魔王と勇者達の総力戦②
『……愚かだ』
魔王ラクシャーサは侮蔑を隠し切れずに吐き捨てた。
勇者たちが剣を構え、叫ぶ。一団となって魔王や魔物たちへと挑んでいくその姿。闇より生まれ、闇より出でる者。それらが集まりゆく姿。奴等はそれを見ながらも怖気づかず。全力で挑んでくる。その姿に本気で嫌悪感を抱いていた。
世界の歪みたる魔王は、自分という存在しか許容できないがゆえに、それ以外の存在を本気で嫌悪している。下等な生物のことなど知ったことではない。
『……下らぬ。たった一つの策が崩れただけで彼らは喜んでいる』
そう言って心の中で嗤った。
魔王の闇。その霧を払う魔法。アレが作られて放たれたのは、魔王にとっては想定外だった。その心が少しばかり揺らいだ。狂ったのはあるかもしれない。だが、それが何だというのだ。心の中で断言する。
それで喜んでいる人間は、なんて愚かで下らなくて。下等なのだと。
『我らの有利は、なにも変わらぬのだ』
魔王は自らの体を翻す。
『どうせ我やその配下たる悪魔の力に、人間は、勇者は敗れるのだ』
そう小さく虚空へ言い放つ。それと同時にその姿が暗く、見えなくなっていく。魔王がゆっくりと、その場から姿を消していくのが見えた。
「アイツ逃げるよ! ズルいんだ!」
「大丈夫、ここで倒そうとは……思ってない!」
魔王が消えるのを横目で見つつ、勇者ハミルと戦士ミミットは話す。だがすぐにハミルの目は魔王ではなく、目の前の魔物たちへと向けられていた。優先順位は決まっていた。まずはこれから、道を切り開くのが先決なのだと。
「ここで魔王に攻撃は難しいから。まずは道を切り開く!」
「うん、ミミもそー思う!」
剣を構え、目の前の魔物へと狙いを定める。勇者の剣は、太陽に反射して、きらりと輝いた。その刃に呼応してか、目の前の魔物……棍棒を持つゴブリンのようなものが、攻撃を振るわんと飛び掛かってきた。細腕にもかかわらず、圧倒的な速度で振るわれる木の棒。だがそれを……勇者はよけず、目もつぶらずに。見据えた。
「やあああっ!」
ザンッ!!
勇者の剣が魔物の闇を切り裂く。横凪に振るわれたその剣が、闇から生まれたその体を闇に帰す。
数体の魔物が、すぐに勇者へと迫る。どれも鋭い爪、鋭い牙。普通の人間であればひとたまりもない。奴等もまた、声を発さずに、それが規定されているかのように。目の前の相手を殺しに来ている。
「来るなら来い! 僕は逃げない! 光の勇者……勇者ハミル!」
ひとつの剣で、数体の魔物の攻撃を受け止めつつ、切り裂く。突き上げる。吹き飛ばす。相手が数体で迫っても。その力はびくともしない。攻撃を放つたびに。魔物は消えていく。
「ミミも負けちゃいられない! ハミルが頑張ってる……!」
それを傍らで見ていたミミットも、全力を出す。手や足から放たれた光。それを纏って……叫ぶ。
「勇者の仲間にミミ、ミミットがあり! それに……カトレアにカザハナも! だから……負けるもんか! うああああああああああ!!!」
叫び声に魔物が止まる。その隙を見逃さなかった。
ミミットが消える。
いや、早く動いているだけだ。
高速移動。全力で前進して、走っているだけだ。そしてその速さのまま……気が付いたら、魔物の目の前にいる。
「『光玉……満点掌ぉぉぉ』!」
叫び声が響き渡った瞬間に、魔物が数体。上空へと吹き飛ばされた。その一撃によって、霧散していくのが見えた。
「っは、はぁ……っ。まだまだいける。頑張れる!」
霧散したものが晴れた瞬間。そこには。手のひらを目のまえに突き出しながら、息をする格闘家がいた。だがそれでも。疲労しているわけではない。勇者とともに、戦えるのが嬉しい。皆と一緒に戦えるのが嬉しいのだ。
だからこそ、勇者の仲間としてもっと頑張れるように。息を整える。
「次、だね!」
「うん……まずは道を切り開く。魔王へぼくらの剣が届くように!」
勇者とその仲間。格闘家の少女が目の前を剥いて小さく笑う。これは全力の戦いだ。
魔王をただ倒すのではなく。皆で力を合わせ、全てを出し切って戦い合う。それが一番、嬉しいのである。
