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神は言う。天界にて

第三章プロローグ前半です。

お待たせしました。

 天上、遥か遥か上に至る神界という場所。当然ながら多くの神がそこにいて、それぞれ自分の物語やら、自分の世界やらを語らせたり、自慢したりしている。神様というのはそう言ったものの集合体だ。彼らは傲慢ちきで、自分たちが最高で、至高であると思っている。


 なぜならそれは、神というものが「とっても偉い存在」だからだ。世界をちゃんと最初から作ったのも神。故に神は偉い存在であると、自負している。


 それ自体は、システム的には間違っていないと思う。少なくとも多くの神は、世界のために頑張っている。自分たちの下にたくさんの世界があって、それを頑張って統治している。歪みがあるなら潰す。加護を人間や動物に与え、力として行使する勇者。そのシステムの根幹を担うのも神だ。彼らは魔王という歪みを糺すために神が遣わした存在である。


 故に神はとっても偉い存在として、この世から認知されねばならない。それが、神界にすむ神。絶対なる神の御意思なのである。


 そう、神々は皆……思っていたのだが……。


 どうやら、そうではなさそうなのである。




「では……定例の会議を始める」


 低く荘厳な声で、一人が言った。


 円卓。丸っこい形のテーブルに居座るものが数体。どれもこれも、渋い表情をしている。苦虫を嚙み潰したような表情というのはまさにこのことか。まるで大事なものを邪魔されたかのような、屈辱を味会わされたかのような。そんな感じがしていた。


 彼らは神界にいる神の中でも。上の立場なのだろう。そんな彼らが……集まっている。それ即ち、異常事態なのだろう。たとえ定例、と謳っていても。


「お、お水です……ひいっ、失礼します!!」


 円卓に水を置いた少女……侍女だろうか。彼女がすぐに恐怖を感じながら逃げ去っていく。強すぎる威圧だ。見られたわけではない。瞳で射抜かれたわけではない。その場にいただけなのに、逃げ去ってしまうほどに恐ろしい威圧だったのだ。それ即ち、この場にいる彼らが、相当恐ろしい力を持っているに他ならない。


「会議における目下の課題……それはただ一つでは?」

「そうだ」


 隣の者より質問を受け、はじめの声の主は一言だけ言った。その声に察したのか、ははあ……という声を漏らして、質問者は呟く。


「確かにこれは、非常に大きな問題になりかねないですねえ」


 その言葉とともに、彼らは一斉に目線を向けた。目線の先には、ひとつの大きな画面があった。そこから流れている画面を見つめ……。神々はため息を吐いた。


「これは対処しなければならない問題でしょう。一刻も早く」

「確かにこれは、我々神へ疑問を呈すること。侮辱することに他ならない」

「許してしまってはいけないのでは? 神界や天上天下の者たちに悪影響を及ぼす」

「そうだ! この映像は未来永劫、消え去られなければならない!」


 声が聞こえる。男女様々な声だ。彼らが一つの画面、一つの流れ映像。それらを見つめて議論している。


 いやこれは議論というが、実質はただの非難の応酬なのだろう。彼らの答えは決まっている。目の前のこれは、許してなるまい。許されるものではない。そう考えるがゆえに。


「潰すしかありますまい!」

「然り!」


 神の中では、潰すことですでに決まっているようだった。


 しかし。


「……静かに」


 再び荘厳な声が聞こえた。それが聞こえた瞬間に、皆が押し黙る。完全な静寂がもたらされた。それは、この場にいる神の中で。彼がそれほど偉く、さらに厳しいというものの証左。


「……Gotubeなるものが生まれて、早何年経ったか」


 そして淡々と、低く低く話し始めた。


「その時間は我々には推し量ることなどできないが、そもそもの話……彼らGotuberの本質は我らへの不敬にて……相容れぬものである。私も、皆も。それは全力で否定する」


