hello,Gotube.
前書きもあとがきも思いつかないダメ作家です。
シエテと一緒に成長できたらいいかなと思っています。
この世のどこかに、神界、と呼ばれる世界がある。かつて限りない退屈に満ちた、果てしなくつまらない世界と形容されたそこは、革新が起きたことで今はもうある程度退屈を紛らわすことができるようになった。なにが起きたかって? 退屈を紛らわせるものといったら、一つしかないだろう。神様だって、見ているものは見ているのだ。
これは、そんな退屈を紛らわせるようになった者たちの物語である。
そして、その退屈に付き合い、振り回されるようになった者たちの、だがしかしそれでも……哀しみ、例えば自分たちが元あった世界から勝手に切り離されたことに対する苦悩、過去の後悔や苦痛などは実はあんまり感じられない、いやむしろちょっとばかし羨ましさや嬉しさもあるのではないか? とさえ思ったりできてしまうような。そんな物語でもあったりするのである。
「レディース・アンド・ジェントルメン! みんな―やってるかい!? 今月もやってきたよ。GoTubeマンスリーアワード! 超クールで超ホットなチャンネルがバンバンやってくるから、焼け死なないように注意だ! それではさっそくレッツチェケラ!」
広々としたホールの中、トランペットの音に合わせて嬉しそうな声が響いた。その声に合わせて、拍手の音も大きくなる。画面の中から声を上げるのは、アフロ姿の男。こういうお祝いの場所も相まって、大きなマイクがしゃべっているように感じられる。
そして、そのアフロ男に沿って流れるコメントは、恐らくは、それを端末で見ている者たちの、祝いのコメントであり、また自己主張でもあった。
そう、ここは全世界のものが見る動画の中。生の映像が画面に映し出され、それによってどこにいてもさまざまなものがみられるようになっている。つまりそれは、直接見ることができない者たちにとって、格好の舞台であり、籠るための巣でもあったりするのだった。
動画サイト、GoTube。その誕生は定かではない。けれど、その名前が会話の中で出現した時には、すでには神々の中に流行として蔓延していた。
それはそうだ。神というのは、そもそも最も物欲センサーの発達した存在である。いくら何でも、つまらない神界に革命のような事象が起きて……。飛びつかない神など、いるわけもなく。暇つぶしに作り上げられたGotubeの動画が、何百万回、何千万回も再生されていく、空前絶後の娯楽バブルを生み出していった。
そんな世界が作り出されてしまえば、バブルに乗っかって生きていきたいと思う神だって、存在するわけで。Gotubeで生計を立てるもの。すなわちGotuberがあらわれるのも、そう遅くはなかった。
そして、この話というのは……。そんなGotuberになった、とある女神から始まったりするのである。
あとがきが思いつかない病です。