「よっ……と!」
放たれた瓶から、風が生まれる、そこから解放された粉が、魔物たちを覆い……地に臥させていく。バチッ、バチィっと何かの音を響かせながら、さっきまでたっていた魔物は、すぐに動かなくなった。どんな敵でも、動かなくなればあとは消えるだけである。
「永田先生と一緒に考えたけど。やっぱりすごいな……。色々使わなくても。自分から毒を放つことができる」
ベルトにつけた幾多の瓶。輝美と一緒に編み出したそれの効き目を眺めながら、琥太郎は言った。麻痺毒だ。毒を風魔法に乗せる。ただ単純なものだが、効果は抜群だ。
投げて解放した瞬間に、その毒が目の前の相手にだけ降りかかるというもの。近づかずに一方的に相手を毒にできる。特別なものなど必要としない。琥太郎にとって僥倖といえるものだ。
「永田先生が言ってたのは……。シルフィード・マジック……。俺には言いずらいな」
「こたろー!」
その威力に浸っていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
鎧の騎士。大剣はどれだけの敵を切ったのだろう。そんな鎧の姿を見れば。誰が話しかけたのかは一目瞭然だ。
「来た。今度こそこたろーを守る」
「あたしもいるぜ。永田先生もがんばってんだ、あたしらもな!」
幼馴染と親友だった。二人が駆け寄ってきたのだ。
「しっかし、琥太郎も中々すごい事すんじゃんか。前も見たけどさ、動かないでも勝手に眠ったりしびれたり……」
「ナイフとワイヤー。あとは毒しかないからな。この技は便利だ。装填をその都度永田先生にやってもらわないといけないのが難点だけどな」
琥太郎には魔力がない。魔法使いないし魔術師になれるほどの力は持っていない。そもそも剣士の加護もない、オークの頭領でもない琥太郎が、自分でできることを探した結果がこの毒使いだ。
毒で相手の動きを阻害しつつ、ワイヤーで高速移動して攻撃し離脱する。今の琥太郎にはそれしかできないが、その戦い方が一番合っているといえる。
「……やらなくていい。戦わなくても、こたろーは絶対守るから……っていうといけないんだった」
「そうだな。一緒に立ちたいわけだからな」
「それは……勇者のを見て思ったか?」
「それもあるけど、やっぱり。仲間はいいなと思ったのさ」
勇者とその仲間たち。自分に足りないものを補い、共に戦い合う。絆を確認する。その姿は、琥太郎の目にとてもまぶしく映った。自分の周りにもいるからだ。
シエテに青葉に玲に輝美に……自分にもちゃんとした仲間がいる。それを再確認できたのが、かなり嬉しかったりする。
「だろ? 仲間ってのはやっぱり最高さ。あたしはオークの頭領として。あいつらを率いて知ってる。琥太郎や青葉たちももちろんそうだぜ?」
「……そう」
「そっけな!! いやでも……それが青葉らしいんだよな」
玲が突っ込む。まあ、よく考えれば。この三人は、高校で同じクラスになってからわりとずっと一緒な、いわば親友。青葉自身もそれは認めているのだろう。
「一番はこたろーだけど、それ以外もいいとは思ってる」
「そっか。……それならいいや!」
「いいのか」
青葉の言葉に玲はすんなり認めた。
「ま、それはさておいて……いろいろ戦ってるからさ。まだ戦いは続いているんだ」
「ん、私達が来たのはそのため」
玲が弓を、青葉が剣を。それぞれ構えてそう告げる。
「分かってる」
琥太郎もナイフに手をかけつつそう言って前を見る……。
次の瞬間だった。
「ア……アァァ!!」
呻くような叫び声。
琥太郎がそれに立ち止まるが刹那。
ギィン! と巨大な音を立てて。剣と何かがぶつかり合う。青葉の剣だ。反動で彼女は後ろに退く。
「何もないところから攻撃……もしかしてな」
「そうだったらいい。好都合。私が一番……倒したい相手」
剣を構えたまま、相手への敵意を隠さずに言う。
「ここは私が引き受ける」
「青葉?」
「アレ。私が斬るから。斬らなきゃいけないから」
止まったままの琥太郎に対し、青葉はそういう。