 その言葉はだんだんと、Gotuber、ひいてはGotubeの批判へと入っていった。全力で否定する。神において、これは不敬である。そうはっきりと断言したのだ。


「その不敬も、今回ここまで来たということだ。下界においてGotuberが起こす騒動も……一線を越えたということなのだ」

「だとしたらどうしましょう? 私たちの力でしたら世界ごと消すことだって可能でしょう。神士も使えましょう」

「そうだ。不敬を招く世界、不敬を招くものなどいらない!」


 一部の者たちが盛り上がる。不敬など許してはならないと。


 しかし、荘厳な声は再び、口を開く。


「まだ、まだ早いと考えよう。世界ごと崩壊させるのは、最後の手段にしたいものだ」

「……そう、ですか」

「不満か?」

「い、いえ……特に問題ありません」


 彼はその一言で、他の神たちを黙らせた。この神は、荘厳な声、荘厳な雰囲気。それら全てを使って、この場の雰囲気を掌握していた。その威圧は、誰のために向けられているのか。哀れな侍女のためではなく。神々のためでもなく。向けられているとすればそれは……。この場所全体に、向けられているのだろう。それほどまでに、この力は絶大で、恐ろしいものなのである。


「Gotuberもここまで来た。それがしれただけでも今回は良しとする」

「ええ、そうでしょうね……皆様もそうでしょう?」

「……異議はなし」


 男神は改めて断言した。しかしこうも続ける。


「だが、剣は納めるつもりはない。神としては……無礼なものへ剣を収めてはいけないのである。それが私の現状の考えである」


 その言葉に異議を求めるものは、誰もいなかった。


「……手は打ってある」

「本当ですか?」


 彼は静かに言う。


「……此度開かれるという、あの祭典を使おう。私の弟子となりたがっているもの。奴を出す。優秀な神だ。きっとやってくれよう」

「なるほど……あれを使うのですか」

「ああ、きっと問題のやつも出てこよう」


 神々は思い出す。あの祭典があるなら、使うべきだ。忌まわしき祭典が、近々やるじゃないかと。


「あそこまで注目されているのだ、私も含めたわれわれが、ここまで危機を発するほどにな、あの者は必ず出る」

「そしてその時に……な」


 そういうと、男は何かを発した。


「それは……!!ひい!!」


 叫び声と、ピカッと辺りが光るのは、同時。


──バリィィッ!! 光と音が爆ぜて、辺り一面を光らせる。雷霆。大量の雷。それが辺り一面を煌びやかに写したのだった。


「キントージェン・ファンタジア。忌まわしきGotuberの祭典。成しては成らぬことをしている、恥知らず共の祭典」


 低い声で、怒りのような声を告げる。辺り一面を震えさせながら、一言一言。しっかりとした口調で話す。


「神は偉大なり。それを乱すものは、あってはならぬ。そう肝に銘じておくのだ」

「当たり前でございます。我等絶対神は、間違いなくそれを認める所存……」

「その中でも最高神と謳われるゼーヴィア様、貴方は最も偉大な存在なのです。我ら絶対神、誰もその威光を疑いませぬよ」

「……よろしい。では定例会議は、解散としよう」


 その言葉を最後に、神々は散る。その場所にはただ一人。絶対神ゼーヴィアが残される。


「……しかし、私は……驚いているのだ」


 ゼーヴィアが目の前の相手を見つめ、呟く。


「……お前が女神であると? あり得ないな」

「使っているものも、その行使する力も……他の部分も。ただの女神ではありえはしない」


 画面の人物へ向けて、そう断言した。


「貴様の化けの皮を剥ごう。今回はその一助になるだろう」


 そう告げて、ゼーヴィアは目を細め……。


「最高神の名に懸けて……必ず」


──バリッッッ!


 雷が辺り一面を再び照らした。


 その光に照らされて、きらりと輝いたのは。金髪の女神。


 そう、彼らが見ていたのは……とある女神のGotuber動画だったのだ……。

はい。三章は神界の話になります。

さあ、物語は人から神へ……。

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