表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/34

仲間だったからこそ

 あくびが出るぜ、全くよお。全方向から来る枝?を、スパンと輪切りにしてやると、メウルの野郎が声あげた。これが「ぐうっ、」なんつって、痛みが通った感じがしたな。枝一本ならメウルの野郎も涼しい顔をしてたけど、数が増えたらダメージあるな。


「何だよおめえ、ぐうってよ」


 すかさず俺は煽ったな。さらに鼻で笑ってやる。「フン」っつって見下したらば、メウルのヤツは苦い顔。木のバケモンになってよお、目つきは一層ギラギラしてるるが、脂汗でも出てるみてえな、キツそうな顔もしてやがる。こりゃあ適合しきってねえな。


「メウル、おめえ馴染んでねえな」


 一言言ってやったらば、メウルが歯ぎしりしたのが分かった。こりゃあ、もっと煽れるな。


「身の丈に合ってねえんだ、ええ? メウル。 おめえは俺じゃねえからよ、使いこなせてねえんだろ」


「黙れ、貴様はもう喋るな。 いつも上から見下して、何様なんだ、ディー・ヤーよ」


 メウルの声に怒りが滲む。その瞬間に俺が輪切りにした枝が、全部再生しやがった。そいだらメウルのヤツがよお、声にならない(うめ)きをあげた。切っても生えても苦痛ならよ、地獄みてえなもんじゃねえのか?バケモンてえのは大変だなあ。しかしよ、メウルはこんなにも、しんどそうな思いをしてよ、何だか可哀想になるな。しかも、上から見下してるとか、今更、何を言いやがる。的外れにもほどがあるから、ちっと言ってやっか、ってなもんで。


「上から見下してるんじゃねえよ。俺の目線の高さまで、おめえが上がって来てねえだけよ」


 こんな風に言ってやればよ、メウルは反論出来ねえよなあ。だって事実なんだからよお。そんで俺は間髪入れず、気付いた点を指摘する。


「メウル、てめえの木の変身は、痛覚異常が出てるよな」


「!」


 こんなの、勝負ありだろお?今のメウルは感覚鋭敏。痛みが何倍にもなってるはず。ならメッタ斬りにしてやれば、痛みでショック死しちまうだろな。かつての仲間じゃあるけどよ、情けはかけてやらねえよ。いいや、仲間だったからこそ、問答無用で死んでもらうぜ。生かしておいたら終わらねえしよ、コイツがやってることはよお、いつか俺が見た地獄なのよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