表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/98

男か女か?

「私が何度も転生を繰り返したのは、今日、ここでご主人様に会うためなのです」瑞希(みづき)は涙目をキラキラさせ、そう言って俺に微笑んだ。


 引き込まれるような、無垢(むく)な瞳だった。

 マジでこわいわ。


 妹の祐実もあまりの寒さに、体を抱いて震えていた。


「転生なんてオカルトあるわけないだろ」俺はうんざりして、投げやりに言葉をかけた。

 瑞希は俺の言葉に、傷ついたような表情。

 いや、ホントの事だろ。


「お前ひくわ。もうしゃべんな」祐実が怒りと呆れの混ざった言葉を吐く。「気持ち悪。お前そんなんじゃ友達いないだろ」


「いるもん!」


 同じくらい痛い友達が?


「んん? お前もしかして、うちの中学の2年か?」祐実は何かに思い当たったように言った。

 瑞希はビクッとする。


「知ってるのか? 祐実」

「有名人じゃね? 幽霊が見えるって言ってる嘘つき女」


「嘘じゃない!」瑞希は怒気をのせて叫んだ。

 うっわ、引くわ。


「お前バカだろ」と祐実。

 俺もそう思う。


「中学にもなって、何言ってるんだ。ガキか」

 祐実の冷たい目で見下され、瑞希はうつ向いて黙ってしまった。


「もう帰れ。で、幽霊が見えるなんて、痛いこと人に言うのやめろ」


 こうして、俺の頼りになる美少女の妹は、自称転生した元従者を追い払った。


 俺と祐実は、打ちひしがれて、トボトボと帰る瑞希の後ろ姿を見送る。


「祐実」

「何? バカ兄貴?」

 ヒドイな。いつもは兄さん呼びだろ?


「あいつ、男? 女?」

「そこかよ! 女だろ、どう見ても!」



 俺たちは夕暮れの住宅街を二人並んで歩いていた。

 家まではそう遠くない。


「さっきの子、睦瑞希、て名前らしい。知ってた?」俺は歩きながら、祐実に話しかける。

「噂しか知らない。2年生なんか知るわけないだろ」

「じゃあ、岸田くんも知らないか」

「誰だよ、それ」

「多分、さっきの子と同じクラス。イケメンらしい」

「いや、だから知らないって」

「岸田くんが幽霊に取り憑かれてるって言ったらしい」

「何でそんな事言うかな? かまってちゃんなの?」

「それで岸田くんを好きな女の子たちに、吊し上げられていた」

「バカなんだな」祐実は苦々しげに、そう吐き捨てた。


「興味ない? イケメン」

「はあ?」祐実が呆れたように俺を見る。「バカなの? 兄さん」

 よかった。兄さん呼びに戻った。



「あ、瑠璃(るり)姉!」祐実が急に声を上げる。


 家の近くで見知った顔を見つけた。


 俺たちの幼馴染みの、三塚(みつか)瑠璃。俺と同じ高校2年で、俺と同じクラス。


 クラスで人気のスポーツ少女だった。

 こっちは俺基準の評価じゃなくて、クラスの評価な。


 瑠璃は俺たちに気づくと、たおやかな微笑みを返した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