「私は……あいつを許せない。だから斬る。それが私の今の役目。こたろーには別の役目がある」
「……そうだな。そうだった……俺には」
青葉に言われた言葉で、琥太郎は答えを出す。そう、自分が、自分だけが持っているもの。アレがあるじゃないかと。
「俺にはあった。だから……」
一旦言葉を切る。
「勇者のところへ行く」
「……ん」
「暴走したら止めるのは任せておけよっ」
「頼む」
琥太郎と青葉、玲の三人は小さな笑みを見せた。
「よし……全て終わったらな」
そして……琥太郎は、二人に声をかけて……ワイヤーを飛ばす。そのワイヤーに乗って。勇者の方へと飛び出すのだった。
「……お出まし」
青葉が小さく呟く。その言葉通りだった。視界に、何かが浮かび上がる。
「……お出ましだ……そう、お出ましなのだ」
低くとも、狂ったような声で。そう告げるは。
「きちんと! 視認しろ!我のことを!」
ずいぶん余裕というものを失った、悲壮な姿だけれど。
「我はここにいる、ここに! ガーゴイルのアルケイオンは! ここにいるぞ!!」
確かにあれは、魔王の唯一無二にして最大の配下と名乗るもの。ガーゴイルのアルケイオンだった。
「(我が魔王よ)」
「(その言葉は一体なんだ……?)」
ガーゴイルは魔王の発した言葉に、衝撃を受けた。動揺もした。それほどまでに魔王の言葉が。自分の心を揺さぶったものだったからだ。
「(どうでも良いだと……? 全てが茶番だと……?)」
言い放った。我が敬愛する魔王は、自分のような一番の配下に聞こえるように。そう言い放ったのだ。
「(我の行動が……我が魔王にとっては茶番だったのか……? 意味のない行動の一つだったか? なら我は……我は……!!)」
それはまさしく、自己否定だったのだろう。自分の根本を敲く。折ろうとしている。大悪魔たるものは、自分が敬愛する存在。それからその言葉を投げかけられた経験などないゆえに。
「我はいったい……何者なのだあああああ!!」
敬愛する魔王の言葉一つで、全てが揺らぐものなのである。
「我が魔王よおお!!」
大ぶりな鋼の腕が、大剣を持つ騎士に襲いかかる。騎士はその右手をジャンプで交わしつつ、しっかり距離を取った。
「見えているのか、我が魔王……!! 我の行動が茶番で、茶番であると言うのなら……!」
鋼の棘……いや針だ。それを連発し、叫ぶ。狂ったように叫ぶ。
「目の前の相手を血祭りにあげ、その命を捧げ……!! 自らの証明を成して見せよう!! それが我の誓いなのだああ!!」
目の前の相手を叩き潰す。ひたすらに攻撃を。血祭りを、相手の命を潰す。壊す。その一心で、ひたすらに攻撃を加え続ける。それが自分の証明、唯一と叫ぶ。
まさにそれは、騎士……青葉にとっては悪魔に映った。暴走する脅威。ともすれば飲み込まれそうな、圧倒的な力。
だが。
「あんな奴に負けんじゃねーぞ」
後ろから声が聞こえた。それを断ち切るような、砕くような冷静な言葉。
「アレはただ哀れなだけだ。お前もそう思ってるだろ」
「分かってる。ただただ哀れなのも」
玲だ。彼女の言葉を聞きつつ、目の前の相手に対峙する。
ただただ怒りに身を任せるガーゴイル。それに比べて、青葉はひたすらに冷静だ。鋼の腕 怒りの剛腕。それらによる攻撃を、ひたすらに。ひたすらにひらりと交わしていく。
「我が魔王がそう言うのか、そう言ってしまうのかああ!」
無数の棘が放たれた。それに対して、青葉はゆっくりとしかし確実に前進する。棘は、当たらない。当てようとしているのはわかる。
「何も見えてない相手に……負けない!」
青葉がその剣を縦に振るった。鋼の身体が、思いっきり叩き斬られる。
「っが、あああっ……!」
よろけるアルケイオン。決定打ではないが、身体に傷が付いていた。
「我は……まだ! 我はそこにいる、そこにいるぞ!!」
アルケイオンの姿がぱっと消える。だがその体が消える瞬間。
「後ろだっ!!」
「……!」
玲が叫ぶ。その叫びに合わせるように、青葉が何かを周りにばら撒いた。
バシャン!
