。」
そういって零が持つ拳銃に視線を向けるブローニング・ハイパワーそれが彼が持つ拳銃の名だった、彼らが所属する組織の正式採用されているのはベレッタなのだが零はわずかに装弾数で劣るのだが彼は固くなにブローニングを使い続けている。
「俺はこいつを使って生き残った、ブローニング最高。」
「へいへいそうですか。」
零は淡々と述べ、涼はその反応を予想していたのか肩をすくめて見せた。
涼は、視線を自分の前へと戻し自身の愛用の2丁拳銃を腰の後ろのホルスターの差し込んだ。ベレッタ93Rを改造しストックを廃止、バレルの延長、グリップ形状の変更、ピカティニー・レールの追加、左手用に排莢口の変更が加えられほぼ趣味といっていい。
「しかし、お前のは懐古趣味っていうのか?」
涼は半ば呆れた様子で零に言葉を投げかけたそんな言葉も気にせずショットガンに弾を込めていた。
「なぁ零、普通にこいつにオプションのショットガンつけた方がよくないか?」
そういって自身の持つⅯ4を少し持ちあげて見せる。
「俺はこっちのほうが使いなれてる。」
そう言ってショットガンのスライドを操作しポンプアクションの小気味いい音を奏で不敵で獰猛な笑みをうかべ零は答えた。
「そうかよ。」
涼も口の端を歪ませ零と同じような不敵な笑みをこぼした。
準備を終え扉を開け先ほど話をしたメンバーの元に向かおう歩き出してたが不意に後ろから声をかけられ思わず振り向いたそこには、長い髪を前に垂らし白衣を纏った女性がアタッシュケースを片手に持ち猫背のせいか前かがみ気味に立っていた、その相貌はさながら日本の有名なホラー映画の登場人物のようだった。
「よかったまだ間に合って零君の専用銃調整が終わったから持ってきたのよ。」
前髪によって遮られているが目が異様に輝いているように見えるのは錯覚なのか本当に光っているのか恐ろしいので二人は考えないようにした。
彼女の名は、風祭理恵2人が所属する組織の武器・弾薬の管理を任された人物でありその風体から貞○のあだ名が付けられている。
「頼んだ覚えがないのだが・・・」
「いいのよ私が勝手に用意したの。」
かなり食い気味に彼女が答えたそして、訊ねてもいないのに彼女は近場にあった台の上の物を薙ぎ払うかのようにして下に落としアタッシュケースを台の上で開き恍惚の表情で語りだした。
周りから台から落された物を拾い集めたり動作の確認をする人達から「何をするんだ」と非難の声が上がったが彼女には全く届いていないようだった。
「デザートイーグルをベースに改造を加えたわ名付けてグリフォンよまず弾薬は、50AE弾の改造弾、弾は残念だけどマガジン一つ分しか用意できなかったわごめんなさいね、銃身の延長とそれに伴い各部品の延長に反動軽減の為にコンペンセイターを取り付けてるわ零君はあんまり好きじゃないかも銃身の下部にピカティニーレールを取り付けてるからオプションでグレネードランチャーとか付けれるわ後銃身に希少金属を使用したからあなたの能力にも耐えられるはず、たぶん、恐らく、推測の範囲内なら・・・まぁ威力はバツグンよ・・・たぶん。」
一気にしゃべりだしたが最後の方は尻すぼみになっていた。