「な……!」
それが小さく音を立てると、アルケイオンが小さく声を出す。
「大成功だっ、姿は消えても、音は消せないみたいだな!」
玲はそう言った。その表情は嬉しそうな表情。
「……誤解を招くので追記」
青葉は淡々と言葉を返しつつ、振り向いて剣を振るう。
「消えて急に現れるのがあなたの能力だと思ってた。嘘で、本当は高速で移動してるだけ。消えている最中、玲の放たれた矢が刺さったらしいから……透明になる能力ではないと。私たちは思った」
そう言いながら青葉は袈裟斬りに刃を振るった。目の前の場所に、血が舞い飛ぶ。赤黒いその血は間違いなくアルケイオンのものだった。
「……人間が……我が魔王に献上されるだけの餌風情が……!!」
現れたアルケイオンは、膝をついていた。赤黒い血が、闇と一緒に流れ出る。
「我の体が崩れる……。人間などに、ここまで切り伏せられるとは……!」
人間に対する怒りと、魔王に対する狂信と失望。複雑な感情。それら全てがないまぜになって、激情は収まることがない。
「我が魔王よ……見ておられたら……我が奴らの血を捧げ、再び戻って行きましょうぞ……!」
「……いつまで魔王に従ってる」
「人間!!」
青葉が冷たく言い放つ。アルケイオンは逆上するように叫んだ。
「人間が我に答えるな、疑問を呈するな! 囀るな、何も、何も!」
「私が人間じゃなかったとしたら?」
「!!」
発狂が止まる。相手の言葉を噛み砕くように考えると、目を閉じて言う。
「私のこと。いつまで人間だと思っているの?」
「人間でないなら……そうか。貴様……いや、それで呼ぶのはよそう、貴殿は……!」
「そう。すぐ理解できるならありがたい。ちゃんとわかってくれると思っていた」
そう言葉を切る。
「私はあなたと同じ、悪魔」
そして彼女は、そうはっきりと言い放った。
「幼い頃に何かしらに巻き込まれ、人間界へ堕ちた私は、それからずっと人間として育てられた。だけれど一目会ったときわかった。魂が覚えてる。同族のことなど忘れるわけがない」
「……! そうか、そうかそうか! おお、おお……! 確かにそうだ! その姿には見覚えがある!」
青葉がそう告げる。
次の瞬間。アルケイオンの脳裏に、何かが浮かんだ。今の今まで忘却されていた。なぜか、今の今まで思いもしなかったものがある。
だが、唐突に浮かんだ。そうだった……と。そんな記憶があったと!
「マジか、青葉。お前マジか!? 確かにお前はちょっとぐらいは、いや随分と不思議だったし、イタズラとかよくされたし……!」
その傍で玲がさらなる衝撃を受けていた。友人が!? 本当か!? 信じられない。ただその兆候はあった……と思う。
玲を置いていって、そんな言葉は続く。
「そうだったか、それだったら納得がいく! いいや、納得しか感じられないものだ! 我が傷つけられ、一方的に嬲られる相手……。我が魔王を除けば! 同じ心を分けた悪魔でしかないのだ! そうだ、そうに決まっている!! つまり貴殿は……!」
アルケイオンは納得したかのように叫んだ。そして全力で感動する。
嬉しそうに頷き、納得するその姿を見て、青葉は小さく微笑んで、手を伸ばす。
「そう。私は……あなたの生き別れた姉。その名はアルリーヴル」
そう言って、ゆっくりと近づく。
「ようやく会えた。さあ、こっちに来て。魔王に従うのも、ちゃんとやめてほしい」
もう、アルケイオンには目の前の相手がそう見えていた。
その言葉に心を打たれたように。アルケイオンは立ち上がり、歩き出す。
「会いたかったのは、我も同じよ……! 生き別れた我が姉よおおお!」
腕を伸ばす青葉へ、悪魔は歩く。その腕は、人を抱きしめるため。ただ、その怒りなど無くなったのは確かだった。その姿を見た青葉は……ただひたすら待っていたが。次の瞬間。
……ゾブッ。
鈍い音が響く。
それは肉を切り裂く音。
悪魔の胸。そこにある核を、刺し穿つ音だった。ゴボッと口から赤黒い何かが漏れる。
「……我が姉……それは一体……」
目の前には確かに、同じ姿のものがいた。自分のことを、自らの姉と告げるもの。だからこそ……悪魔たる自分は。本気でそう思っていた。
だが実際はなんだ? 目の前の相手は……剣で自らを貫いている。
その優しい笑みが、表情が。視界が、薄れていく。なぜだ。なぜだ。なぜなのだ。
「……わが、あね……わが、まおう……」
目の前の相手と。敬愛する我が魔王。片方はその身を傷つけ。もう片方はその魂を傷つけた。
どちらにも傷を負わされたのだ。だったら、どちらを信じればいい? なぜ誰も教えてくれない?
教えてくれ。教えろ。
結局のところ。 私はいったい……何者なのだ……。
そう考えたのが。最後だった。
何も納得できないまま、赤黒い血を吐きつつ……その姿は闇へと変わり、消え去る。
自らを規定するものを全て無くした悪魔は。考えられないまま、形が崩れて。何も残らなくなったのである。
「お、おわったのか……?」
目の前で大剣を丁寧にしまう青葉。それを見て玲が小さく問いかける。
「……終わった。多分」
「そっか……」
そう静かに、玲は息を吐く。だが、すぐにどっと疑問が湧いてきた。いてもたってもいられず、聞いてみる。
「しっかし、驚いたよ……お前本当は人間じゃないってさ……それが一番びっくりさ。いや、驚いてるのは驚いてるけど……よく考えてみたら実際そうっぽかったりしたけど……」
考えがまとまらず、ぐだぐだと言葉を言い連ねる。
そんな玲の方へと振り向いて、青葉は一言言う。
「……嘘ついた」
「嘘かよ!?」
サラッと言ってのけた。即興すぎるし、意地悪だろう! と叫びたくなった。
「……嘘や意地悪は人の真骨頂。魔王の言葉に簡単に騙されてしまう相手なら、おそらくその嘘は的面だと思ったから」
「………」
お前の意地悪はシャレにならねえ。
玲はそう心の中で思った。よく考えたら、高坂青葉はそういう人物だった。自分の知ってる青葉はいたずらっぽくて、至極丁寧に人をからかって。それでいて……。他人をしっかりみている。そんな人物だった。
そんな彼女の被害をちょくちょく受けている、単純馬鹿な自分だから、感じられること。
だからこそ……玲は小さく。されどしっかりと。一言、ポツリ。
「嫌われるから琥太郎にはやんなよ?」
「やらない」
そう告げてやったのだった。
総力戦その2です。
今回にてアルケイオンは無事倒されました。
ずるいと思ったけど、悪魔とは純粋なものなのです。
最初に嘘をついた魔王が悪いのです。
次魔王戦です。
そして……??




